展覧会情報から、注目のオークション結果まで。カテゴリ別に今週の世界のアートニュースを振り返ってみよう。(1ドル= 114.11円で換算)

目次

  1. 注目の作品
  2. オークション結果
  3. アートフェア
  4. NFT
  5. 展覧会・イベント

注目の作品

▍KAWSの巨大作品プロジェクト「KAWS:HOLIDAY」がシンガポールに上陸

KAWSの巨大作品プロジェクト「KAWS:HOLIDAY」
(画像=KAWSの巨大作品プロジェクト「KAWS:HOLIDAY」)

画像引用:https://www.lifestyleasia.com/

11月13日から11月21日まで、KAWSのアイコン的キャラクター「コンパニオン」をモチーフとした長辺42mもの巨大なアート作品がシンガポールで展示される。「コンパニオン」が自身のミニチュアを抱きしめる作品。「KAWS:HOLIDAY」は香港のクリエイティブスタジオ「AllRightReserved」とのコラボレーションで2018年にスタート。その後、台北、香港、日本、ソウルなどのアジアの都市を巡り、大型の浮遊彫刻を披露してきた。シンガポールでの展示は初となる。(LIFESTYLE ASIA)

▍「オリジナルを贋作に変える」。ウォーホルの偽物999点と本物1点を各250ドルで販売することで作品の価値を問うアートコレクティブ。

アンディ・ウォーホルの≪Fairies≫のレプリカを作るために設計されたMSCHFの機械
(画像=アンディ・ウォーホルの≪Fairies≫のレプリカを作るために設計されたMSCHFの機械)

画像引用:https://news.artnet.com/

アートコレクティブ・MSCHFが、アンディ・ウォーホルが描いた初期のスケッチを購入し、999枚の正確なレプリカを作成し、オリジナルと複製の区別がつかないようにしてすべてを一枚250ドル (約2.9万円) で販売する。購入者は、0.1%の確立で2万ドル (約230万円) 相当のウォーホル作品を250ドルで購入出来ることになるが。それが本物かどうかは入手後も分からない。MSCHFの声明によれば「針を針山に埋めることで、オリジナルを私たちの複製と同じように贋作にしてしまう」ことになるという。

なお、MSCHFは、かつて、ダミアン・ハーストのスポットペインティングの円を切り抜き、1つずつ”バラ売り”するというパフォーマンスを行ったことでも知られている。(artnet news)

▍ダミアン・ハーストのNFTプロジェクト「The Currency」、NFTから物理的作品への交換がスタート。

ダミアン・ハーストのNFTプロジェクト「The Currency」において、NFTから物理的作品への交換がスタートし、当初購入したNFT(デジタル)の状態から、ギャラリーで物理的作品に交換する人たちが列をなした。本プロジェクトでは、1万点のNFT作品が1点2,000ドル (約22.8万円) で販売されたが、購入者は1年後に作品をデジタル版で持つか物理的な作品として持つのかを自身で選択しなければならない。ダミアン・ハーストのInstagramでは、実際に物理的な作品を手に取って鑑賞する人たちの姿が投稿されている。(ダミアン・ハースト Instagramより)

なお、NFT作品の取引は未だ活発に行われており、2,000ドルで発売された作品は時折高騰を見せるが、ここ1ヶ月半ほどは20,000〜30,000ドル (約228万円〜342万円)周辺で安定して取引されている様子だ。

▍NFT作品で有名な Beeple が初の物理的作品を販売へ。

≪HUMAN ONE≫ / Beeple
(画像=≪HUMAN ONE≫ / Beeple)

画像引用:https://news.artnet.com/

今年3月、BeepleによるNFT作品ががオークションで6,900万ドル (約79億円) で落札され話題を呼んだが、そのBeepleが初めて物理的な作品を制作し、クリスティーズはこれを11月9日に開催される21世紀イブニングセールの目玉として出品することを発表した。

≪HUMAN ONE≫と名付けられたこの立体作品は、デジタルとのハイブリッド作品。電話ボックスほどの大きさの直方体の側面にはLEDスクリーンが設置されており、宇宙飛行士が異世界の風景の中を散歩するアニメーション映像がループする。(artnet news)

オークション結果

▍貴重なエディション作品が大集合。10月19日〜21日開催フィリップスオークション(NY)。

2021年10月19日〜21日にかけてフィリップス(ニューヨーク)でエディション作品が多数出品される「Editions & Works on Paper」オークションが行われ、アンディ・ウォーホルら、ANDARTでもおなじみのアーティスト達が上位にランクインした。ANDARTでは、落札価格上位5作品と、ANDART関連作品の落札情報をピックアップして紹介している。

▍落札額は総額124億円超。ラスベガスのリゾートで開催されたピカソだけのオークション。

2021年10月23日に、ピカソの140回目の誕生日(10月25日)に合わせ、統合型リゾートとして有名な羅臼ベガスの「MGMリゾーツ」でピカソの作品だけ11点を集めたオークションが開催された。サザビーズがニューヨーク以外の北米で初めてイブニングセールを開催するという異例のオークションであり、出品された作品がすべて落札される「ホワイトグローブセール」となった。ANDARTでは、注目の作品とともに、本オークションから見えるラスベガスのアートを活用したビジネスモデルについて紹介している。

アートフェア

▍世界25カ国のアートが集結!東京国際アートフェア訪問レポート。

10月8日、9日間にかけて世界中のアーティストとコレクターを繋ぐ東京国際アートフェアがベルサール六本木にて開催された。様々なアーティストやギャラリーがコレクターに直接作品を展示・販売をするブースを設け、売買手数料は一切かからないというユニークなイベント。ANDARTでは、本アートフェアを実際に訪問し、その模様をレポートしている。

NFT

▍Photoshopが作品のNFT化をサポート。新たな認証機能を導入へ。

Photoshopが作品のNFT化をサポート
(画像=Photoshopが作品のNFT化をサポート)

画像引用:https://www.engadget.com/

Adobeは、デスクトップ版のPhotoshopを更新し、NFTの真正性を証明するのに役立つ新たな認証機能を発表した。アーティストが自分の暗号資産用のウォレットやソーシャルメディアのアカウントをリンクすると、購入者は、アート作品の制作に使用されたウォレットが、その作品を鋳造したのと同じウォレットであることを確認できる。Adobeは、この機能を実現するために、KnownOrigin、OpenSea、Rarible、SuperRareなど、いくつかのNFTマーケットプレイスと提携している。(engadget)

▍サザビーズ・メタバースで初のNFTセール。新規のNFTの投資会社が複数作品を購入。

約340万ドルで落札された≪#8817≫ / Bored Ape Yacht Club
(画像=約340万ドルで落札された≪#8817≫ / Bored Ape Yacht Club)

画像引用:https://metaverse.sothebys.com/

サザビーズが新たにローンチしたデジタルアート専用プラットフォーム「Sotheby’s Metaverse」において、最初のセールが開催された。9日間の入札期間を経て、総額1,860万ドルの売上となった。今回のセールでは、新規に設立されたNFTの投資会社「Meta4 Capital」がBored Ape Yacht Clubの作品を340万ドル (約3.9億円) で落札し、Bored Ape1点あたりのオークションの新記録を樹立。また、この会社はさらに2つのNFT作品を合計510万ドル (約5.8億円) で購入したという。(artnet news)

展覧会・イベント

▍アートウィーク東京が11月4日からスタート。日本の現代アートを世界に発信。

2021年11月4日から7日の4日間、東京から現代アートを世界に向けて発信するためのプロジェクト「アートウィーク東京」が開催される。国際的に活躍するギャラリーや国立美術館から、新世代のアーティスト・ラン・スペースまで、現代アートを牽引してきた都内50のギャラリーと美術館が「現代アート」を軸に集い協働する、かつてない規模のアートイベントとなる。会期中は。アートスポットを繋ぐ「アートバス」の運航が行われるほか、最新のアート・トピックをフォローする「オンライントーク」などが行われるという。(アートウィーク東京)

▍クリスチャン・マークレー、江之浦測候所で2日間のサウンド・パフォーマンスを開催。

クリスチャン・マークレー (Photo by The Daily Eye)
(画像=クリスチャン・マークレー (Photo by The Daily Eye))

画像引用:https://www.odawara-af.com/

小田原文化財団 江之浦測候所は。現代アートプロジェクト第2弾として、クリスチャン・マークレーを招聘し、サウンド・パフォーマンス《Found in Odawara》を開催することを発表した。開催日は2021年11月27日、28日の2日間。70年代末にターンテーブルとレコードを楽器として用いて音楽を創り出すターンテーブル奏者の先駆者として注目を浴びたクリスチャン・マークレー。今回のパフォーマンスでは、現代美術作家・杉本博司が設立した小田原文化財団 江之浦測候所を舞台に、5人の音楽家、パフォーマーとともに2日限りの即興音楽を創り出すという。(クリスチャン・マークレー《Found in Odawara》)

なお、クリスチャン・マークレーは、2021年11月20日(土)より、東京都源田美術館で日本初の大規模個展「トランスレーティング[翻訳する]」を開催することでも注目されている。

▍ヨックモックミュージアム、第二弾の展覧会「地中海人ピカソー神話的世界に遊ぶ」展がスタート。

ヨックモックミュージアムで10月26日より、スペイン美術史の第一人者で早稲田大学名誉教授の大髙保二郎を監修者に迎えし、ピカソのセラミック作品を中心とした展覧会「地中海人ピカソー神話的世界に遊ぶ」展が開幕した。65歳をすぎ、騒がしいパリを離れて移住した南仏コート・ダジュールで制作したセラミック作品群を紹介する。(ヨックモックミュージアム

▍ダミアン・ハースト、「ボルケーゼ美術館」での展覧会をInstagram上でツアー。

イタリア・ローマにある「ボルケーゼ美術館」で11月7日まで「Archaeology Now(考古学、いま)」展が開催され、ダミアン・ハーストによる80点以上の絵画と彫刻が展示されている。この展示を現場で見られない人のためにと、ハーストは自身のInstagramで複数のショートムービーを公開し、彼自身のアテンドで展示の様子を紹介している。

もともと貴族の邸宅であった絢爛豪華な美術館の建物内に、ハーストが「架空の難破船から引き揚げられた財宝」をイメージして制作したダイナミックな作品群が並ぶ様子は壮観だ。また、同美術館で気に入っているコレクション作品とあわせて自身の作品を配置している様子なども紹介している。(ダミアン・ハースト Instagramより)

なお、ANDARTでは、このこのほかにも現在世界で開催中の5つのダミアン・ハーストの個展の様子を紹介している。彼の作品の幅広さが実感できるので、是非こちらもあわせてチェックして欲しい。

ANDARTに会員登録すると、オークション情報やオーナー権販売情報をいち早くお届け!メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できます。

文:ANDART編集部