ANDARTのスタッフに聞く、おすすめのアーティストやアートの楽しみ方【特別企画第4弾】
(画像=ANDARTのスタッフに聞く、おすすめのアーティストやアートの楽しみ方【特別企画第4弾】)

日本初、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」や、手に届く価格から本格アート作品を提供するオンラインストア「YOUANDART」を通して、ANDARTは数あるアーティストや作品の中から選りすぐりを日々お届けしています。

そんなANDARTで働くメンバーは、どんなアーティストに注目しているのでしょうか? ANDARTで働くメンバーに、おすすめのアーティストやアートの楽しみ方など、生の声を聞く企画の第4弾。今回は様々な分野を横断してお仕事をしている、スタッフのTさんにお話を伺いました。スタッフとしてジョインして約半年のTさんはANDARTの共同保有作品を最近初めて購入されたとか。「えっ、なぜ今だったの!?」という編集部が素朴な疑問を投げかけると、なるほど納得!?な答えがかえってきました。その理由は、どんなことだったのでしょうか。

ーーTさんは最近になって初めて、ANDARTの共同保有作品を購入されたのですよね。その理由は追々お伺いするとして、まずは最初にANDARTのサービスと出会った時の印象からお聞かせいただけますか?

ANDARTのサービスを知った時、共同保有作品にはどんなものがあるのだろう?と思って早速サイトをチェックしたのですが、想像以上にいいなと思う作品がたくさんあって。巨匠ピカソをはじめウォーホル、バンクシー、バスキアと、誰もが知る世界的アーティストの作品がこれほど揃っているだけでなく、オーナーになれる権利を持てるというサービスにもとても驚き、最初すごくワクワクしたことを覚えています。

ちなみに私は何かを選ぶ時、モノを購入する時は直感型で、その時に見ていいなと思ったものはパッとすぐに決めるタイプ。なので、普段の生活の中ではあまり迷うということは殆どないのですが、純粋にいいな、魅力的だなと思う作品が多かった分、逆に迷いが出てしまって…。

加えて「アートの共同保有」というサービス自体、未知の領域で初めて足を踏み入れるということもあって、自分なりに色々調べてから、ちゃんと確信をもった状態で決めたいと思ったんです。

私にとっては直感も重要な情報だと捉えているので最初にいいと思ったものをあの時決めてもよかったのかも知れませんが(笑)。きっとアートに対する思い入れが強かったんでしょうね。今思えば、自分なりの明確な指標ができてからと、購入すること自体は決めていた気がします。

ーーなるほど。では当初から「欲しい」とは思っていたんですね。ちなみに、元々アートはお好きだったのでしょうか? 簡単にバックグラウンドをお伺いさせてください。

そうですね。私はアート、それから美術に関してとくにアカデミックの文脈で勉強をしてきたわけではありません。ただ、昔から美術館やコンサートなどに出かけるのが好きだったり、自宅にも絵画や器があって、そういうものに親しむ環境で育ったので、美しいものやセンスの光るものに自然と興味が芽生えたというか。アートをはじめ美的なもの、文化的なものに対する興味関心は、昔から強く自分の中にあったと思います。

自分でも遊び感覚で、香水をはじめポストカード、レコードやCDなどを集めてきました。とくに音楽が好きなのでCDは一時期、相当数買っていましたが、それも音楽そのものに惹かれてというだけでなく、一目惚れで結構ジャケ買いもしていたんですよ(笑)。ちなみにポストカードはいまだに集めていて美術展などに行くと必ず購入するのですが、こういう行為自体もひょっとしたら潜在的にアートコレクションに通じる部分があるのかも知れませんね。今話していて、そう思いました。

Tさんの私物より。昔から大切に集めているというポストカードコレクションの一部
(画像=Tさんの私物より。昔から大切に集めているというポストカードコレクションの一部)

ーーそうだったのですね。そういう中で今回は数ある作品の中から、バスキアの《Jawbone of an Ass》を購入されたそうですが、なぜこちらの作品を選ばれたのでしょう?

理由は色々ありますが、やはり一番は私が元々音楽好き、ということが大きかったと思います。もちろん、その「好き」には心からのリスペクトの気持ちもあって。自分が素晴らしいと感じるもの、(時を超えて)心から尊敬できるものに対して何かしら関わりを持ちたいとーーアーティストの純粋な心の発露であったり思想、生きてきた歴史をほんの一部かもしれないけれどその恩恵にふれたいと思った時に、購入というアクションが私にとっては一番の近道のように感じられたんです。

バスキア
(画像=バスキア)

そういう意味では、バスキアは昔から憧れていた、まさにその一人で。音楽と繋がりのあるアーティストとしても有名で、画家として知名度が上がる前はバンドで活動していたエピソードもありますよね。

そんなバスキアの絵からは、ジャズのセッショションに通じるような即興表現特有の独自のリズム感やスピード感、さらにはものすごい熱気が伝わってきます。作品はたまたま絵画、ドローイングという形態をとっていますが、彼の絵からはリズムや詩のようなものさえも聞こえてきそうな気がするんです。そこが本当にすごいなと思って!

その一方で、バスキアはすごく頭脳明晰だったとも言われていて、そういう部分にも惹かれるものがありました。彼の作品は一見、即興的に描かれた表現のように見えるけれど、実はすごく計算し尽くされてできた絵なのかも知れない。そう考えた時に、バスキアの「頭の中の世界」に、俄然すごく興味が湧いてきたんです。

Tさん私物より。バスキアの画集、見開きページより。バスキアの頭の中の世界の一部が垣間見えるように伝わってきます
(画像=Tさん私物より。バスキアの画集、見開きページより。バスキアの頭の中の世界の一部が垣間見えるように伝わってきます)

私自身、バスキアの作品そのものにも興味がありますが、おそらくそれ以上に、なぜこういう表現が出てきたのか、この文字の連なりにはどんなメッセージが込められているのだろう、なぜこことここはこういう組み合わせになっているのだろう?等々、一枚の絵を通してたくさんの「なぜ」で問いかけてくれるところに興味を引かれます。

もちろんそこに明確な答えはなく、考えたからといって謎が解けるわけではないことは重々承知の上。それでも無性に想像力を掻き立てる存在であることには違いなく、そういう部分が自分にとってのバスキアの最大の魅力だと思っています。

Tさん私物。バスキアの画集。表紙はバスキアの代表作の一つ《Untitled Skull》(1981)より。ちなみにこちらと同じシリーズ《Untitled Skull》(1982)
(画像=Tさん私物。バスキアの画集。表紙はバスキアの代表作の一つ《Untitled Skull》(1981)より。ちなみにこちらと同じシリーズ《Untitled Skull》(1982)2017年に前澤友作氏がサザビーズオークションで123億円で落札したと話題に!)

ーー確かに。バスキアの絵からは音楽が聞こえてくるような気がします。ではなぜ今、このタイミングだったのでしょう?

10月末にあったANDARTのイベントで実物を目にしたことが、やはり大きかったですね。美術館やギャラリーに行って本物の絵の力に触れる時、いつもそういう感覚が起こってくるのですが、本や画集などで見たものとは全然違った迫力や凄みを感じて、圧倒されてしまったんです。それから、私はやや飽きっぽいところがあるのですが…バスキアの絵だったら永遠に見ていられるような気がして、そこも大きなポイントでした。

ちなみにそれから少し後に、12月12日から原宿で始まるバンクシー展にこのバスキアの作品が展示作品として飾られることが決まって。その時、「きたーーーっ!!!」と思いましたね(笑)。もちろんそのことも知らずに購入したのですが。そういう意味では最初に直感で「欲しい」と感じた思いの種みたいなものが時機を得た感覚もあります。何事にもやはりタイミングってありますよね。

バスキアの作品
(画像=バスキアの作品)

ーーANDARTのサービス「共同保有」については、何か思うところがあれば聞かせてください。

そうですね。これまでは誰かがモノを購入すればその時点で、支払った金額に対する対価として一旦は購入者にモノが帰属する、所有の概念によって経済が動いてきたと思うのですが。5年ほど前からシェアリングエコノミーという言葉が徐々に社会に普及して、今では様々なモノやサービスが共有されていく様子を目にする機会が増えていく中で、私自身の意識の中でも所有という概念が少しずつ薄れているということに気づいたんです。

モノがデジタルで管理され、あらゆる情報も全てクラウド上で共有知として保存されていくとしたら、むしろ素晴らしいものは皆で分かち合いたいと。好きなものを独り占めするのではなく、自分と同じような熱量をもった人たちと共有した方が絶対に楽しいし、社会も世界全体も確実にそういう方向に向かっているーーむしろ、そういう世界観が今後のスタンダードになっていくだろうと感じました。

そういう中でANDARTのサービスに出会って「アートの共同保有」という言葉に、最先端というかこれまでにない新しさを感じて、個人的にすごくしっくりくるものがありました。「自分がずっと欲しかったサービスがここにあった!」と、ピンときて。それまで自分の中で言語化できていなかったから単に意識できなかっただけで、私が求めていたのはまさにこういうサービスやシステムだったかも知れない、と思ったんです。

先ほどお話ししたように、昔からアートや美術に関心があっていつかアートを購入するかもとは思っていましたが、本当に欲しいものだと資金的にもルート的にも現実的には到底不可能で。そういう中で、たとえ一部だとしてもオーナーとして関われるのはすごく意味のあることだなと思っています。

ーーでは、最後にメッセージをお願いします。

私は純粋にアートが好きで、そういうタイミングで「アートの共同保有」ができるANDARTのサービスを知って、さらに憧れのバスキア作品にも出会えたので、晴れて初購入に至りました。なので今回、資産ということに関しては正直あまり深く考えず、自然とこの流れになりました。

私にとってはアートがある生活とは、人生を豊かにするための時間の使い方だったり、お金を支払うことによって得られる、これまでにはない体験であったり人との出会いと同意義だったりします。生きている時間も有限だと考えると、今何をすることが自分にとってベストなのか、今日これから誰と会って、どんな風に過ごし、どんな人と食事をするのか。一分一秒を大切にして、一つ一つの選択を自ら選び決めて行動を起こしていくことも、だだ、そう考えるとアートがある生活は、自分が観ているのもあれこれ考えるのも楽しい時間で、自分の中に何かが湧いてくるというか、活性化してくる感覚があるんです。

そういう中でANDARTのサービスは、あくまでも入り口だと思っています。アートを知るためのエントランスであり、サービスを使ってみるのもその一つです。私自身もこれから先にひょっとしたら、本当に絵を購入することになるかもしれないし。そういう可能性の入り口に立っているような気がして、これからの展開が楽しみなんです。新しいカルチャーの始まりは体感したいし、しっかりと目に留めておきたい性分で(笑)。

ーーありがとうございました!

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文:ANDART編集部