品質管理(QC)とは?向上の方法と製造業にとっての重要性
(画像=bnenin/stock.adobe.com)

多くの企業に品質管理部や品質保証部などがあるが、企業に就職するまで「品質管理(QC)」について教わる機会はほとんどない。しかし製造業に携わる者にとって、「品質管理」に関する知識と技能を習得することは常識であり、製造業にとって「品質管理」は欠かすことができない業務だ。原材料の購入から製品の製造、運搬、サービスを提供する過程で企業の中のあらゆる部署が協力し「品質管理」を行っている。「品質管理」の必要性について見ていこう。

目次

  1. QCが必要な理由
    1. QCとは
    2. QC活動
    3. 品質管理には、主に2つの方法がある
  2. QCサークル活動を行っている企業
  3. 品質管理について学ぶ機会(QC検定)とは?
    1. QC検定の概要
    2. QC検定の種類
  4. 品質管理には様々な副次的メリットも
  5. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

QCが必要な理由

最初に品質管理(QC)とは何かを解説しつつ必要性や代表的な品質管理の手法についても紹介する。

QCとは

QCとは、品質管理(Quality Control)の略語で製品の生産やサービスの構築をする際に品質に問題がないか検証することである。高品質な製品やサービスを提供することが顧客の信頼を得る一番の近道であり、いかに効率よく低コストで製造・構築し製品の品質が一定に保たれるかが重要だ。QCは製造業にとって欠かすことができない重要な業務といえる。

QCと並んでQAという言葉をご存じだろうか。QAとは、品質保証(Quality Assurance)の略語で製品の品質が一定の基準を満たしているかを検証して保証することである。QCは、企業が製品を製造する過程において不良発生原因の分析や製造工程の見直しなどに問題がないかを検証するのに対し、QAは製造された製品自体に問題ないかを検証し一定の基準を満たしていることを保証するものである。

QCとQAは、以下のように考えると分かりやすいだろう。

  • QC:製品が完成するまでの間の品質を保証する
  • QA:製品が完成し消費者へ販売した後までその性能を保証する

QCの業務の内容として材料検査や不適合材料の調査、隔離、最終製品検査などがあげられるが、企業独自の技術とノウハウで行われているものが多い。しかし不良品が発生した際に、原因を分析し問題があれば製造工程の見直しや改善を行うことの重要性はどのような企業にとっても同じだ。企業にとって製造プロセスの管理・改善は、欠かすことができない大切な業務なのである。

QC活動

QC活動とは、QCに関わる活動の全般を指す。企業の製品における一連の製造体制や活動体系の全般に関わるもので品質保証や信頼性試験、業務の効率化、コスト削減などその活動範囲は広域だ。一つひとつの業務における専門性の高い知識も必要とするため、QC活動を推進する際には、製造に携わる従業員を「QCサークル」と呼ばれる小集団に分けて行うことが多い。

QCサークルの中で与えられた業務分野における品質維持のための意見を出し合い、改善を繰り返し図ることで進歩を遂げるのである。企業は、生産工程や技術的な課題、納期やコストなどの問題を解決することで製品の不良率低下を実現し、より性能のよい製品を作り続けているのだ。このようなQCサークルを構成して活動することを「QCサークル活動」と呼ぶ。

グループ会社や協力会社を含めて積極的に支援している企業も多くQCサークル活動の報告会や大会を実施して外部に発表している企業もある。従業員にとってもQCサークル活動を通じて自分自身の専門性を深めることはスキルアップにつながる。またメンバー全員で一つのことに取り組む場が設けられ、結果が出れば達成感が生まれるだろう。

QCサークル活動を通じて企業へ貢献することは、業務への参加意識の向上効果をもたらしモチベーションアップを図ることが期待できる。QCサークル活動は、企業、従業員の双方にとってメリットのある活動なのだ。

品質管理には、主に2つの方法がある

企業は、それぞれに独自の手法を用いて品質管理に取り組んでいる。ここでは、以下の代表的な2つの手法を紹介しよう。

・PDCAサイクル
PDCAサイクルは、品質管理以外でも多く用いられる手法のため、ご存じの方も多いだろう。計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、処置・改善(Action)といった一連のサイクルのことを指す。PDCAサイクルを繰り返し回し続けることによって継続的に改善を図ることが期待できる。

品質管理(QC)とは?向上の方法と製造業にとっての重要性

・データ整理・分析に必要なQC7つ道具
品質管理においては、数値化と分析が必要不可欠だ。データの整理や分析に必要とされる「QC7つ道具」と呼ばれるものがある。例えば不良発生の原因や傾向を特定し問題点を分析するためには、さまざまなデータを収集し分析しなければならない。そのデータの相関関係を「QC7つ道具」を利用して分析することで解決すべき問題点や不良発生の原因や傾向が特定できるのである。

データの整理や分析に用いる「QC7つ道具」には、以下のものがある。「QC7つ道具」は、数字だけでは分かりにくいものを図やグラフにして整理するためのものだ。数値だけでは見落としてしまうような問題点を可視化することで浮き彫りにすることが期待できる。品質管理における問題点を「見える化」する手段といってよいだろう。

品質管理(QC)とは?向上の方法と製造業にとっての重要性

7つ以外に「層別」と呼ばれる各技法のグループ化したデータの取り扱いの考え方を示すものがあり、これを「QC7つ道具」の一つに数えグラフと管理図を一つの手法とする場合もある。また製造業以外の業種でも品質改善は必要だ。言語データや文字情報を分かりやすく図や表にあらわす「新QC7つ道具」と呼ばれるものもある。

言語データとは「部署間の情報の共有ができていない」「器具の設計に時間がかかる」など、数値で表すことができない言葉によるデータのことだ。新QC7つ道具は、以下の通りである。

  • 系統図法
  • 連関図法
  • マトリックス図法
  • アローダイヤグラム法
  • PDPC法
  • 親和図法
  • マトリックスデータ解析法

言語データを整理するのに適した図や表となっている。小売業や飲食業、ホテル業における企画や営業の世界では、数値化できない言語データの整理が必要だ。そのため製造業のような数値分析ではなく言語データが利用される。

QCサークル活動を行っている企業

前述したQCサークルの目的は、製品の品質管理や作業効率の向上などさまざまだがメンバーのスキルアップにもつながるため、従業員の自主性とモチベーション向上の効果も期待できる。QCサークル活動を発表する場があれば活動内容を多くの人に知ってもらうことでモチベーションが向上し、他のサークルの発表を聞くことで多くの新しい考え方に気づくことができるだろう。

企業としても社内の活性化や人材育成にもつながり同時に業務の効率化や業務改善を図ることができる取り組みでもある。QCサークル活動を行っている企業の中から一例を紹介しよう。

【事例の紹介】
オンダ国際特許事務所では、1985年からQCサークル活動に取り組んでいる。主な活動内容は、以下の通り多種多様だ。

  • 事務手続きの効率化
  • 資源節約のための活動
  • 明細書の品質向上を目的とした改善
  • 発明者とのインタビューの効率化など

所内にシステム開発部門を持つ強みを活かし自社でソフト開発やシステム構築を行うなど全社的に業務改善・効率化を推進している。QCサークル活動に関するセミナーを毎月2回所内で開催。またQCの基本を学ぶ初級セミナーからリーダー向けのレベルに応じたセミナーを企画・開催している。

出典:QCサークル活動|オンダ国際特許事務所|世界を見据えた知財戦略 | 特許業務法人オンダ国際特許事務所

品質管理について学ぶ機会(QC検定)とは?

品質管理を体系的に学ぶには、日本規格協会グループ(JSA GROUP)が行っているQC検定を受検するのも効果的である。

QC検定の概要

企業で品質管理を実施するには、従業員の品質管理に関する意識を強化するとともに知識と能力を身につけることが必要だ。品質管理検定(QC検定)は品質管理に関する知識レベルが評価できる検定試験であり、全国で筆記試験が行われている。従業員の品質管理に関する知識を個々のレベルに合わせて客観的に評価できる内容だ。

QC検定の種類

「QC検定」では、1級・準1級~4級までのレベルに応じた4つの級に分けられている。企業として検定試験を活用することで得られる主なメリットは、以下の通りだ。

  • 従業員の品質管理に対する意識を高め、製品の品質向上を図ることができる
  • 企業は従業員個々の品質管理のレベルを把握することができ計画的な教育ができる
  • 部署ごとに品質管理レベルが把握可能になり昇進・昇格の人事の参考にもできる
  • 人材育成や人事計画、社員の採用時における社内教育の軽減につながる

【QC検定の種類】

【1級/準1級】
品質管理部門のスタッフ、技術系部門のスタッフなど企業内において品質管理全般についての知識が要求される業務にたずさわる方々
【2級】
QC七つ道具などを使って品質に関わる問題を解決することを自らできることが求められる方々、小集団活動などでリーダー的な役割を担っており、改善活動をリードしている方々
【3級】
QC七つ道具などの個別の手法を理解している方々、小集団活動などでメンバーとして活動をしている方々、大学生、高専生、工業高校生など
【4級】
これから企業で働こうとする方々、人材派遣企業などに登録されている派遣社員の方々、大学生、高専生、高校生など

出典:日本規格協会グループ(JSA GROUP)品質管理検定(QC検定)とは | 日本規格協会 JSA Group Webdesk

品質管理には様々な副次的メリットも

高品質な製品やサービスを提供することが企業の信用につながるため、品質管理(QC)は製造業にとって欠かすことができない重要な業務である。また従業員が品質管理の能力を発揮するには、基本となる品質管理に関する知識を習得することが必要だ。品質管理に企業として組織的に取り組みQCサークル活動を積極的に支援することは、企業、従業員の双方にとって大きなメリットをもたらす。

製品の品質向上は顧客の信頼を得ることにつながることはもちろん、従業員個々のリーダーシップ力や自主性、モチベーション向上など多くの効果をもたらすだろう。

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文・加治直樹(1級FP技能士・社会保険労務士)

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