展覧会情報から、注目のオークション結果まで。今週のアートニュースを振り返ってみよう。(1ドル= 113.59円で換算)

目次

  1. アーティスト
  2. 注目の作品
  3. 注目のオークション
  4. オークション結果
  5. NFT
  6. 美術館
  7. 展覧会

アーティスト

▍現代アーティストのランキング「Kunstkompass」で、ゲルハルト・リヒターが最も重要なアーティストに選出される

世界で最も重要なアーティストとして選出された ゲルハルト・リヒター。
(画像=世界で最も重要なアーティストとして選出された ゲルハルト・リヒター。)

画像引用:https://www.monopol-magazin.de/

ドイツで1970年から毎年発行されている、世界で最も注目されている現代アーティストのランキング「Kunstkompass」において、画家 ゲルハルト・リヒターが世界で最も重要なアーティストとして選出された。このランキングにおいて、リヒターは18年間、トップの座を守っている。

最も重要な現代アーティストがいる国では、ドイツ(28名)がアメリカ(27名)とイギリス(12名)を抑えてトップに。本ランキングは、300以上の美術館での展示、専門誌のレビュー、主要美術館での購入や受賞などが評価されて、ポイントが加算される。一方、販売価格やオークション収入は考慮されていないという。(monopol)

注目の作品

▍ウォーホルの描いたバスキア、NBAチームの拠点で展示へ

「バークレイズ・センター」でプレーするブルックリン・ネッツ。バスキアをテーマにしたジャージや床の装飾が施されている。
(画像=「バークレイズ・センター」でプレーするブルックリン・ネッツ。バスキアをテーマにしたジャージや床の装飾が施されている。)

画像引用:https://news.artnet.com/

先日、アンディ・ウォーホルがジャン=ミシェル・バスキアを描いた肖像画がオークションに出品されることが明らかになったが、本作品のプロモーションのために意外な場所で展示されることが話題となっている。ブルックリンにある「バークレイズ・センター」という多目的ホール内のVIPクラブで展示の予定で、同ホールはNBAチーム「ブルックリン・ネッツ」の拠点となっている。同チームは、ホームゲームの際にバスキアをテーマにしたジャージや床の装飾を採用しているといい、クリスティーズの20/21世紀美術担当会長であるアレックス・ロッターがそのコラボレーションを提案したという。(artnet news)

▍バナナで反暴力を訴える?バンクシーの《Pulp Fiction》、ANDARTで取り扱い開始。

《Pulp Fiction》(2004年)
(画像=《Pulp Fiction》(2004年))

画像引用:https://www.myartbroker.com/

バンクシーのキャリア初期から人気が高く、映画好きの人にもお馴染みの作品《Pulp Fiction》のANDARTでの取り扱いが決定した。本作品のタイトルでもある「Pulp Fiction」(パルプ・フィクション)は、アメリカのクエンティン・タランティーノが監督を務めた1994年のクライムドラマ映画。その有名なワンシーンにおいて、拳銃をバナナに変え、反暴力・反戦を訴えた作品だ。作品オーナー権の一般販売は、10月25日(月) 正午12時から開始する。

注目のオークション

▍「ニューヨークシティ エイズ メモリアル」のためにアーティストたちが現代アート作品19点を提供。クリスティーズでオークションへ。

募金活動のために特別に制作されたダナ・シュッツ(左)、ニコラス・パーティ(右)の作品
(画像=募金活動のために特別に制作されたダナ・シュッツ(左)、ニコラス・パーティ(右)の作品)

画像引用:https://www.barrons.com/

KAWS、ダナ・シュッツ、キース・ヘリングなど、現代を代表するアーティストの厳選された19点のアート作品が、エイズで亡くなった10万人以上のニューヨーカーを追悼するために、11月9日にクリスティーズでオークションにかけられる。この募金活動のために特別に制作されたダナ・シュッツ、ニコラス・パーティの作品のほかは、各アーティストの財団からの寄付だという。集められた資金は、記念館の保存と、組織の芸術・文化・教育プログラムを支援にあてられるという。(PENTA)

▍SBIアートオークション、日本初のNFTアートオークションを10月30日に開催。

NFTオークション出品作品のひとつ《The Moonwalk Machine – Selena’s Step》/ スプツニ子!
(画像=NFTオークション出品作品のひとつ《The Moonwalk Machine – Selena’s Step》/ スプツニ子!)

画像引用:https://prtimes.jp/

日本のオークションハウス「SBIアートオークション」は、2021年10月30日に代官山のヒルサイドフォーラムにて、日本初のNFTオークションを開催する。オークショニアの取り仕切るアートオークションという舞台でNFTにスポットライトを当てるとともに、 文化研究者の山本浩貴と共に美術史文脈でのNFTの位置づけについて探るという。(特設ウェブサイト)

▍東京・原宿発のアートオークションイベント 「NEW AUCTION」、11月6日に開催。

「NEW AUCTION」キービジュアル
(画像=「NEW AUCTION」キービジュアル)

画像引用:https://prtimes.jp/

東京の文化発信地、 原宿を拠点とし今年6月に発足したアートオークションハウス「NEW AUCTION」が、初の公開型オークション「NEW AUCTION」を2021年11月6日に開催する。パブロ・ピカソ、ゲルハルト・リヒター、ロッカクアヤコ、アレックス・カッツ…と、著名なアーティストたちの作品も多数出品させる。オークションに先駆け、2021年10月30日から11月6日まで、 渋谷 MIYASHITA PARK内アートスペース「SAI」にて全作品を展示したプレビューも開催する予定だ。(NEW AUCTION)

オークション結果

▍個性強めな作品がランクイン!10月15日フィリップスイブニングセール

2021年10月15日、フィリップスの「20th Century & Contemporary Art Evening Sale」がロンドンで開催された。20世紀以降の現代アート作品が出品され、前日に開催されたDay Saleと併せて、約54億5,697万円の落札総額となった。キース・ヘリングやジャン=ミシェル・バスキアとも親交を持っていたジョージ・コンドや、ゲルハルト・リヒターなどど並び、ドイツを代表する現代画家として知られるジグマー・ポルケらの作品が上位にランクインした。

▍NFTで話題の若手が登場!10月8日〜15日サザビーズ(ロンドン)

2021年10月8日から15日にかけて、サザビーズ「Contemporary Art Day Auction」がロンドンで開催され、ANDARTでも取り扱い中のバンクシーやダミアン・ハーストを始め、近年注目の高まる現代アーティストの作品が続々登場した。2020年にNFTを積極的に活用しながらデジタルアートを発表しはじめ、2021年6月には、クリスティーズに出品された作品にNFTの入札者が殺到。オークションサイトがダウンするほどの人気ぶりを見せたFEWOCiOUS(フュウオシャス)の作品が2位以下と大きな差をつけて1位を獲得するなど、新たな動きも見える展開となった。

NFT

▍NFTの売上高、今年の最初の3四半期で約4,000億円に。

Bored Ape Yacht Club(BAYC)のNFT作品
(画像=先週、約1.5億円(982,500ポンド)で落札された、ネット上で最も人気のあるNFTプロジェクトのひとつであるBored Ape Yacht Club(BAYC)のNFT作品。 )

画像引用:https://www.theartnewspaper.com/

ロンドンに拠点を置くアートマーケット調査会社「ArtTactic」の調査によると、NFTの売上高は、今年の第1~3四半期でこれまでに約4,000億円 (約35億ドル) に達したという。ただし、これは非常に不安定な市場であり、9月にはNFTの売上が69%も減少したという。

また、最近では購買のフォーカスに変化が表れているようで、今年初めの第一次NFTブームでは、一人のアーティストによる作品(ahem, Beeple)に集中する傾向があったが、現在は、Crypto PunksやBored Apes Yacht Club(BAYC)などの集団による「コード生成アート」が求められているという。NFT作品は、独自性、所有権、ゲーミフィケーション、ストーリー性の組み合わせが、新世代のコレクターや投資家の間で販売や投機を促進しているという。(THE ART NEWSPAPER)

▍サザビーズ、NFT事業を強化へ。スタートアップ「Mojito (モヒート)」に出資。

サザビーズのNFT専用独自のマーケットプレイス「Sotheby’s Metaverse(サザビーズ メタバース)」を支えるスタートアップのMojitoは、今週、資金調達ラウンドで2,000万ドルを調達し、評価額の合計が1億ドルになったことを発表した。サザビーズは、この分野のスタートアップに投資することで、強固な体制を整えているという。(THE BLOCK)

先週、サザビーズはNFT専用の独自のマーケットプレイスを立ち上げたことを発表したが、今週は、このプラットフォームで第一回目のセールを開始。今年の4月にサザビーズは初めてNFTのオークションを行ったが、今後、サザビーズのNFT販売はこのプラットフォームで行われることになるという。(ARTnews)

美術館

▍ウィーン観光局、アダルト系SNS「OnlyFans」でアート作品を公開。ヌード作品のSNSによる検閲を避けるため。

アルベルティーナ美術館の夜景
(画像=アルベルティーナ美術館の夜景)

画像引用:https://news.artnet.com/

Instagram、Facebook、TikTokなどのソーシャルメディアによる検閲を避けるために、ウィーン観光局はヌードなどの作品を展示する新たな場として、アダルト系のコンテンツを配信可能なSNS「OnlyFans」を選択した。Instagramは、コミュニティガイドラインのポリシーが厳しく、ウィーンの美術館やギャラリーがヌードを含む作品をプロモーションキャンペーンに使用することは「ほとんど不可能」だという。Facebookでは、過去にエゴン・シーレのヌードが拒否され、アルベルティーナ美術館のTikTokアカウントは、荒木経惟が撮影した女性の胸を写した写真を投稿したことで7月に停止された。

担当者は、「これらの芸術作品は、ウィーンにとって非常に重要なものです…. ソーシャルメディアのような強力なコミュニケーションツールで使用できないとしたら、それは不公平で悔しいことです」と語り、美術館側は、ソーシャルメディアサイトでの検閲問題に注目してもらいたいと考えているようだ。(artnet news)

▍バルセロナに新たな現代美術館が誕生

Moco Museum バルセロナの展示風景
(画像=Moco Museum バルセロナの展示風景)

画像引用:https://www.prnewswire.com/

10月16日、スペインに新たな美術館、「Moco Museum バルセロナ」をオープンした。「Moco」は「モダン・コンテンポラリー」の略。2016年にオープンした「Moco Museum アムステルダム」の成功を受けての開業となった。「Moco Museum バルセロナ」では、アンディ・ウォーホル、ジャン=ミシェル・バスキア、バンクシー、ダミアン・ハースト、ジュリアン・オピー、キース・ヘリング、KAWS、草間彌生などの作品を展示するほか、teamLabなどのデジタル体験型のアートも展示するという。(CISION)

▍10年以上の論争と延期を経て、エドヴァルド・ムンクの大規模な新しい美術館がノルウェーにオープン。

オスロに完成した新しい「ムンク美術館」
(画像=オスロに完成した新しい「ムンク美術館」)

画像引用:https://news.artnet.com/

ノルウェーでは、エドヴァルド・ムンクの存在は非常に大きいが、その首都の中心部にムンクの名を冠した美術館が建設された。ムンクの名を冠した新しい美術館は、13階建て、283,000平方フィートの建物は、単一アーティストの美術館としては世界最大級の規模を誇る。そのコレクションには、オスロ市に遺贈された「マドンナ」や様々なバージョンの「叫び」など、彼の最高傑作も含まれる。同美術館は2008年に設計コンペを開始したが、建設作業は何度も頓挫し、2011年には財政的な理由から一度はプロジェクトの中止も決定されていた。(artnet news)

展覧会

▍日本国内で2つのゲルハルト・リヒターの展覧会の開催を発表。

日本国内で2つのゲルハルト・リヒターの個展が開催されることが発表された。ひとつは、2022年に「東京国立近代美術館」と「豊田市美術館」を巡回する大規模個展「ゲルハルト・リヒター展」。日本の美術館では16年ぶり、東京と愛知では初となる、リヒターの大規模個展であり、画家自らが愛蔵してきた作品群を中心に、60年にわたるその画業を紹介するという。

また、今年11月からは、「ルイ・ヴィトン」が展開するエスパス ルイ・ヴィトン大阪では、ゲルハルト・リヒターの展覧会「アブストラクト(Abstrakt)」が5ヶ月にわたって開催される。フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションから18点の抽象作品を公開するほか、今回が初公開となる作品の展示も行われるという。

▍名和晃平による2つの展覧会、都内で開催。

名和晃平による2つの展覧会「TORNSCAPE」「MOMENT」が都内で開催される。10月30日から天王洲アイルのSCAI PARKで開催される「MOMENT」では新作の写真シリーズ「Moment Photography」を展示。(会期:2021年10月30日〜11月13日) (SCAI PARK)

また、11月2日から谷中のSCAI THE BATHHOUSEで開催される「TORNSCAPE」では、サウンドスケープを原摩利彦が担当し、ギャラリーの空間全体を映像と音で満たす展示を行うという。(会期:2021年11月2日〜12月18日)(SCAI THE BATHHOUSE)

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文:ANDART編集部