日本初、アート作品の共同保有プラットフォーム「ANDART」。1枠1万円からのオーナー権(所有権)を購入することで、KAWSやバンクシーなど本格アート作品のコレクションを楽しむことができます。
もちろんです。ANDARTの共同保有作品は、万全な環境が整った美術品倉庫で保管しており、公共施設などで展示される際にも取り扱いに細心の注意が払われています。この記事では、ANDARTで実施したコンディションチェックの様子をご紹介します!
アート作品はデリケート! 適切な環境での保管が大切
個人でアート作品をコレクションするにあたって、ハードルになりやすいのが保管場所と保管方法。「大きすぎて置けない」「触ったらパーツが壊れそう」など分かりやすいところだけでなく、ぱっと見では分からない部分も劣化してしまう可能性があります。
特に日本においては、湿気が最大の敵。湿度の高い場所に作品を放置しておくと、カビが発生したり、支持体が伸縮して絵具に亀裂や割れが生じてしまうことも。また、直射日光も変色・退色を引き起こします。作品に適した環境は、使われている素材にもよりますが、一般的には温度が20℃前後、湿度が50-55%程度。美術館などに行くと「少し肌寒いな」と感じることがあると思いますが、作品にとって最適な状態になるようしっかり管理されているんです。一般家庭で年中適切な環境を保つのは、なかなか難しいですよね。
寺田倉庫の「TERRADA ART STORAGE ONLINE」は、作品1点からの預け入れができるとのことで、個人コレクターから注目されています。もちろん自宅に飾るという楽しみ方もありますが、資産価値という観点からは、専用の空間でプロに管理をお任せするのが最も安心だといえます。
共同保有作品26点のコンディションチェックを実施!
ANDARTでは作品ごとに定期的なコンディションチェックと、必要に応じたメンテナンスを行っています。2021年10月末にはオーナー限定イベント「WE AND ART」で作品展示が行われましたが、それに先立って同6月に共同保有作品26点の大規模なチェックを実施しました。
今回コンディションチェックを行った作品は、下記26点です。(作品によって時期や頻度が異なり、今回入っていない作品についても別途点検していますのでご安心ください)
- 草間彌生《赤色かぼちゃ》
- 草間彌生《南瓜 B》
- 草間彌生《靴》
- 五木田智央《LAZY BONES》
- 杉本博司《日本海 隠岐 V》
- 奈良美智《Flashlight Girl》
- 名和晃平《Direction#182》
- 名和晃平《Throne(g/p_pyramid)》
- 森洋史《Marilyn Monroe × Andy Warhol × Famicom #4》
- 山口歴《REVISUALIZE NO.7》
- ロッカクアヤコ《Untitled》
- ダニエル・アーシャム《ERODED CLASSICAL PRINTS》
- バンクシー《BOMB LOVE》
- バンクシー《Jack and Jill(Police Kids)》
- バンクシー《Sale Ends(v.2)》
- ジャン=ミシェル・バスキア《Jawbone of an Ass》
- アレックス・カッツ《Black Dress 6 (Yvonne)》
- KAWS《NO REPLY》
- KAWS《URGE》
- バリー・マッギー《Untitled》
- ジュリアン・オピー《New York Couples》
- パブロ・ピカソ《Portrait de Jacqueline de Face Etat Ⅲ 21-21-1961(Bloch 1064)》
- ゲルハルト・リヒター《Abstraktes Bild (P1)》
- レギーネ・シューマン《colormirror rainbow orange barcelona》
- アンディー・ウォーホル《Campbell’s Soup I (Pepper Pot)》
- アンディー・ウォーホル《Liz》
コンディションチェックの監修は、2021年2月からANDARTの顧問アドバイザーを務める内呂博之氏。内呂氏は金沢21世紀美術館でのコンサベーターを経て、現在ポーラ美術館で学芸員として作品の保存修復などに従事。美術作品の保存修復や近現代絵画史を専門としています。
内呂 博之(うちろ ひろゆき)氏 プロフィール
2001年、東京藝術大学大学院文化財保存学博士後期課程中退後、公益財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館学芸員(-2013年)。2014年より公益財団法人金沢芸術創造財団金沢21世紀美術館コンサベーター兼キュレーター(-2018年)。現在、ポーラ美術館学芸員。専門は美術作品の保存修復、近現代絵画史、藤田嗣治研究。共著に『もっと知りたい藤田嗣治 : 生涯と作品』(東京美術、2013年)、『「かたち」再考:開かれた語りのために』(平凡社、2014年)などがある。
どんなにコントロールされた環境で保管していても、経年による変化は起こり得ます。古い絵画を見ると分かると思いますが、年月が経つと絵具がひび割れたり、カンヴァスに歪みが出たりすることも。そのため、美術館では保存修復を担当する学芸員がおり、修復の専門家とともに作品のコンディションチェックやメンテナンスを行っています。
コンディションチェックは、いわば作品の健康診断のようなもの。今は問題がなくても今後病気になる予兆がないか、隅々までしっかり点検し、少しでも気になるところがあったら早期に対処することで、より長く元気な姿を保つことができるのです。
長期的な視点で、6作品をメンテナンス
コンディションチェックを行った全作品について、作品が有する資産性に問題がない状態であることが確認されました。作品の仕入れや管理を担当するANDART内部署Art Divisionで、各作品の細かい状態をひとつひとつ記録しています。
額装は作品そのものの価値には影響しませんが、アクリルの汚れや額装裏のゆるみもしっかりチェック。イベントなどでの展示に備え、各作品を設置する際に気をつけるべき点も確認しました。
長期にわたって現状の良好なコンディションを維持するために、6作品についてはメンテナンスを実施することに。たとえばプリント作品の紙がたるんできた、絵具に亀裂が見られるなどの懸念点が見つかった場合、プロが適切な措置を施せば、修復して元に近い状態に戻したり、悪化を食い止めたりすることができます。(早めの対処が重要だからといって、素人がいじってしまうと取り返しがつかなくなることもあるので、くれぐれも注意してくださいね)
次回は、修復についてのレポートをお届けする予定です。オーナーの皆さまの大切な作品がどのように管理されているのか、随時公開していきますので、今後もお見逃しなく!
今回ご紹介したANDARTのサービスが気になったら、まずは無料会員登録してみてくださいね。共同保有サービスが利用できるのはもちろん、新作情報やオークション速報など、お得なアート情報をお届けしています。
文:稲葉 詩音