商法は、古い歴史をもつ法律である。しかし民法や会社法と異なり実務を取り扱う際にあまり気にかけない人も多いのではないだろうか。事業をするうえで商行為について定めた商法は、事業を行う者にとっては重要な法律である。会社法や民法との関係について確認することで商法の理解も深まるだろう。本稿では、商法に関する基本知識や会社法および民法との関係等について説明する。

あわせて直近改正された「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」や会社法の改正について解説する。

目次

  1. 商法とは?
    1. 商法と会社法の違い
  2. 民法と商法ではどちらが優先される?
    1. 民法と商法との関係
    2. 民法と商法とで異なる規定がある
  3. M&Aにおける会社法と商法
    1. 直近の会社法改正の内容
  4. 運送業経営者必須の知識 商法改正のポイント
    1. 運送全般のルールが新設
    2. 危険物に関する荷送人の通知義務の明文化
    3. 全部滅失の場合でも荷受人は損害賠償請求が可能
    4. 荷物の滅失損傷に対する運送人の責任期間が1年に短縮
    5. 旅客運送事業者の免責特約の効力に関する規定が新設
    6. 高価品の損害についての運送人の責任が変化
  5. 事業者ならもれなく遵守
  6. 商法に関するQ&A
    1. Q.商法とはなにか?
    2. Q.商法と会社法の違いは?
    3. Q.商法はなんのためにある?
    4. Q.商法廃止はいつ?
商法とは?運送業の経営者必須の運送・海商に関するルールに要注意
(画像=Paylessimages/stock.adobe.com)

商法とは?

商法とは、商人の営業や商行為、その他商事について定めた法律である。ここでいう「商行為」とは、利益を得ることを目的に反復継続的に取引をする行為であり、「商人」とは自己の名をもって「商行為」をすることを業とする者のことをいう。企業(法人)であるか個人であるかは問わない。商法は、事業を行う企業(法人)だけを対象とする法律のように考えている人もいるかもしれない。

しかし、自己の名をもって利益を得ることを目的に反復継続的に取引を行う場合は、自営業者やフリーランスなども対象となり、遵守しなければならない法律である。近年、副業や転業(起業)など商行為を行う人が増えているが、すでに商行為を行っている人だけでなく商行為を開始しようと考えている人も商法の内容に関心をもっておくことが必要だ。

「商法」は、以下の通り3つの編で構成されている。

  • 第一編「総則」:商法に関する一般規定
  • 第二編「商行為」:商業に関する行為についての規則
  • 第三編「海商」:海上船舶を使用する商業に関する規則および海商にまつわる特別の諸規則

商法と会社法の違い

商法は、1899年(明治32年)に制定された法律である。当時は、前述した「総則」「商行為」「海商」の3編のほかに会社に関する規定や保険契約に関する規定なども定められていた。このうち会社に関する規定は、2005年に「有限会社法」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」を統合、再編成され、「会社法」として制定された。

つまり会社法は、もともと商法にあった会社に関することを切り離して独立した法律であり、会社法と商法は関係が深い法律といえる。会社法では、会社としての目的を実現するために必要な以下のような実務的なルールを定めている。

  • 株主と株式の関係
  • 組織と運営
  • 組織再編
  • 設立・解散・清算など

会社経営そのものに影響を与える重要な内容が数多く含まれているのが特徴だ。もともと商法のなかで定められていた保険契約に関する規定は、2008年に制定された「保険法」に定められていることも知っておくといいだろう。

民法と商法ではどちらが優先される?

商法は、商売人同士の取引を定めた法律だ。しかし契約について定めた民法もある。商取引も契約に基づいて行われるものであり「民法と商法でどちらが優先されるのか」という問題がある。

民法と商法との関係

商法の第1条第1項では、以下の定めがある。

「商人の営業、商行為その他商事については、他の法律に特別の定めがあるものを除くほか、この法律の定めるところによる」
出典:e-Gov

つまり商法は、第1条で商人の営業や商行為、その他商事について定めた法律であることを宣言している。また同法第1条第2項では、以下の定めがある。

「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法(明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる」
出典:e-Gov

また法律には「一般法」と「特別法」があり、商法は民法の「特別法」の関係にある。一般法をさらに細かく規定したものが「特別法」だ。民法と商法に重複する内容の規定がある場合には「特別法」である商法が優先される。つまり民法と商法の優先順位は、商事に関していえば「商法>商慣習>民法」という順位で適用されることになるのだ。

民法と商法とで異なる規定がある

民法と商法で異なる規定があるのでその例をいくつか見てみよう。

・商行為における承諾

商法第508条
商人である隔地者の間において承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が相当の期間内に承諾の通知を発しなかったときは、その申込みは、その効力を失う。
出典:e-Gov

民法第525条
承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
出典:e-Gov

商法では「相当の期間内に承諾がなかったときは効力を失う」ことになるが、民法では「相当な期間が経過するまでは撤回ができない」ことになり意味が異なる。商法では、事業の停滞がないように速やかな措置がとられている。

・商行為の代理

商法第504条
商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。
出典:e-Gov

民法第99条
代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
出典:e-Gov

商法では、代理人が本人のためにすることを示さなくても効力が生じる点が民法とは異なる。民法での代理人は顕名主義がとられているが、商法では依頼人が推定できればよいと言っているのだ。もちろん、代理人であることを知らなかったときは、その代理人に対して履行を請求できる。

・商行為の債権の利息

以前は、商行為の債権の利息は年6%、民法の法定利率は年5%と異なる利率であったため、商行為に該当の有無で適用する利率を使い分ける必要があった。しかし2020年4月の民法改正に伴い、商法の法定利率は廃止され年3%に統一されている。ただし2020年4月1日より前に発生した商事債権により発生した利息は、商法上の債権の利率が適用されるため注意が必要だ。

M&Aにおける会社法と商法

M&Aにおいては、商売を譲渡する場合は商法が適用される余地があると考えられる。景気が好調・低調時のどちらにおいてもM&Aが活発に行われているのが現状だ。M&A専門で事業活動を行うコンサルタント会社も多くM&Aは、現在ビジネスとなっている。しかしM&Aは事業を譲渡する側も買収する側も会社であることが多い。

また、株式取得や株式交換、株式移転、合併、会社分割などさまざまな方法がある。会社に関係するM&Aは、すべて会社法の手続きに則って行い、会社法に抵触しない方法で行う必要がある。そのためほとんどの場合、会社法を使用することになるだろう。

直近の会社法改正の内容

主に対応する企業は、大企業が中心になると思われる。しかし近年の株価の上昇は、日本経済に大きな影響を与えるだろう。中小企業のなかには、大企業の下請け業務を行う企業が多いため、中小企業であってもまったく関係ないとはいえない。そこで、商法と関連性の深い会社法の改正内容について簡潔に紹介しておこう。

会社法は、たびたび改正が行われているが、その一部を改正する法律が2019年12月4日に成立している。ここでの法改正は、2021年3月から施行されたものと2022年9月に施行されたものの2つだ。2021年3月からは「取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備」「監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等」が代表的なものとしてあげられる。

・取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備

取締役に対する報酬内容の決定手続きなどで、透明性を向上させ、業績に連動した報酬を適正に取締役に付与することを目的に会社法の規定が整備されている。これによって定款や株主総会の決議で取締役の個人の報酬内容が具体的に定められない場合、取締役会でその内容の決定方針を定めなければならなくなった。

報酬を株式や新株予約権で付与する場合には、定款や株主総会の決議に株式や新株予約権の数の上限を定めることが求められる。また上場会社が取締役の報酬をその企業の株式の発行で支払う場合には、金銭の払い込みを必要としないこととしている。そのほか、会社補償や役員のために締結される保険契約に関する規律も整備されている。

・監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等

上場会社等が社外取締役を置かなければならなくなったことは、上場企業に大きな影響を与えるだろう。また取締役と株式会社の利益が相反するケースでは、その取締役が業務執行を行うことによって株主の利益を損なう可能性がある。そのため株式会社は、その都度取締役会の決議によって社外取締役の資格を失わせることなく業務の執行を社外取締役に委託できるようになった。

2022年9月からは「株主総会資料の電子提供制度の創設」が施行された。上場企業は、ウェブサイトなどによって株主総会の資料を掲載するなど株主総会の資料を電子で提供する方法に対応しなければならなくなった。また会社の支店の所在地における登記も廃止されている。

・株主総会資料の電子提供制度の創設

株主総会資料の電子提供制度とは、株主総会資料を自社のホームページのウェブサイトに掲載して提供する制度である。この制度を利用するには、ウェブサイトのアドレスを株主に書面で通知することが必要だ。これによって振替株式を発行する上場企業は、電子提供制度を利用しなければならないこととなった。

2023年3月1日以降に開催される株主総会から株主総会資料の電子提供制度を利用することになる。振替株式を発行しない非上場会社は、2022年9月1日以降、定款変更により株主総会資料の電子提供制度の利用が可能だ。株主がウェブサイト上で株主総会資料を閲覧できるようになれば、企業としては印刷や郵送のコスト削減が可能となり、大きなメリットがある。

株主にも早期に株主総会資料が提供されるメリットがもたらされる。

・会社の支店の所在地における登記の廃止

インターネットによる情報発信がしやすくなった現代においては、会社の支店登記の意味や必要性が薄れている。そのため2022年9月以降、会社の支店登記が不要になった。これによって企業負担は、軽減されることになる。

運送業経営者必須の知識 商法改正のポイント

冒頭で述べたように商法は、過去にも何度か改正されている。直近では、商法のなかで規定されている運送・海商に関するルールを現代の社会経済情勢に対応させるべく「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」が2018年5月に成立。2019年4月1日から施行されている。

近年は、バイクや自転車などを使って個人で宅配サービスを行う人も出てきており、これまでにない新しい分野の企業が現れている。2020年以降はコロナ禍により物流ニーズが爆発的に高まった。そのため運送を業とする人は、あらためて義務・責任・免責事項などを確認しておく必要がある。

ここでは、物品運送に関する主な法改正内容を解説していく。

運送全般のルールが新設

これまでは、航空運送や陸・海・空を組み合わせた複合運送に関する規定がなかったが、それらは現代の社会において一般的に行われている。そのため現代の社会情勢に対応することを目的に運送全般に関する共通ルールが新設された。商法では、物品運送や運送事業者の保護、法律関係の早期画一的処理を図ることを目的に多くの規定が定められている。

これにより航空運送や複合運送にも商法が適用されることになった。また陸・海・航の運送を組み合わせ複合運送では、例えば配送された荷物が壊れていた場合、どのように運送事業者へ損害賠償請求をするのかが問題になっていたが、そのような問題に対応するための規定が創設された。

危険物に関する荷送人の通知義務の明文化

送り主は、ガソリン、灯油、高圧ガス、火薬類などの「引火性、爆発性その他の危険性を有するもの(危険物)」の運送を依頼する際、運送品引き渡しの前までに運送事業者に対して品名、性質など安全な運送に必要な情報を通知しなければならないことが明文化された。通知をしなかった場合、送り主が運送事業者に対して損害賠償の責任を負う。

ただし送り主に落ち度がないことを証明した場合は、この限りではない。

全部滅失の場合でも荷受人は損害賠償請求が可能

送られたはずの荷物が運送中に滅失し、荷受人の手元に届かない事例もあるが、法改正前は一部でも荷物が届かなければ荷受人が損害賠償を請求できない問題があった。改正後は、運送品の全部が滅失し荷受人がなにも受け取っていない場合でも、荷受人は物品運送契約によって生じた運送事業者の権利と同一の権利を取得し損害賠償を請求できる。

ただし、受取人が運送品の引き渡しやその損害賠償の請求をしたときには、荷送人はその権利を行使できない。また、この規定は任意規定となっているため、契約書などの契約内容で商法と異なる規定を設けることも可能だ。契約締結の際には、損害賠償の規定に細心の注意を払い、内容を確認する必要がある。

なお、荷送人には荷主からの依頼を取り次ぎ、運送手段を手配する宅配業者なども含まれるため宅配業を営む人は注意が必要だ。

荷物の滅失損傷に対する運送人の責任期間が1年に短縮

法改正前において運送事業者が運んだ荷物が壊れていた場合、運送事業者の責任は指定された受取人に荷物を引き渡してから最長で5年の間と定められていた。運送事業者が損傷を知らなかった場合は1年、知っていた場合は5年の消滅時効となっていたのだ。

そのため引き渡しから1年以上経過後「運送事業者が損傷を知っていたはず」と主張されても運送事業者は知らなかったことを証明することが困難となり地位が不安定になる問題があった。改正後は、膨大な荷物を扱う運送事業者のリスク管理の観点から除斥(じょせき)期間として運送事業者の責任は、指定された受取人に荷物を引き渡してから一律1年となっている。

除斥期間は、消滅時効と異なり中断や停止が認められず期間の経過によって権利が消滅する。届いた荷物が壊れていた場合、運送事業者に損害賠償請求をするケースもあると思われるが、消滅時効を知らないと大きな損害を被る可能性があるのだ。受取人は、1年の制限期間内に損害賠償の請求をしなければならないため注意しなければならない。

旅客運送事業者の免責特約の効力に関する規定が新設

商法には、タクシーやフェリー、旅客機などの旅客運送もあるが運送業者を免責するような特約を規制する規定はなかった。そのため事故が起こった際、賠償額の上限を決める特約を設けたり運送業者が責任を負わない内容の誓約書を求めたりする事例が問題視された。改正後は、共通ルールとして旅客の生命・身体が損なわれた場合の運送事業者の損害賠償責任を軽減・免除するような特約は原則無効だ。

旅客の生命・身体の侵害についての運送業者の責任を減免する特約は、無効とする規定を新設し損害賠償が不当に制約されることを防止した。ただし以下のような例外事項もあるため、注意しておきたい。

  • 旅客列車における到着の遅れなど運送の遅延を原因とするもの
  • 被災地に救援物資を届ける人を運送する場合
  • 大規模な火災や震災などが発生した場合
  • 重病患者を搬送する場合など

高価品の損害についての運送人の責任が変化

高価品の損害の場合、運送業者の責任に変化があることにも注目したい。従前は、運送を委託する場合に高価品であることを通知しなければ運送業者は損害賠償の責任を負うことはなかった。しかし改正後は、以下のような場合、運送業者は損害賠償責任を負うため、注意が必要だ。

  • 物品運送契約の締結当時に運送品が高価品であることを運送業者が知っていたとき
  • 運送業者の故意・重大な過失によって高価品の滅失、損傷、延着が生じた場合

事業者ならもれなく遵守

副業・起業などの働き方の多様化に伴い誰でも事業をはじめやすくなっている。ただしフリーランスで働く個人事業主でも、商法や民法に関する知識が必要となることには注意したい。このような時代だからこそ、商法は事業を行う者全体が遵守しなければならない法律であることを再認識し理解を深めておきたい。

近年商法のみならず民法や会社法、労働関連法などさまざまな法律が改正され事業そのもののあり方が大きく変化している。企業の経営者や法務担当者は、常日ごろから法改正にアンテナを張りめぐらし、適正に対応していくことが必要だろう。民法や商法、会社法のほか税法や労働法などカバーしなければならない法律の範囲は広い。

時には、専門家に相談し情報収集を怠らないようにすることが大切だ。

商法に関するQ&A

Q.商法とはなにか?

A. 商法とは、商人の営業や商行為、その他商事について定めた法律である。「商行為」とは、利益を得ることを目的に反復継続的に取引する行為であり企業(法人)であるか個人であるかは問わない。商法は、以下の3編で構成されている。

  • 商法に関する一般規定についての「総則」
  • 商業に関する行為についての規則を定めた「商行為」
  • 海上船舶を使用する商業に関する規則および海商にまつわる特別の諸規則を盛り込んだ「海商」

なお取引および契約について定める法律には、民法もある。しかし民法が念頭に置いている取引は、広範囲かつ一般的な売買や貸借などの取引であり、必ずしも利潤追求のための取引だけではない。つまり利潤を追求する取引である商人の営業、商行為その他商事は、他の法律に特別の定めがあるものを除き商法の規定を受けることになる。

商法に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは民法の定めを受けるようになる。

Q.商法と会社法の違いは?

A.商法は、1899年(明治32年)に制定された法律である。当時は、現在の「総則」「商行為」「海商」の3編のほかに会社に関する規定も盛り込まれていた。この会社に関する規定部分を切り離して独立させ「有限会社法」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」と統合再編成し、2005年に制定されたのが「会社法」である。

会社法は、商法にあった会社に関する規定がもとになっており、商行為についてのルールを定めた法律だ。商法が企業(法人)であるか個人であるかを問わず商行為を行うものすべてに適用されるのに対し、会社法では会社のみに適用されるのが大きな違いである。なお会社法では、以下のような会社の実務的なルールが定められている。

  • 会社の設立
  • 組織と運営・管理
  • 株主と株式の関係
  • 組織再編
  • 会社の解散・清算 など

Q.商法はなんのためにある?

A. 商法は、民法と並んで重要な私法の一つであるが、民法が社会生活および経済生活一般を広く規律する法律であるのに対し、商法は商人の営業や商行為、その他商事について定めた法律である。社会生活および経済生活、そして商事においても取引や契約が行われるが、当事者の利益保護のためにも権利・義務や責任などを調整することが必要だ。

それらの調整を図る目的でルールを定めたのが民法および商法である。ただ商行為は、利益を得ることを目的に取引を職業的に繰り返すことであり、必ずしも利益を得ることを目的とした取引だけではない民法の規定だけでは不十分なことも少なくない。そのため通常の取引活動に営利性、反復継続性、画一性などの特徴を加えた商取引をカバーする商法が必要である。

Q.商法廃止はいつ?

A. 商法は、1899年(明治32年)に制定されて以来、120年以上経った現在も適用されている法律である。しかし何度か改正されており、なかでも大きく改正されたのが2005年に行われた商法第二編「会社」の削除だ。現行の商法は「商法総則」「商行為」「海商」の3編で構成されているが、設立当時は第二編として「会社」に関する規定が含まれていた。

削除の理由は「会社法」の制定だ。それまであった商法の「会社」に関する規定は商法から切り離され、「有限会社法」「株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律」と統合されて「会社法」という法律として独立。なお直近の改正としては2019年に商法のなかの「運送」「海商」に関する規定の一部が見直しされた。

これら「運送」「海商」に関する部分は商法制定以来、実質的な見直しがほとんどされていなかったが、社会経済情勢の変化に応じて約120年ぶりに改正された。当時は、運送といえば陸上・海上運送のみで航空運送、複合運送(陸上・海上・航空を組み合わせた運送)は存在していなかったが、現在の状況に合わせて法の規定の範囲が広げられた。

加治 直樹
文・加治 直樹(1級FP技能士、社会保険労務士)
特定社会保険労務士。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。銀行に20年以上勤務。融資及び営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務を行う。退職後、かじ社会保険労務士事務所を設立。現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能であり、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。

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