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新型コロナウィルス第2波の抑え込みがしばらく続いていたものの、今年の春先から感染が再拡大したタイ。1日あたりの新規感染者数は、8月には遂に2万人に達し、首都バンコクなど対象地域でカーフュー(curfew:夜間の行動制限)が実施されました。
人々や街、経済の様子は現在どうなっているのか。日本M&Aセンター タイ王国駐在員事務所 所長の井 直大がお伝えします。

カーフュー(curfew:夜間の行動制限)当時の状況を教えてください。

昼も夜も、本当に街に誰もいなかったです。当時、ワクチン接種自体も国内であまり進んでいませんでしたし、飲食店やお店も閉まってしまうし。
「これから先どうなるのだろう」という先行きに対する不安は、漠然と人々の中にありましたね。7月に入ってから、新規感染者数がものすごい勢いで増えていくのをニュースで見るにつれて、「いよいよ大変なことになってきたな」と感じたのを今でも覚えています。

私自身は11月のオフィス(駐在員事務所)開設に向けて、リモートワークでやるべきことを進めていました。「みんながやらない時にこそ、やってやる!」という精神で(笑)。

そうした夜間の行動制限や、ワクチン接種率の高まりを受けて、夏の終わりあたりから変化があったと聞きます。

やはり大きかったのはワクチンの接種率が高まったことですね。10月にはタイ国内でもファイザー製ワクチンを選べるようになりました。GDPの約2割を占める観光が大打撃を受けていることもあり、飲食店をはじめお店の営業制限を解除するなど、9月ごろからタイ政府も経済活動の正常化に舵を切りました。ワクチン接種済の外国人観光客への隔離義務も緩和し始めています。

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11月以降はご自身も日本に一時帰国されましたね。

そうですね。隔離期間中は、体調に変わりはなかったのですが、制限がある日々は大変でしたね。
日本行きの飛行機はガラガラでしたが、11月末、タイに戻る時はビジネスの日本人と見られる乗客がものすごく多くて、久しぶりに機内が混雑していたのが印象的でした。

12月現在のタイの状況を教えてください。

今は、国民の半分以上が必要な接種回数を受けていて、ASEANではシンガポール、マレーシアに次ぐ水準だと聞いています。街はすっかり賑わってますね。
タイの有名な渋滞も、日常風景としてすっかり戻りました。もう、歩いた方が早いです(笑)。 会議もリモートではなく、対面のケースが増えています。

コンベンションセンターのような、大型のビジネスの展示を行う会場は、だいぶ先まで予約が埋まっていて押さえられないという話をよく聞きます。2年近くできなかった反動でしょうか。会食もずいぶんと増えましたね。人気の飲食店は予約が取りづらくなっています。

もちろん完全ではありませんが、人々も街も、ほとんどコロナ前のように戻りつつあると感じています。オミクロンの懸念もありますが、私自身は、このまま活気を取り戻していくものと考えています。

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コロナとの共存を目指し、ポスト・コロナに向けて大きく動き出しているバンコクからお届けしました。
今後も現地の様子をコラムでお届けします!お楽しみに。

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監修

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井 直大(い・なおひろ)
日本M&Aセンター 海外事業部 ASEAN推進課 シニアディールマネージャー/タイ王国駐在員事務所 所長
2018年にシンガポールに赴任し、現地の会計事務所ネットワークを構築。タイの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援を担当。バンコクで海外拠点開設の準備に従事。2021年11月より現職。
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