キャピタルゲインとは?メリットやデメリット、税務上の取り扱いなどを解説!
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風間 啓哉
風間 啓哉(かざま・けいや)
監査法人にて監査業務を経験後、上場会社オーナー及び富裕層向けのサービスを得意とする会計事務所にて、各種税務会計コンサル業務及びM&Aアドバイザリー業務等に従事。その後、事業会社㈱デジタルハーツ(現 ㈱デジタルハーツホールディングス:東証一部)へ参画。主に管理部門のマネジメント及び子会社マネジメントを中心に、ホールディングス化、M&Aなど幅広くグループ規模拡大に関与。同社取締役CFOを経て、会計事務所の本格的立ち上げに至る。公認会計士協会東京会中小企業支援対応委員、東京税理士会世田谷支部幹事、㈱デジタルハーツホールディングス監査役(非常勤)。

キャピタルゲインと聞くと、投資を専門に行っている投資ファンドなどがイメージされるかもしれない。しかし、意外と我々の生活において身近な事柄である。今回は、キャピタルゲインとは何かがわかるように、概要をはじめメリットやデメリットなどについて解説を行う。

目次

  1. キャピタルゲインとは?
    1. キャピタルゲインの例
    2. キャピタルゲインと対になる概念
  2. キャピタルゲインのメリット2つ
    1. メリット1.大きな利益が得られる
    2. メリット2.比較的短期間で利益が得られる
  3. キャピタルゲインのデメリット3つ
    1. デメリット1.投資損失が大きくなるリスクがある
    2. デメリット2.投資資産の売却が必要不可欠
    3. デメリット3.最低限の知識が必要となる
  4. キャピタルゲインに対する税金
    1. ケース1.法人
    2. ケース2.個人
  5. 投資に向けてキャピタルゲインの関連知識を整理

キャピタルゲインとは?

キャピタルゲイン(capital gain)とは、株式や債券などの保有資産(キャピタル)を売却することによって得られる売却益(ゲイン)である。

キャピタルゲインの例

たとえば、50万円で購入した株式が100万円になったときに売却したとしよう。差額50万円がキャピタルゲインとなる。

不動産投資を行う場合、不動産を売却したときの売却益がキャピタルゲインに該当する。

キャピタルゲインは株や不動産だけでなく、貴金属や絵画などの資産売却でも得られる可能性がある。もちろん、売買を行った場合に必ず利益が出るとは限らない

売却することによって損失が出た場合、キャピタルロスと表現されることがある。

キャピタルゲインと対になる概念

投資では、キャピタルゲインと対になる概念としてインカムゲインが知られている。

一般的にインカムゲイン(income gain)とは、資産を保有することで安定的かつ継続的に発生する現金収益をいう。

身近な例として、普通預金や株式の配当金などがあげられる。不動産投資を行っている場合、家賃収入がインカムゲインだといえる。キャピタルゲインとあわせて抑えておこう。

キャピタルゲインのメリット2つ

投資では、キャピタルゲインとインカムゲインのどちらを狙うべきか迷うことも多いはずだ。検討材料として、キャピタルゲインのメリットを解説していく。

メリット1.大きな利益が得られる

キャピタルゲインを狙う資産運用は、ハイリスク・ハイリターンだといわれている。投資期間が同じである場合、インカムゲインを上回る投資利益を狙える可能性があるだろう。

たとえば、株式投資などでは数ヵ月で株価が数倍から数十倍になることもある。株価が安いタイミングで取得し、高くなったタイミングで売却すれば、大きなキャピタルゲインを得られる。

不動産や絵画などの資産についても同様だ。安く取得して高い値段で売却すれば、大きな利益を得られる。

メリット2.比較的短期間で利益が得られる

新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、株式市場が一時的に暴落した。しかし、ワクチン開発等の情報を受けて急速に事態が回復した。

このような株式市場において、暴落したタイミングで投資を行って、回復したあとに株式を売却することにより、比較的短期間で利益を得られた投資家も多かっただろう。

キャピタルゲインのデメリット3つ

続いてキャピタルゲインのデメリットも確認していこう。

デメリット1.投資損失が大きくなるリスクがある

キャピタルゲインによって、利益が大きくなる可能性もあるが、保有期間に価格が下落して損失額が大きくなることもある。

株式投資では、投資先企業の業績だけに限らず、経済変動や自然災害などの影響も受ける。

予測不可能な企業環境の変化によって、株価が大きく変化する。したがって、ハイリスク・ハイリターンであることを念頭に置く必要がある。

デメリット2.投資資産の売却が必要不可欠

キャピタルゲインは、投資した資産の売却によって得られるため、売却時まではキャピタルゲインが確定しない

そのため、売却前に含み益があったとしても、投資資産の価格が急落した場合、キャピタルゲインではなく、キャピタルロスとなってしまうことがある。

株式投資において、ひとつの銘柄全部を売却しようして、その一部分を売却しているうちに、市場価格に影響を与えてしまうケースもある。

全部の売却を終えたタイミングでは、キャピタルロスとまではいかないが、大きな利益が得られないことも起こる。

デメリット3.最低限の知識が必要となる

キャピタルゲインを得るには最低限の知識が必要だ。投資を行う時点から、資産の値段を正しく分析できて初めて、適切な判断を下せる。

資産の割安・割高を判断するのは決して簡単なことではない。投資対象資産についての理解が求められる。

キャピタルゲインに対する税金

法人と個人がキャピタルゲインを得た場合、どのような税金が発生するかを見ていきたい。

ケース1.法人

法人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、法人所得に含めて法人税等を計算する。そのため、通常の事業活動で得られた売上から費用を差し引いた利益に、キャピタルゲインを加えて税金の計算が行われる。

ケース2.個人

個人の保有資産についてキャピタルゲインが発生した場合、資産の売買を行った年度(1月1日から12月31日)の所得となるが、給与所得とは別に計算される。税率も異なってくるので注意が必要だ。資産の種類ごとに詳しく解説する。

【株式譲渡益に関する課税】

株式等を譲渡した際にキャピタルゲインが発生した場合、税務上は譲渡所得として扱われる

その所得金額は、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」の2つに区分したうえで、ほかの所得とは別に税金の計算を行う。

「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」は、それぞれ別々に計算する。

たとえば、上場株式の売買を行ったことでキャピタルロスが発生していた場合、自身の経営する未上場会社の株式を売却したことで得られたキャピタルゲインがあったとしても、その「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」から控除できない。

逆も同様で、上場株式の売買で生じたキャピタルゲインについて、未上場株式の売買で発生したキャピタルロスを控除できない。

適用される税率は、所得税(15%)と個人住民税(5%)を合計した20%となる。ただし現在は、復興特別所得税を含めて20.315%だ。

通常は、証券会社の特定口座内で運用されていることが多いだろう。その場合、特定口座内で源泉徴収がされているため、原則として確定申告を行う必要はない。

しかし、複数の証券口座がある場合にキャピタルゲインとキャピタルロスが両方発生しているのであれば、確定申告を行って損益通算を行うことで還付を受けられることもある。確定申告時には念頭に置いておきたい。

【不動産売却益に関する課税】

不動産を売却した際に大きなキャピタルゲインが発生することがある。不動産売却にともなうキャピタルゲインの税務は複雑だ。しかし、税負担を軽減できることもある。
土地・建物の譲渡所得に対する税金は、ほかの所得と区分して計算する。しかし、キャピタルゲインに課せられる税率は、売却した土地や建物の所有期間によって異なる

具体的には、売買を行った年の1月1日現在で5年を超えるかどうかで、所得は長期譲渡所得と短期譲渡所得に分けられる。

税率は、短期譲渡所得の場合が39.63%長期譲渡所得の場合が20.315%だ。

不動産売却益に関する譲渡所得の課税対象には、土地のほかに借地権や耕作権など土地の上に存する権利や、海外に所在する土地・建物も含む。

確定申告の時期に、ほかの所得と合わせて計算して申告納税を行う。

相続後に納税額を軽減できる税制などもあるため、不動産を譲渡する場合などは事前に専門家に確認することをおすすめする。

【そのほかの資産の譲渡益に関する課税】

金や絵画など、不動産以外の資産を売ったときのキャピタルゲインに対する課税も解説しておく。

そのほかの資産の譲渡益に関する所得は、原則として給与等と同じ総合課税に含めて計算される。

対象資産の所有期間に応じて、総合課税における短期譲渡所得と長期譲渡所得に分けられ、次のように計算される。

キャピタルゲインとは?メリットやデメリット、税務上の取り扱いなどを解説!

所有期間が5年を超える長期譲渡所得のほうが、課税所得が半分となって有利である。そのため、キャピタルゲインを得る際に、資産の保有期間が5年を超えるかどうかもあわせて考慮するとよいだろう。

ちなみに、30万円以下の生活用資産を譲渡した場合など、所得税が課されないキャピタルゲインもあるので頭の片隅に置いておきたい。

投資に向けてキャピタルゲインの関連知識を整理

キャピタルゲインはハイリスク・ハイリターンが前提となるが、投資では無視できない存在であることが理解していただけただろう。課税のルールまで把握しておくと、投資リターンへの理解がより深まるはずだ。今後の投資に向けて関連知識を整理しておくとよいだろう。

文・風間啓哉(公認会計士・税理士)

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