中堅・中小企業の友好的M&A支援で業界トップを走るM&A仲介会社の日本M&Aセンター。同社・執行役員の森山隆一氏は経営者向け事業承継のセミナーなどに登壇し、後継者に悩む中小企業やさらなる成長を志向する中小企業に、M&Aという手段で会社の継続と発展を支援している。
最終回の第5回目は、M&Aを成功させるために最も重要な決め手について伺った。(聞き手:山岸裕一)
※本インタビューは2019年9月に実施されました
M&Aをどこに頼むべきか
――M&Aを頼みたい、相談したいとなった場合、どのように選んでどこに頼めばいいでしょうか?
日本M&A センターは昨年、770社のM&Aをお手伝いさせて頂きました。
M&A仲介の企業は300社ほどあります。免許の必要な事業ではないので、私が独立して明日から「森山M&Aセンター」を始めることは可能です。ですので、会計事務所でもコンサルタント会社でもM&A仲介事業は行えるわけです。
その中で、私たちのように上場している仲介企業もあれば、手数料の安さを売りにしている企業もあります。売り手からすると、それなりに選べる状況です。
当社はお寿司屋さんに例えると高級寿司店です。もちろん、回転寿司で十分だという方もいますし、それを否定するつもりはありません。一方で、人生最後のお寿司なら、最高級のお寿司を食べたいという方もいるでしょう。
そして「絶対額は高いかもしれないけど、こんなにいろいろやってくれるんだ」という意味で、一番リーズナブルです。大間産のマグロを一本釣りして、銀座の素晴らしい内装のお店で、素晴らしい料理人が提供しているにも関わらずこの値段!というなら大満足という具合です。具体的には、
・売り手にとって、5〜6人しかメンバーのいない企業もある中、当社は全社で500人ものコンサルタント及びスタッフがいる。その会社に任せて買い手を探してもらえることのメリット
・東京以外の買い手とのネットワークも持っている。他社は交通費をかけられないこともある中、当社は支社からも東京からも人を出せる
・一つひとつの経験、ノウハウの積み重ねの量、過去の知見の量がある
人数の多さで一つひとつの仕事のクオリティが変わります。
また、これまでの過去の知見の積み重ねがありますし、システムを導入して知見を共有し、属人化しない工夫を重ねています。これまでは属人化して、ある特定のメンバーだけが知見を貯めている、隣で打ち合わせしている内容に対して「それの解決方法知っているよ」なんてことがありました。今はすべてシステムに集積し、集合知化しています。
また、さらに組織が大きくなるとシステムだけでは追いきれなくなったため、縦割り組織を串刺しで全案件を横断してチェックする組織を創りました。総合力で顧客の課題を解決し、クオリティコントロールし、ミスをなくせる工夫をしています。
一方で、人間同士の仕事ですから、分野や業界ごとに専門のメンバーを置いています。また、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などのプロフェッショナルを30名程度組織して、ワンストップでサービスを提供しています。
企業評価・案件化料はお客様にしっかりと決断していただくものでもある
――企業評価・案件化料について教えてください。
企業評価・案件化料は企業規模により100万円〜500万円、手数料はミニマムで2000万円、規模に比例して額が上がる成功報酬制です。この金額をどのように感じるかはそれぞれだと思いますが、「自分ではできないからアウトソースするし、そう考えたらこの金額は安い。2000万円で全国から買い手を自分で探せるかといったら、できない」とおっしゃったお客様もいました。
また、企業評価・案件化料はご本人にしっかりと決断してもらうためのお金でもあります。というのも、上手くいかないのは「結婚したい女性と、ただ付き合いたい男性を引き合わせる」ケース。彼女が欲しいだけで結婚は考えていない男性もいる。つまり本気同士ではない。そのため、企業評価・案件化料という形でお互いに真剣さが目に見える状態をいったん作ってから、お引き合わせさせて頂いています。
ここで大事なのは、決断していただきたいのは、「M&Aも選択肢とする決断」ということです。まだ相手も具体的にいない中ですので、M&Aを決断するわけではありません。あくまで、結婚相談所への登録ですから、結婚すること自体の決断ではありません。意外とこの2つを混同しているお客様も多いので、よくご説明をしています。
売り手の本気度が分かれば、買い手の本気度も分かります。上手くそこをつなげられるかどうかが私たちの腕の見せどころです。中には、100円のものを300円で売れるとうそぶいて、最終的に50円で売る業者もいます。でもそれは悪徳業者ですよね。健全なM&A業界の為になりません。
――株式会社じゃなくても売却できますか?
有限会社であれば、大枠は変わらずに株式会社と同じ感覚で取引できます。病院は株式会社とは異なりますが、成約事例も多くノウハウがあります。
「弁護士を付けたほうがいい」とアドバイスする理由
――売り手は、弁護士を自分で付けたほうがいいでしょうか?
弁護士、司法書士は日本M&Aセンターの社内にもおります。しかしそのメンバーはあくまで公平な立場からのアドバイスを行い、一方が極めて不利なことにならないように存在しています。ですので、売り手社長には、「売り手の味方になってくれる弁護士をつけたほうがいい」とアドバイスしています。
なぜならば、買い手は大企業や中堅企業が多く、顧問弁護士がいる場合がいるなど、買い手の味方として交渉にアドバイスする弁護士が付く場合が大半だからです。
売り手社長には、普段からお世話になっている顧問弁護士さんがいるかもしれません。とても仲がよく信頼しているならその方がよいと思います。一方で、その方がM&Aに詳しい方ではなく不安に感じる社長もいらっしゃいます。その時は私たちがよく知っている複数の弁護士事務所をご紹介することもできます。
いずれにせよ、後々トラブルになりそうなセンシティブな部分は特に気を付けて契約に落とし込むようにしていますね。決しておざなりにはしません。売り手も買い手もなるべくあいまいに、ぼんやりさせて先延ばしにしたいのが人情ですから。
契約書は「たられば」を潰していく作業。のちのちを想定してトラブルの芽をいかに潰せるかも、提供する価値の一つです。私たちは課題解決をしているビジネスです。そのため、課題と解決が紐付いていないといけません。
今後は「後継者がいないとなれば、まずは日本M&Aセンターだよね」と安心感を思ってもらえる状態にしたいです。
日本M&Aセンターは、
・成約実績5000件超
・日本全国主要都市部に7拠点、海外にはシンガポールとインドネシアにも
・日本全国の会計事務所、金融機関と強固な情報ネットワークを構築
・日本M&Aセンターを中心に、専門性の高いグループ会社で、 ワンストップでお悩み解決
これらの実績を元に皆さまのお力になるべく「準備は早く、決断は慎重に!」をお伝えし続けてまいります。