全国穀物商協同組合連合会(全穀商連)とアメリカ大豆輸出協会(USSEC)は、2023年4月に施行される遺伝子組み換え不使用表示(Non-GMO)厳格化に関して、原料大豆はその表示基準の対象ではないものの、末端ユーザーや輸出業者間での混乱を回避すべく、ユーザー業界団体などの意見を踏まえた上で望ましい原料大豆の表示例を作成し、推奨していく。全穀商連会員、東日本穀物商協同組合に通知したほか、ユーザー業界団体などへも通知する。
各輸出業者の発行するNon-GMO Certificate(証書)などを変更する必要はないが、国内業者の和訳(Non-GMO/非遺伝子組換え)証明書内には、現行の「Non-GMO/非遺伝子組換え」から、表示制度改正後は「IP管理品」「分別生産流通管理済み」、表記無し(「大豆」のみ表記)を表示例として推奨する。
追記欄の表記例については、改正後は「厳密な分別生産流通管理を行っているものの遺伝子組換え農産物の意図せざる混入の可能性が否定できず、故に商品への非遺伝子組換えの表示を保証するものではありません」の記載を推奨する。末端ユーザーにおいてそのまま使用される30kg袋やフレコンのタグ・印字などのNon-GMO表示に関しても、表示制度改正後は、「IP管理品」、「分別生産流通管理済み」、表記無し(「大豆」のみ表記)へ順次変更を推奨する。
なお、消費者庁によれば、GMO農産物の意図せざる混入の可能性がある大豆において、「非遺伝子組換え」などと表記された袋などを使用することは、とりわけ混乱を招く可能性が高いとし、文言の削除を強く推奨するとしている。すでに印刷された袋の破棄などの必要なく、テープ、マジック、スタンプなど何らかの形での消去・訂正を推奨している。ただし、種子会社の発行する種子の証明書でNon-GMOの表記が使用されていても、そこまでは規制する権限がないため、変更は不要としている。
新しいGMO表示制度によるNon-GMO表示厳格化は、あくまで消費者向けに販売する生鮮・加工食品が対象だ。原料大豆などその原材料となる業務用のものを対象とした表示基準ではない。しかし、末端ユーザーにおける混乱を回避するため、海外の基準によるNon-GMOという表記は国内においても「非遺伝子組換え」と表示ができる大豆(表示制度改正後は、遺伝子組換え農産物の混入がないと認められるもののみNon-GMO表示が許容される)と誤認を与える恐れがあり、消費者庁からは、誤認が起こらない情報伝達を要望されていた。
「食品大豆関連業界としても末端ユーザーや輸出業者間での混乱は回避するのが賢明と思われ、原料大豆の表示例を提案する」(全穀商連、USSEC)としている。その上で、これらは強制ではなく任意であるが、不要な混乱を避け、引き続き円滑な食品大豆の輸入継続のためにも協力を要望している。
〈大豆油糧日報2021年12月3日付〉