KAWS(カウズ)とは?

KAWS
(画像=KAWS)

画像引用:https://juicestore.com/

KAWS(1974年11月4日-)は、アメリカ・ニュージャージー州生まれの現代アーティスト。本名はブライアン・ドネリー(Brian Donnelly)だが、まだ高校生だった10代の頃、タギング(グラフィティで壁などに自分の名前を残す行為)で「KAWS」というタグを使い始め、ストリートアート活動で有名に。現在はブルックリンを拠点として、画家、グラフィックアーティスト、ファッションデザイナー、彫刻家、トイ作家など、さまざまな肩書で活躍している。

特徴は、シンプルでポップな色使いと、既存のキャラを自分流に変換させるスタイル。「××」の目をしたキャラクターをご存知の方も多いだろう。本記事では、世界中から注目されるKAWSの魅力を解説する。

目が×(バッテン)のキャラクター

アニメーターの仕事をしていたキャリアを持つKAWSは、アニメや漫画などのポップカルチャーに影響を受けている。KAWSのトレードマークである目が×(バッテン)のキャラクター「コンパニオン(COMPANION)」も、ミッキーマウスをベースにして生まれた。

ディズニーやアニメなどに登場するさまざまな有名キャラクターをモチーフに、目を「××」にした作品が多数発表されている。著作権ギリギリのところで、どこかで見たことがあるような印象を持たせるという、絶妙な手法だ。ここでは有名キャラを使った作品をいくつかピックアップして紹介する。

シンプソンズ

シンプソンズ
(画像=シンプソンズ)

画像引用:https://www.sothebys.com/

「キンプソンズ」は、アメリカ発の大人気コメディアニメ「シンプソンズ」をモチーフにしたシリーズ。本作は、ストリートファッションの先駆者として知られるNIGO®の依頼で制作されたキャンバス作品のひとつ。

ディズニーキャラクター

ディズニーキャラクター
(画像=ディズニーキャラクター)

画像引用:https://www.christies.com

こちらの作品は、ディズニーが製作した世界初のアニメーション映画『白雪姫』がモチーフ。白雪姫の顔はコンパニオンと同じように、「××」の目をしたスカルになっている。

セサミストリート

 セサミストリート
(画像= セサミストリート)

「セサミストリート」の人気キャラクターもたびたび登場。KAWS、セサミストリート、ユニクロのトリプルコラボレーションでは、エルモやクッキーモンスターなどのぬいぐるみも発売された。ANDARTが運営するオンラインストア「YOUANDART」で販売されたプリント作品や立体作品も、全て売り切れるほどの人気ぶりだ。

KAWSの人気な作品

ファッションブランドと積極的にコラボを行い、アートとファッションを融合させたのもKAWSの功績のひとつだ。さらに、カニエ・ウェストなど大物ミュージシャンのカバーアートも担当している。

メディコムトイ

メディコムトイ
(画像=メディコムトイ)

画像引用:http://www.medicomtoy.tv/

ベアブリックなどのおもちゃで知られる「メディコムトイ」は、KAWSのフィギュアを販売している。アイコニックな立体作品は、子どもたちも親近感を覚えやすく、大人にもインテリアとして人気が高い。メディコムトイはジャン・ミシェル=バスキアやキース・ヘリングといった現代美術家モデルのフィギュアも制作している。

ユニクロ(UNIQLO)

ユニクロ(UNIQLO)
(画像=ユニクロ(UNIQLO))

画像引用:https://www.fashionsnap.com

アートや音楽などとコラボするユニクロのTシャツブランド「UT」では、2016年から7度にわたってKAWSとのコラボを実施。毎回、販売スタートから早々に完売する人気商品となっている。2017年の企画「KAWS×PEANUTS」のアイテムだったスヌーピーのぬいぐるみは、オンラインでの発売開始から3分で売り切れるほどの人気で話題を呼んだ。

ナイキ(Nike)

ナイキ(Nike)
(画像=ナイキ(Nike))

画像引用:https://uptodate.tokyo/

KAWSのイメージがデザインに落とし込まれたナイキの人気モデル「エアジョーダン」は、アート好きな人々やスニーカーファンの間で高値で取引される大人気アイテム。2021年には、日本人デザイナー阿部千登勢が手がける「sacai(サカイ)」も加わったトリプルコラボスニーカー「Blazer Low “Team Red” & “Neptune Blue”」が登場し、注目を集めた。

シュプリーム(Supreme)

シュプリーム(Supreme)
(画像=シュプリーム(Supreme))

画像引用:https://www.feistock.top/

代表的なストリートブランド「シュプリーム」とも過去数回のコラボを行っている。Tシャツやスマホケースも人気だが、2000年初頭に発売されたスケボーデッキは特に貴重とされる。

ディオール(Dior)

© MORGAN O’DONOVAN
(画像=© MORGAN O’DONOVAN)

画像引用:https://www.fashion-press.net/

世界屈指のラグジュアリーなアパレルブランド「ディオール」とも、2019年にコラボが実現。ディオールのアイコン「BEE」をKAWS作品の特徴である「××」の目にして、ウェアやバッグなどにデザインしたものが発売された。こうした試みを機に、ハイブランドのモード系ファッションを愛好する層にもKAWSが認知されるようになっている。

コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)

コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)
(画像=コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS))

画像引用:https://hypebeast.com/

KAWSはコムデギャルソンのボトルデザインもたびたび手がけている。写真の「MIRROR by KAWS」は、赤い水たまりからコンパニオンの手が出ているユーモラスなグラフィックをプリントしたもの。2014年には、コムデギャルソンと音楽プロデューサー兼ミュージシャンのファレル・ウィリアムスによるフグランス「GIRL by Pharrell Williams」のデザインも担当している。

KAWSは世界中でなぜそんなに人気なのか

ゲルハルト・リヒターやチャック・クローズなどからも影響を受けたというKAWSは、ストリートだけでなくファインアート界からも評価されている作家だ。一般庶民層からセレブまで幅広いファンを持ち、韓国のヒップホップグループBTSのメンバーなど、比較的若い世代のコレクターが収集していることも知られている。

グラフィティアーティストとしての大胆な活動

今でこそ有名ブランドとの公式なコラボレーションを数々行っているKAWSだが、実は1990年代ニューヨークでの活動初期、勝手にコラボを行う「サブバータイジング(subvertising)」という手法で作品を発表していた。バス停や公衆電話ボックスなどのビルボードに、コンパニオンなどオリジナルキャラクターを登場させ、貼ってある広告の意味を改変してしまうという大胆な試みである。

広告
(画像=広告)

画像引用:https://www.artpedia.asia/

日本やロンドンなど世界各地でサブバータイジングを行い、知名度が上がってからは広告がすぐ盗まれるように。カルバン・クラインなどハイブランドの広告を利用したことから、ストリートカルチャーに興味を持つ人々だけでなく、セレブたちの間でも知られるようになった。

斬新でユニークな試み

さまざま素材を使った立体作品から、抽象的な平面絵画まで、幅広く取り組んできたKAWS。世間があっと驚くような数々のプロジェクトを企画してきた。

2020年には、ARアプリ「KAWS EXPANDED HOLIDAY」がリリースされた。無料版「COMPANION(EXPANDED)」では、世界12都市のランドマークに登場する大型コンパニオンのAR彫刻を期間限定で楽しめ、限定版「AT THIS TIME(EXPANDED) 有料版」ではコンパニオンを自分の好きな場所に配置して撮影できるというもの。

KAWS 『COMPANION (EXPANDED) in Times Square, New York』(2020年)augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.
(画像=KAWS 『COMPANION (EXPANDED) in Times Square, New York』(2020年)augmented reality. Courtesy: KAWS and Acute Art.)

画像引用:https://numero.jp/

2018年から展開してきたアートプロジェクト『KAWS:HOLIDAY』では、ソウル、台湾、香港に続き、2019年には日本の富士山麓に巨大なサイズのコンパニオンの彫像が登場。さらに第5弾では、なんと宇宙が舞台に。宇宙飛行士姿のコンパニオンが上空41.5キロメートルまで打ち上げられ、約2時間にわたって無重力空間をさまよい、地上へと戻ってきた。その様子を収めた動画がKAWS自身のInstagramにも投稿されている。

日本初の大規模な展覧会

KAWSの展覧会は世界の美術館やギャラリーで開催されてきた。2021年には森アーツセンターギャラリー(東京・六本木ヒルズ森タワー内)を会場に、国内初の大型個展「KAWS TOKYO FIRST」が開催され、初期の作品から最新作までを一度に紹介。世界的な芸術家の軌跡を振り返ることができる展示として話題を呼んだ。

アートマーケットでの高額な取引

アートマーケットで価格が上昇していることも、KAWSの人気理由のひとつ。2019年、サザビーズ香港で開催されたNIGO®のプライベートコレクションオークションでは、《THE KAWS ALBUM》が予想落札価格の約15倍ともなる約16億2000万円(115,966,000香港ドル)で落札されている。

KAWSの作品をデジタルコレクション

そんなKAWSの作品も、ANDARTなら手軽にデジタルコレクションをすることが可能。KAWSのように非常に人気だったり値段が高かったりして手が届かない作品も、1万円からオーナー権を購入できる。また、オーナー限定の鑑賞イベントなどで実際に作品を目にする機会など、オーナーならではのメリットが用意されている。

現時点で、ANDARTで取り扱っているKAWSの作品は《NO REPLY》と《URGE》2点。どちらもKAWSらしさあふれるおすすめの作品なので、ぜひチェックしてみてほしい。

まとめ

学生時代に活動を始めた当初は、ストリートで落書きをしていたKAWSだが、今では現代アートシーンを牽引する存在。美術館やギャラリーに所属されているだけでなく、ファッション業界とのコラボによって生活に作品が溶け込んでいる。ARなど最先端のテクノロジーを駆使した試みを行うなど、常に新しいチャレンジを続けているアーティストなので、今後の活動からも目が離せない。

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文:ANDART編集部