キャピタルゲインと聞くと、投資を専門に行っている投資ファンドなどをイメージされるかもしれない。しかし、その本質は意外と我々の生活において身近な事柄である。今回は、キャピタルゲインとは何かを取り上げるとともに、メリットやデメリットなどについて解説を行う。
目次
キャピタルゲインとは?
キャピタルゲイン(capital gain)とは、株式や債券などの保有資産(キャピタル)を売却することによって得られる売却益(ゲイン)のことである。
キャピタルゲインの例
例えば、20万円で購入した株式が100万円になったときに売却したとしよう。売却価額100万と取得価額20万円との差額80万円がキャピタルゲインだ。
不動産投資を行う場合でも同様に、不動産の取得価額と売却したとき価額との差額がキャピタルゲインに該当する。キャピタルゲインは株や不動産だけでなく、貴金属や絵画などの資産売却でも得られる可能性がある。もちろん、売買を行った場合に必ず利益が出るとは限らない。
売却することによって損失が出た場合、キャピタルロスと表現されることがある。
キャピタルゲインと対になる概念
投資では、キャピタルゲインと対になる概念としてインカムゲインが知られている。一般的にインカムゲイン(income gain)とは、資産を保有することで安定的かつ継続的に発生する現金収益をいう。身近な例として、普通預金や株式の配当金などがあげられる。不動産投資を行っている場合、家賃収入がインカムゲインだといえる。キャピタルゲインとあわせて覚えておこう。
キャピタルゲインのメリット2つ
投資では、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙うべきか迷うことも多いはずだ。検討材料として、キャピタルゲインのメリットを解説していく。
メリット1.大きな利益が得られる
キャピタルゲインを狙う資産運用は、ハイリスク・ハイリターンだといわれている。投資期間が同じ場合、インカムゲインを上回る投資利益を狙える可能性があるだろう。例えば、株式投資などでは数ヵ月で株価が数倍から数十倍になることもある。株価が安いタイミングで取得し、高くなったタイミングで売却すれば、大きなキャピタルゲインを得られる。
不動産や絵画などの資産についても同様だ。安く取得して高い値段で売却すれば、大きな利益を得られる。
メリット2.比較的短期間で利益が得られる
新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、株式市場が一時的に暴落した。しかし、ワクチン開発等の情報を受けて急速に事態が回復した。このような株式市場において、暴落したタイミングで投資を行って、回復したあとに株式を売却することにより、比較的短期間で利益を得られた投資家も多かったのではないだろうか。
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キャピタルゲインのデメリット3つ
続いてキャピタルゲインのデメリットも確認していこう。
デメリット1.投資損失が大きくなるリスクがある
売却時に、不動産や株式などの投資商品の価格が購入時よりも低くなって生じる損失が「キャピタルロス」である。キャピタルゲインを狙うことで利益が大きくなる可能性もあるが、保有期間に価格が下落して損失額が大きくなることもあるため注意したい。一般的には、投資金額やレバレッジが大きいほどキャピタルロスも大きくなるだろう。
株式投資では、投資先企業の業績だけに限らず、経済変動や自然災害などの影響も受ける。また、不動産投資においても自然災害などの影響は、不動産価値を大きく減少させる原因となりかねない。予測不可能な要素によって投資商品の価値は大きく変化するため、投資はハイリスク・ハイリターンであることを念頭に置く必要がある。
ただし、キャピタルロスは、あくまで売却時に生じるものだ。まだ売却していない場合の損、いわゆる含み損はキャピタルロスにはならない。投資損失(キャピタルロス)が出た場合、投資商品によっては、ほかの投資商品と損益通算したり、損失を翌年以降に繰り越したりすることができる。しかし、損益通算や損失の繰り越しは、確定申告が必要なため、申告し忘れがないように注意したい。
デメリット2.投資資産の売却が必要不可欠
キャピタルゲインは、投資した資産の売却によって得られるため、売却時まではキャピタルゲインが確定しない。そのため、売却前に含み益があったとしても、投資資産の価格が急落した場合、キャピタルゲインではなく、キャピタルロスとなってしまうことがある。
株式投資において、ひとつの銘柄全部を売却しようとして、その一部分を売却しているうちに、市場価格に影響を与えてしまうケースもある。全部の売却を終えたタイミングでは、キャピタルロスとまではいかないが、大きな利益が得られない場合もある。
デメリット3.塩漬けになる危険性もある
投資資産の価値が上昇すれば短期間で利益を得ることができるが、当然、投資資産の価値は下落することもある。この場合、売却するとキャピタルロスになるが、価格は常に変動するため、売却せずに保有しつづけることも可能だ。ただし「投資商品が塩漬けになる危険性もある」ということは念頭に置いておきたい。
投資商品が塩漬けかつ長期保有となることは、キャピタルゲインが得られないデメリットを生むだけではなく新たな利益を生む機会も失うことになる。つまり、投下資本がひとつの投資商品にとどまることで別の投資商品に資本を投下することができなくなるのだ。そのため、投資資産の価値が下落している場合は「キャピタルロスを出す」「投資商品が塩漬けになる危険性」という両方を考慮しておきたい。
これらを踏まえたうえで、将来的に売却するかどうかを考える必要がある。
デメリット4.最低限の知識が必要となる
キャピタルゲインを得るには、最低限の知識が必要だ。投資を行う時点から資産の値段を正しく分析できて初めて適切な判断を下せる。資産の割安・割高を判断することは、決して簡単なことではない。投資対象資産についての理解が求められる。
キャピタルゲインに対する税金
法人と個人がキャピタルゲインを得た場合、どのような税金が発生するかを見ていきたい。
ケース1.法人
法人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、法人所得に含めて法人税等を計算する。そのため、通常の事業活動で得られた売上から費用を差し引いた利益に、キャピタルゲインを加えて税金の計算が行われる。
ケース2.個人
個人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、資産の売買を行った年度(1月1日から12月31日)の所得となるが、給与所得とは別に計算される。税率も異なるので注意が必要だ。資産の種類ごとに詳しく解説する。
【株式譲渡益に関する課税】
株式等を譲渡した際にキャピタルゲインが発生した場合、税務上は譲渡所得として扱われる。その所得金額は、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」の2つに区分したうえで、ほかの所得とは別に税金の計算を行う。「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」は、それぞれ別々に計算する。
例えば、上場株式の売買を行ったことでキャピタルロスが発生していた場合、自身の経営する未上場会社の株式を売却したことで得られたキャピタルゲインがあったとしても、その「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」から控除できない。逆も同様で、上場株式の売買で生じたキャピタルゲインについて、未上場株式の売買で発生したキャピタルロスを控除できない。
適用される税率は、所得税(15%)と個人住民税(5%)を合計した20%となる。ただし現在は、復興特別所得税を含めて20.315%だ。通常は、証券会社の特定口座内で運用されていることが多いだろう。その場合、特定口座内で源泉徴収がされているため、原則として確定申告を行う必要はない。
しかし、複数の証券口座がある場合にキャピタルゲインとキャピタルロスが両方発生しているのであれば、確定申告を行って損益通算を行うことで還付を受けられることもある。確定申告時には念頭に置いておきたい。
【不動産売却益に関する課税】
不動産を売却した際に大きなキャピタルゲインが発生することがある。不動産売却にともなうキャピタルゲインの税務は複雑だ。しかし、税負担を軽減できることもある。土地や建物の譲渡所得に対する税金は、ほかの所得と区分して計算する。キャピタルゲインに課せられる税率は、売却した土地や建物の所有期間によって異なる。
具体的には、売買を行った年の1月1日現在で5年を超えるかどうかで、所得は長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられる。税率は、短期譲渡所得の場合が39.63%、長期譲渡所得の場合が20.315%だ。
不動産売却益に関する譲渡所得の課税対象には、土地のほかに借地権や耕作権など土地に存する権利や、海外に所在する土地や建物も含む。確定申告の時期に、ほかの所得と合わせて計算して申告納税を行うことになる。相続後に納税額を軽減できる税制などもあるため、不動産を譲渡する場合などは事前に専門家に確認することをおすすめする。
【そのほかの資産の譲渡益に関する課税】
金や絵画など、不動産以外の資産を売ったときのキャピタルゲインに対する課税も解説しておく。そのほかの資産の譲渡益に関する所得は、原則として給与等と同じ総合課税に含めて計算される。対象資産の所有期間に応じて、総合課税における短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、次のように計算される。
所有期間が5年を超える長期譲渡所得のほうが、課税所得が半分となって有利である。そのため、キャピタルゲインを得る際に、資産の保有期間が5年を超えるかどうかもあわせて考慮するとよいだろう。ちなみに、30万円以下の生活用資産を譲渡した場合など、所得税が課されないキャピタルゲインもあるので頭の片隅に置いておきたい。
海外のキャピタルゲイン課税
日本では、キャピタルゲインに対する課税は「分離課税」となっている。分離課税とは、事業や給与などのほかの所得と別に独立して税金の計算を行う課税方法だ。事業や給与などの所得は、さまざまな所得を合算した金額に税金を課す「総合課税」である。では、海外のキャピタルゲイン課税は、どのようになっているのだろうか。
海外のキャピタルゲイン課税は、基本的には、日本と同じように分離課税を採用している国が多い。例えばアメリカでは、段階的課税(分離課税)となっている。段階的課税とは、所得金額を一定の段階に分けて段階ごとにより高い税率を乗じる課税方法だ。アメリカでは、配当所得およびキャピタルゲインの所得に対して「0%・15%・20%」の3段階の税率が課される。
またそれ以外にも、各州の税金(日本の地方税のようなもの)が課されるので注意が必要だ。ちなみに、イギリスでは2段階、ドイツでは1段階の分離課税となっている。一方フランスでは、分離課税と総合課税の選択ができる。
キャピタルゲインとインカムゲインの違い
株式などの投資商品への投資や資産運用で得られる収益には、キャピタルゲインとインカムゲインの2つがある。キャピタルゲインとインカムゲインの違いは以下の通りだ。
【キャピタルゲインとインカムゲインの違い】
キャピタルゲインは、投資商品を「売却することで得ることができる収益」である。インカムゲインとは、投資商品を「保有することで得ることができる収益」だ。例えば株式を購入した場合、銘柄によっては保有期間中に配当を行う場合があるが、この配当金がインカムゲインとなる。また、賃貸用の不動産の購入であれば毎月家賃収入を得ることができるが、この家賃収入がインカムゲインとなる。
一方、株式や不動産を売却したことで得られる収益は、キャピタルゲインだ。インカムゲインは、保有している間ずっと得ることができる「継続的な収益」だが、キャピタルゲインは売却時のみの「一時の収益」という違いもある。
キャピタルゲインを得られる金融商品は?
ここからは、キャピタルゲインを得ることができる代表的な金融商品を具体的に見ていこう。
株式投資
証券会社などを通して株式を購入するのが株式投資である。株式投資(現物取引の場合)の目的は、株価が上がったことによる売却益(キャピタルゲイン)を得ることだ。一方、株式を保有することで配当金を得られる銘柄もある。一般的に配当金は、預金金利より利回りが高いことが多いため、配当金(インカムゲイン)目的で株式に投資する人も少なくない。
投資信託
投資信託とは、投資のプロが多くの出資者から出資金を集めて株式などで運用し利益を分配する投資商品だ。利益の分配金は、インカムゲインとなる。また投資信託は、途中で売却することも可能だ。その際の売却益は、キャピタルゲインとなる。
不動産投資
不動産投資は、一般的に賃貸用の不動産を購入し家賃収入を得ることを目的としていることが多い。毎月の家賃収入は、インカムゲインとなる。また保有している不動産は、価格の上昇時に売却して売却益を得ることも可能だ。その際の売却益は、キャピタルゲインとなる。
預金
現金を銀行口座に預金することも資産運用のひとつだ。預金をすると利息を得ることができるが、これはインカムゲインにあたる。預金では、通常キャピタルゲインはない。しかし、外貨預金のように通貨の両替時に為替差益を得ることができる金融商品もある。為替差益は一時の収益となるため、キャピタルゲインに該当する。
FX
FXとは、為替レートの値動きの差額により収益を得る投資商品だ。外貨預金と同様に為替差益は、キャピタルゲインとなる。一方、FXでは各国の金利差によりスワップポイントを得ることもあるが、スワップポイントは金利の調整分の性格を持つため、インカムゲインとなる。
キャピタルゲインに関するQ&A
Q.キャピタルゲインの意味は?
A. キャピタルゲイン(capital gain)とは、株式や債券などの保有資産(キャピタル)を売却することによって得られる売却益(ゲイン)のことをいう。例えば、20万円で購入した株式が100万円になったときに売却したとすれば、売却価額100万と取得価額20万円との差額80万円がキャピタルゲインとなる。
Q.インカムゲインの意味は?
A. インカムゲインとは、投資商品を「保有することで得ることができる収益」のことをいう。例えば株式を購入した場合、銘柄によっては保有期間中に配当を行う場合があるが、この配当がインカムゲインだ。また、賃貸用の不動産の購入であれば毎月家賃収入を得ることができるが、この家賃収入などがインカムゲインとなる。
Q.キャピタルゲインのメリットは?
A. キャピタルゲインのメリットは2つある。
1)大きな利益が得られる
キャピタルゲインを狙う資産運用は、ハイリスク・ハイリターンだといわれている。投資期間が同じ場合、インカムゲインを上回る投資利益を狙える可能性がある。例えば、株式投資などでは数ヵ月で株価が数倍から数十倍になることもある。株価が安いタイミングで取得し、高くなったタイミングで売却すれば、大きなキャピタルゲインを得られることになる。
2)比較的短期間で利益が得られる
例えば、株式市場において、暴落したタイミングで投資を行って、回復したあとに株式を売却することにより、比較的短期間で利益を得られることがある。
Q.キャピタルゲインのデメリットは?
A. キャピタルゲインのデメリットは4つある
1)投資損失が大きくなるリスクがある
売却時に、不動産や株式などの投資商品の価格が購入時よりも低くなることで「キャピタルロス」とよばれる損失が発生する可能性がある。キャピタルゲインを狙うことで利益が大きくなる可能性もあるが、保有期間に価格が下落して損失額が大きくなることもある。一般的には、投資金額やレバレッジが大きいほどキャピタルロスも大きくなるといえる。
株式投資では、投資先企業の業績に限らず、経済変動や自然災害などの影響も受ける。また、不動産投資においても自然災害などの影響は、不動産価値を大きく減少させる原因となりかねない。予測不可能な要素によって投資商品の価値は大きく変化するため、投資はハイリスク・ハイリターンであることを念頭に置く必要がある。
ただしキャピタルロスは、あくまで売却時に生じるものであり、売却していない場合のいわゆる含み損はキャピタルロスにはならない。投資損失(キャピタルロス)が出た場合、投資商品によっては、ほかの投資商品との損益通算や損失の翌年以降への繰り越しも可能だ。しかし損益通算や損失の繰り越しは、確定申告が必要なため、申告し忘れがないように注意したい。
2)投資資産の売却が必要不可欠
キャピタルゲインは、投資した資産の売却によって得られるため、売却時まではキャピタルゲインが確定しない。そのため、売却前に含み益があったとしても、投資資産の価格が急落した場合、キャピタルゲインではなく、キャピタルロスとなってしまうことがある。
株式投資において、ひとつの銘柄全部を売却するとき、その一部分を売却しているうちに、市場価格に影響を与えてしまうケースもある。全部の売却を終えたタイミングでは、キャピタルロスとまではいかないが、大きな利益が得られないことも起こる。
3)塩漬けになる危険性もある
投資資産の価値が上昇すれば短期間で利益を得ることができるが、当然、投資資産の価値は下落することもある。この場合、売却するとキャピタルロスになるが、価格は常に変動するため、売却せずに保有しつづけることも可能だ。ただし、長期間保有すれば「投資商品が塩漬けになる」こととなり、投下資金が動かせないというリスクがある。
投資商品が塩漬けかつ長期保有となることは、キャピタルゲインが得られないデメリットを生むだけではなく新たな利益を生む機会も損失することになる。つまり、投下資本がひとつの投資商品にとどまることで別の投資商品に資本を投下することができなくなる。そのため、投資資産の価値が下落している場合は「キャピタルロスを出す」「投資商品が塩漬けになる危険性」といった両方を考慮しておかねばならない。
4)最低限の知識が必要となる
キャピタルゲインを得るには、最低限の知識が必要だ。投資を行う時点から資産の値段を正しく分析できて初めて適切な判断を下せる。資産の割安、割高を判断することは、決して簡単なことではない。投資対象資産についての理解が求められることになる。
Q.キャピタルゲインに係る税金は?
A. 法人と個人ではキャピタルゲインにかかる税金の計算方法が異なる。
ケース1.法人
法人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、法人所得に含めて法人税等を計算する。そのため、通常の事業活動で得られた売上から費用を差し引いた利益に、キャピタルゲインを加えて税金の計算が行われる。
ケース2.個人
個人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、資産の売買を行った年度(1月1日から12月31日)の所得となるが、給与所得とは別に計算され税率も同じではない。
【株式譲渡益に関する課税】
株式等を譲渡してキャピタルゲインが発生した場合、税務上は譲渡所得として扱われる。その所得金額は、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」の2つに区分したうえで、ほかの所得とは別に税金の計算を行う。「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」は、それぞれ別々に計算する。
適用される税率は、所得税(15%)と個人住民税(5%)を合計した20%となる。ただし現在は、復興特別所得税を含めて20.315%だ。通常は、証券会社の特定口座内で運用されていることが多いだろう。その場合、特定口座内で源泉徴収がされているため、原則として確定申告を行う必要はない。
しかし、複数の証券口座がある場合にキャピタルゲインとキャピタルロスが両方発生しているのであれば、確定申告を行って損益通算を行うことで還付を受けられることもある。
【そのほかの資産の譲渡益に関する課税】
金や絵画など、株式や不動産以外の資産を売ったときの所得は、原則として給与等と同じ総合課税に含めて計算される。対象資産の所有期間に応じて、総合課税における短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、次のように計算される。
このほか、30万円以下の生活用資産を譲渡した場合など、所得税が課されないキャピタルゲインもある。
Q.不動産のキャピタルゲインに係る税金は?
A. 不動産売却にともなうキャピタルゲインの税務は複雑だ。土地や建物の譲渡所得に対する税金は、ほかの所得と区分して計算する。キャピタルゲインに課せられる税率は、売却した土地や建物の所有期間によって異なる。
具体的には、売買を行った年の1月1日現在で5年を超えるかどうかにより、所得は長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられる。税率は、短期譲渡所得の場合が39.63%、長期譲渡所得の場合が20.315%だ。
不動産売却益に関する譲渡所得の課税対象には、土地のほかに借地権や耕作権など土地の上に存する権利や、海外に所在する土地や建物も含む。確定申告の時期に、ほかの所得と合わせて計算して申告納税を行う。
Q.キャピタルロスの求め方は?
A. 売却時に、不動産や株式などの投資商品の価格が購入時よりも低くなることで発生する損失が「キャピタルロス」だ。例えば、100万円で購入した株式が40万円になったときに売却したとすれば、売却価額40万と取得価額100万円との差額60万円がキャピタルロスとなる。
投資に向けてキャピタルゲインの関連知識を整理
キャピタルゲインはハイリスク・ハイリターンが前提となるが、投資では無視できない存在であることが理解していただけただろう。課税のルールまで把握しておくと、投資リターンへの理解がより深まるはずだ。今後の投資に向けて関連知識を整理しておくとよいだろう。
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文・風間啓哉(公認会計士・税理士)