中国「コロナ感染拡大」で公務員100人以上を処分 ゼロコロナの限界、共存の時代へ
(画像=kudoh/stock.adobe.com)

新型コロナウイルスの新しい変異株「B.1.1.529」(オミクロン株)は南アフリカで感染が確認されたのを皮切りに、イギリス、ヨーロッパで現在、感染拡大の兆候を見せている。感染者はいずれもアフリカへの渡航歴がある人間とその家族が大半を占めているとされる。

距離的に遠い印象のあるイギリスと南アフリカだが、歴史的に見て、南アフリカとヨーロッパの関わりは深い。

膨大な金、銀、プラチナが発見された南アフリカは、あの悪名高いアパルトヘイトが撤廃されるまで、南アフリカで得られる資源の多くはイギリス系、あるいはアフリカーナ―の手に渡っていた。

アパルトヘイトが無くなった今も、南アフリカはイギリス系の文化が残り、イギリス人にとって人気の旅行先となっている。理由として、英語を話せる人間が非常に多いこと。戦前、あるいは、戦後に移住した親類がかつての植民地には多く、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなどの国に親類を訪ねることを目的とした旅行(Visit for Relatives)が旅行の動機となっていることがあげられる。

オミクロン株とは?

こんかいのウイルスが新型と断定された理由には、遺伝子の欠損が確認されたほか、ウイルスの表面にある「スパイクたんぱく質」30か所の変異が見つかったことなどがあげられる。

これまで、イギリスで最初に特定された「B.1.1.7」系統は「アルファ」、南アフリカで特定された「B.​1.351」系統は「ベータ」、ブラジルの「P.1」系統は「ガンマ」、インドの「B.1.617.2」系統は「デルタ」とギリシア文字に従ってナンバリングされていた。

2021年10月に発見された「ミュー株」の次に見つかった今回のウイルスは、本来であれば、「ニュー(Ν、nu)株」と呼ばれ、さらに次のウイルスには「クサイ(Ξ、xi)株」となるはずであった。

しかし、WHOは「ニュー株」は英語のNEW(新しい)と混同するとして避け、続いてくるはずの「クサイ(Ξ、xi)株」もスキップした。クサイ株をスキップした理由は不明だが、習近平(英語表記で Xi Jinping)とΞ(xi)の音が重なるため、配慮したとの見方が強い。

各国の反応

11月27日イギリス政府は、公共スペースでのマスク着用を再び義務付けるなどの感染対策を強化することを発表した。

それらの対策は下記の通りだ。

  • イギリスに入国する全員は入国2日目が終わるまでに、PCR検査を受けなくてはならない(アイルランドやチャンネル諸島からの入国は除く)。陰性結果が出るまで自主隔離しなくてはならない
  • オミクロン株の感染者と接触した人は全員、ワクチン接種を終えていても自主隔離しなくてはならない
  • 店舗や公共交通機関ではマスクを着用しなくてはならない。ただし飲食店・レジャー施設など接客業の店舗は除外
  • 保健相は科学顧問に、ワクチンの2度目の接種から追加接種の間隔を短縮するなど、追加接種促進について検討を求める

現在、オミクロン株の特徴とされているのは、感染力が強く、早く広まる、ワクチンを二度接種した人同士でも感染する可能性がある。もっとも、ワクチンによる重症化の予防効果が否定されたわけではない。

イギリス、ヨーロッパ各地ではワクチンが普及した頃から屋外ではマスクを外す人間が多く見受けられたことは記憶に新しい。イギリスはロックダウン以後の状況に戻ったことになる。

日本の対応は

各国が外国人の入国を全面的に制限するなか、日本では、入国後、南アフリカとその周辺国9カ国からの外国人に対し、国が指定する宿泊施設に10日間の待機を求める措置を取る見込みだ。

ただ、有識者の間からは、感染がヨーロッパやアジアにも広がる可能性があるなか、オミクロン株の流入を許す可能性があるとしている。