天王洲アイルでの「バンクシーって誰?」展、渋谷での「バンクシー展 世界一小さな美術館@GMOデジタル・ハチ公」と、バンクシー作品が都内を賑わせているが、2021年12月より、原宿で新たなバンクシー展が開催されることが発表となった。
2018年からモスクワ、マドリード、香港、ニューヨークなどを巡回し、国内では横浜を皮切りに 大阪、名古屋、福岡の主要都市を巡回してきた「BANKSY展 GENIUS OR VANDAL?(バンクシー展 天才か反逆者か)」展がいよいよ東京に上陸。関東初登場となる作品も含む、70点以上のバンクシー作品を始め、映像やポスターなど計100点以上が過去最大級の規模で原宿に集結する。
Banksyとは?
バンクシー(Banksy)はイギリスを拠点に活動する匿名の芸術家。イギリスのブリストル出身と言われていて、ストリートアーティストとして、世界中の壁や橋などを舞台に制作している。自らの正体を明かさず、名前や生年月日、出身地までも正確な情報は発表されていない。神出鬼没で誰にも気付かれないうちに作品を描き去ることから「芸術テロリスト」とも呼ばれている。
≪Banksy Monkey Mask Session (Tag)≫ (写真家・James Pfaffによる、Banksy本人が正式に彼の肖像画として認めた1枚 画像引用:https://buy.and-art.co.jp/)
彼の作品はどれも非常にメッセージ性が強い。戦争、貧困、難民、人種差別などあらゆる政治的問題やを扱っており、それをアートという手法で観客に強烈なインパクトを残している。
展覧会の見どころは?
この展覧会は、バンクシー本人によってキュレーションされた展覧会ではなく、コレクターのコレクションが集結する世界巡回展だ。そのみどころを3つのポイントで見てみよう。
① 過去最大級の規模の作品数
バンクシーのグラフィティ作品の大半は壁面に描かれるため、すぐに塗りつぶされてしまい、現存しているものは多くない。そんななか本展では、複数の個人コレクターの協力のもと、貴重なオリジナル作品を含む、版画、立体オブジェクトなど70点以上のバンクシー作品を始め、映像やポスターなど計100点以上を過去最大級の規模で日本に集結させた。
② バンクシーが問いかける 社会へのユーモア溢れる風刺
バンクシーの作品はどれもキャッチーでユーモラスに見えるが、その背景には鋭い社会風刺や政治的メッセージが込められている。本展覧会では、「POLICE」「PROTEST」「CCTV」などテーマごとに作品をまとめ、裏側にある制作意図をあぶり出している。
③ インスタレーションやマルチメディアによる体験型展示
本展覧会では、バンクシーの世界観を追体験する展示も多く用意されている。迫力満点の大型3面スクリーンでは、これまでの活動を紹介するイメージ映像が広がり、また、作家の制作風景を連想させるインスタレーションでは、ステンシルの型やスプレー缶、制作イメージ映像などから、バンクシー像が浮き上がってくる。映像インスタレーションから、バンクシーの作品が仕掛けられた現場の再現など、多彩な表現による体験型展示が用意されている。
注目の関東初上陸作品!
昨年、横浜を巡回した本展覧会だが、現在巡回中の福岡展から加わり、今回、関東初上陸となる作品もある。その一部を見てみよう。
≪スロウアー≫
≪ラブ・イズ・イン・ジ・エア≫ はバンクシーの代表作のひとつだが、こちらはバンクシーが所有するザ・ウォールド・オフ・ホテルのロビーに展示されている貴重な三連作版。
男性が手に持っている花束は、平和的な抵抗を表し、パレスチナの困難な状況を思い起こさせる。本作の男性は難攻不落の分離壁を越えて花束を投げ入れようとしているようだ。
≪ノー・スイミング~注意! 水泳禁止!水辺には近づくな~≫
2006年にロンドンの中心部ハイド・パークの湖水泳場に設置された標識の作品。ワニなどいない湖にワニの絵とともに「注意!泳ぐな!」とメッセージがあるものの、3週間ほど誰にも注目されず、標識を誰も見ていないことを示した。
日常で目にするものを疑わず、真実を見ようとせず、目の前の世界を考えもせず盲目的に信じてしまう人間や社会への批判をしていると解釈できる作品だ。
≪メット・ボール≫
バンクシーは武力制圧を頻繁に批判し、軍隊や警察をからかった作品を多く発表しているが、本作品は警察への皮肉がたっぷり込められた立体作品。権威と国家統制の象徴である暴動用ヘルメットと、楽しさとエンターテイメントの象徴であるディスコボールが掛け合わされている。
さらに、そのタイトルは、セレブリティ・カレンダーの中で最も重要なファッションイベントのひとつ「Met Ball」とも掛けられている。
原宿にフォトスポットも登場!
今回、会場となるWITH HARAJUKUのB1階と3階には、2か所のフォトスポットが登場。バンクシーの作品で有名なモチーフのひとつであるチンパンジーを擬人化したキャラクターの描かれた≪Laugh now, but one day we’ll be in charge≫をモチーフにしたフォトスポットだ。
誰でも入れるエリアとなっており、展覧会のオープンに先駆け、いち早くBANKSYの世界に触れることができる。( ※B1階は常設、3階は不定期で不設置の場合も)
展覧会概要
「バンクシー展 天才か反逆者か」
オフィシャルホームページ:https://banksyexhibition.jp
会期:2021年12月12日(日)~2022年3月8日(火) ※2月24日(木)休館
10:00~20:00(最終入場30分前)
会場:WITH HARAJUKU(東京都渋谷区神宮前1丁目14−30)
JR山手線「原宿」駅(東口)より徒歩1分/
東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前〈原宿〉」駅(2番出口)より 徒歩1分
※本展は謎に包まれたアーティスト「BANKSY」によってオーソライズやキュレーションされた展覧会ではなく、コレクターのコレクションが集結する世界巡回展です。
なお、ANDARTでは、バンクシー作品を共同保有することができる。現在は、大手企業をパロディーにした≪Very Little Helps≫ を販売中のほか、≪Jack and Jill (Police Kids)≫ ≪BOMB LOVE≫ といった作品のユーザー間取引も実施中だ。本展に興味を持った方は是非こちらもチェックして欲しい。
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文:ANDART編集部