スタートアップを成功に導くポイントと成功事例を詳しく解説!
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スタートアップとして創業して成功を収めた企業の代表例としてはFacebookやGoogleなどが挙げられる。こうしたグローバルに活動するスタートアップはいかにして成功を収めたのか。近年日本でもスタートアップとして立ち上げられる企業が増える中、その成功の秘訣への注目度は年々高まりつつある。

そこで今回は、スタートアップを成功に導くポイントと、国内企業の成功事例について詳しく解説する。

目次

  1. スタートアップとは何か
    1. スタートアップとは新たなビジネスモデルで世の中に価値を生み出すこと
    2. スタートアップの特徴
  2. スタートアップを成功させるための3つのポイント
    1. 資金調達を確実に行う
    2. イノベーションをもたらすビジネスモデル
    3. リーダーシップ、専門知識を持つ人材の確保
  3. スタートアップの成功例
    1. freee(クラウド会計ソフトウェア)
    2. スマートニュース(情報アプリ)
    3. メルカリ(フリマアプリ)
  4. まとめ

スタートアップとは何か

スタートアップとは、狭義では、革新的な発想により新規の価値を創造し、社会に大きな影響を与える企業のことをいい、短期間のうちに急激に成長を果たし、その多くは成長後に創業者により売却される。

言葉の由来は「始動」などを意味する「startup」であり、もともとはIT企業が集積するシリコンバレーで用いられていた。当時は創業後3年未満で、短期間で成長できる可能性を持つ小規模企業のことを指していたが、現在ではイノベーション(革新)の担い手であることもスタートアップの条件として重視されている。

日本ではスタートアップに似た言葉として「ベンチャー企業」がある。ただし、ベンチャー企業という言葉自体は日本で作り出されたもので、たとえば「ベンチャービジネス」などは和製英語であり、世界一般で使われているわけではない。

一方、スタートアップは発祥元がシリコンバレーであることから、グローバルに通用する用語といえる。なお、通常海外で「ベンチャー」というときはベンチャー企業ではなく投資組織の「ベンチャーキャピタル」を指すので、ビジネスで海外に行ったときは注意が必要だ。

スタートアップとは新たなビジネスモデルで世の中に価値を生み出すこと

日本でいうところのベンチャー企業は、起業家精神を発揮してビジネスを成功させることに重きが置かれ、採用するビジネスモデルは既存のものを活用することが多い。つまり、事業が上手くいき、投資家に利益を与えることに成功すれば、ベンチャー企業として成功したといえるわけだ。

一方、スタートアップはそのビジネスモデル自体を革新する。20世紀、Facebookのようなビジネスモデルが世界最大規模の企業を作り出すなど誰も考えられなかったであろう。この点を考えてみても、Facebookがいかに革新的で、社会にインパクトを与えたスタートアップであるかがわかる。スタートアップカンパニーといわれるFacebook、Google、Appleなどは、ベンチャー企業の枠にはとどまらないより革新性の高い企業といえるだろう。

スタートアップの特徴

スタートアップには、「世の中に新たな価値をもたらすイノベーションを起こせる組織であること」「社会貢献に資する事業であること」「短期間で急激に成長を遂げていること」「一時的なもので後に売却されるケースが多いこと」といった特徴がある。

特にイノベーションという点については、スタートアップと一般企業の大きな違いである。急速に利益を上げている企業であっても、既存のビジネスモデルを流用している限りは一般企業あるいはベンチャー企業であり、スタートアップとは呼べない。前例のないビジネスモデルを用いて社会に新たな価値観を生み出し、消費者の暮らしそのものを変革するような企業がスタートアップに該当する。

スタートアップを成功させるための3つのポイント

スタートアップを成功させるためには、大きくわけて資金調達、ビジネスモデル、人材確保という3つのポイントがある。以下でそれぞれ詳しく解説する。

資金調達を確実に行う

スタートアップ成功において最も重要なのが資金調達である。一般企業では金融機関からの融資、あるいは補助金や助成金の利用などを視野に入れるが、スタートアップでは個人投資家やベンチャーキャピタルも有力な選択肢となる。ただし、投資を受けるには革新的なアイデアやビジネスモデルを提示し、投資家に納得してもらう必要がある。

事業に必要な金額は創業期と成長期とでは変わってくる。創業期の場合、まだ成果が出ていない段階で資金を集める必要があるため、アイデアの段階から説得力のあるビジネスプランを提示することが求められる。成長期であればすでに一定の事業成果が出ているため、成功の度合いが高いほど資金調達はしやすい。

イノベーションをもたらすビジネスモデル

スタートアップ企業とベンチャー企業との最大の違いでもあるのが、イノベーションをもたらすビジネスモデルを構築しているかどうかである。

ここでいうビジネスモデルとは企業が顧客・消費者から収益上げるための道筋を作ることで、FacebookやGoogle、YouTubeなどは、独自性のあるビジネスモデルを作り上げることで急成長を遂げることができた。ネット上で情報交換する、検索システムを作る、動画を配信する場を作るといったアイデアや技術だけでは事業として成立しない。これらのアイデア・技術をビジネスモデルとして再構築することで、企業を成長させつつ社会に変革を与えることが可能となる。

リーダーシップ、専門知識を持つ人材の確保

スタートアップは短期間で成果を出すことが求められる。そのためには、リーダーシップがあり先見性のある創業者に加えて、クリエーターやエンジニアなど事業に必要な専門家を確保する必要がある。特に、スタートアップではイノベーションが必要となるため、各業界でも特に能力の高い人材を結集することが求められる。

たとえば近年、人工知能(AI)やロボット工学のエンジニア、スマホ向けサービスの開発者などは、スタートアップが求める人材としてニーズが高まりつつある。スタートアップを立ち上げる際、これら優れたエンジニア・開発者をいかにして集めるかが成功のカギを握るといえる。必要な人材をライバル企業に取られたら、それだけで競争優位性を失うことにもつながるだろう。

スタートアップに融資を行うベンチャーキャピタルの中には、出資にあたって人材の獲得を図ることも多い。投資する側としては、より優れた人材を投資先に加えることで失敗の確率を減らすことができるからだ。

ただし、スタートアップは創業者の社会貢献に対する思いなど、理念が前面に出ていることも多い。創業者の理念に共感できるか、理念の下で主体的に行動できるかどうかなど、本人の資質に関わる部分も採用の際は重視する必要がある。

スタートアップの成功例

では実際に、日本で成功したスタートアップの事例を紹介しよう。以下では、クラウド会計ソフトウェアを提供している「freee」、ニュース・情報をスマホに提供している「スマートニュース」、ネット上で取引を行える場を提供している「メルカリ」の3社を取り上げる。

freee(クラウド会計ソフトウェア)

個人で事業を立ち上げるとき、あるいはフリーの立場から企業で働くという場合、大きな壁となるのが会計処理である。たとえば、個人事業主は年度末に確定申告を行う必要があるが、幅広く事業を行うほどその手続きが大変となる。この手続きにいくら時間をかけてもまったく収益にはつながらないため、個人事業主としては手っ取り早く代行してくれるサービスがあるとありがたいといえる。

こうした社会的な課題に目を付けて起業されたスタートアップがfreeeである。創業者とその仲間は2012年にプロトタイプを作成し、それをきっかけとしてfreeeの立ち上げを開始した。

もともと会計処理は日常業務を繰り返す作業であるため、IT化して自動化しやすい。古くから会計ソフトを開発、販売している企業は多数あった。しかしfreeeはCD-ROMでソフトを販売するのではなく、ウェブ上のクラウドで会計システムのサービスを提供。急成長を遂げた。

スマートニュース(情報アプリ)

スマートニュースは2012年12月にローンチし、多様な媒体で発信されている良質なコンテンツを経済や国際、エンターテインメントなどの複数のチャンネルにわけ、リアルタイムでスマホに表示するサービスだ。サービスの特徴は、ただニュースを流すだけでなく、自分の好みに合わせてニュースの特集や媒体を追加し、自分だけのニュースフィードをカスタマイズできる点である。

スマートニュースの普及により、ビジネスパーソンは通勤電車の中で新聞を広げなくても、スマホを見ることでその日の最新ニュースをチェックできる。しかもリアルタイムでニュースは更新されるため、新聞よりも最新情報を得ることも可能だ。スマートニュースの登場により、通勤風景が大きく変わったといっても過言ではないだろう。

「ニュースをスマホに伝える」というサービスに特化し、クオリティの高い配信サービスを展開したことで急成長を遂げ、今や日米合わせて5,000万以上のダウンロードが行われている。

メルカリ(フリマアプリ)

メルカリはネット上で不用品を売り買いできるサービスを提供する企業で2013年に設立された。メルカリがサービスを開始する前から、ウェブ上で取引できるシステムは「Yahoo!オークション」などをはじめ多数あった。しかし、メルカリがイノベーティブであったのは、パソコンを使わずに、スマホだけで簡単に取引を行えるシステムを構築した点である。

メルカリでは出品者はスマホで売りたい商品の写真を撮り、そのままアプリを使ってアップロードするだけで済む。購入者はアプリ上で欲しい商品を見つければ、スマホ上で購入ボタンを押すだけ買うことができる。手軽さという点では、それまでの取引サイトよりも各段に使いやすい。仕組みも明快で、スマホだけで簡単に売り買いできるという利便性の高さが、同社の急成長につながった。

また、メルカリの優れた点はそのビジネスモデルにある。メルカリは当初、販売手数料を無料としていた。その後、販売手数料を10%と改めて設定したが、一度メルカリの利便性を体験したユーザーは、手数料が発生しても大きく離れることはなかった。

現在、販売手数料がもっと安い企業が複数参入しているが、先行者として得た知名度や信頼性により、日本のフリマアプリを代表する企業として現在も業績を伸ばしている。
現在、メルカリは東証マザーズに上場しているが、なんと創業時からIPOまで1株あたりの株価は6,000倍にもなっており、まさに成功したスタートアップと言えるだろう。(※創業時のメルカリの株価は1株500円、その後株式分割を繰り返し現在の株式数に換算すると単価が最終的に0.5円となっていたがIPO価格は3,000円だったため)

まとめ

スタートアップとは革新的なアイデアに基づいて新たな価値を作り出し、社会に大きな影響を及ぼしている企業のことである。その特徴としては、イノベーションの担い手であること、社会貢献に資すること、短期間で急激に成長を遂げていること、一時的なもので後に売却されるケースが多いことなどが挙げられる。

スタートアップを成功させるポイントは、「資金調達を確実に行うこと」「革新性のあるビジネスモデルを構築すること」「リーダーシップ、専門性のある人材を確保すること」の3点である。日本のスタートアップとして知られるfreee、スマートニュース、メルカリも、これら成功ポイントを押さえた企業といえる。

文・野口和義(中小企業診断士、行政書士)
野口コンサルタント事務所代表。1983年生まれ。茨城大学情報工学科卒業。中小企業診断士、行政書士、経営革新等支援機関。最大手ファーストフードチェーンでのマネジメント経験を活かし、組織改革・人事制度・事業計画策定を中心に中小企業の支援に奔走している。持ち前のホスピタリティの高さから、顧客対応などの面でもお客様から高い評価を得ている。
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