補整下着や化粧品、サプリメントなどの販売やプロポーションづくりのコンサルティングサロンを運営するチェーンとして、FC展開しているダイアナ(東京都渋谷区)。現在は全国で約750店舗を展開しており、加盟オーナーは大半が女性だ。1986年の創業以来、補整下着販売におけるマイナスイメージを払拭するために専用サロンを設け、顧客へのアフターフォローを徹底的に行うことで実績を積み上げてきた。目標は2030年までの4000サロン出店。改めて徳田充孝社長兼会長にその意気込みを聞いた。(2021年10月号「トップインタビュー2」より)

徳田 充孝社長兼会長
(画像=徳田 充孝社長兼会長)

潜在顧客はすべての女性
LTVの長さが強み

―ダイアナは1986年に補整下着の販売からスタートしています。

当社は補整下着を通して、世の中に役に立つビジネスをしたいとして始まった会社です。現在は補整下着や着圧タイツ、バンテージやウエストニッパーといった繊維製品。またヘルシーフードやサプリメント、置き換え食品や整水器といった食品。さらにボディケアなどの化粧品の分野を取り扱っています。

―売上の構成比は。

繊維製品が30%、食品が45%、化粧品が25%ほどです。繊維製品の売上は以前より減少していますが、これは売上の大半を構成するのがリピーターであるためです。まず下着が丈夫であるため、そこまで買い替えることもありません。またリピーターになっていけばいくほど、次第にインナービューティーに力を入れていく傾向があり、結果としてヘルシーフードを愛用されて食品の売上が上がっていきます。新規とリピートの差ですが、チェーンとして長年運営をしていく中で、売上の構造もこのように変化してきています。

―御社では小売業と並行して、コンサルティングが受けられる「サロン」を各地に設ける形でフランチャイズチェーンを構成しています。

当社では商品のことを「お道具」と呼んでいるのですが、これらを用いてお客様がゴールデンプロポーションに近づき、維持できるようフォローを行っています。創業間もないころから「身長1センチ刻み、年齢1歳刻みで 全身8カ所の理想の数値」を設定し、栄養指導やマッサージの仕方もアドバイスしています。FCオーナーは、直接カウンセリングする「チーフプロポーションカウンセラー(以下:チーフ)」が兼務するケースが多いのですが、彼女たちは補整下着、化粧品、栄養補助食品の3つでバランスをとり、アフターフォローをし続けます。

カウンセリングを行うサロン
(画像=カウンセリングを行うサロン)

―チーフになるためには、どのような手順を踏むのでしょうか。

これまでは、サロンに通っていただいているお客様がチーフを希望される形がほとんどでした。チーフを希望される方は、オープン面接と研修及びテストでの合格、さらにチーフからの推薦が必要になります。そして合格後には、チーフ認定のために3日間本社研修を行います。昔からこの制度を採用しており、これまで延べ2500店を出店してきました。また最近は、ダイアナサロンを利用したことがない外部の方たちにも加盟できるように、「ダイレクト出店プラン」というプランの提供もスタートさせています。

―既に70店以上出店していますが、それが実現できた要因の一つには顧客対象が広いことも挙げられるのでしょうか。

潜在顧客はすべての女性になります。よくプロポーションづくりというと、ダイエットをするためのチェーンだと思われるのですが、実際には瘦せていてバストアップやヒップアップをしたいという若い方も多い。ですから 20代からダイアナを始めて、出産や育児でサロンから遠のいたものの、代謝が落ちてくる40代以降で戻って来られるというように、ライフタイムバリューが長いのが特徴です。その結果、当社の加盟店も継続率が高く、サロンの平均継続年数は17年、営業年数10年以上が全体の76%を占めます。

―サロンオープンから軌道に乗るまでの期間は。

一概に言えませんが、早い人だと3カ月目から黒字化が可能です。月々のランニング費用は家賃やシステム利用料、チーフ会費やスポット商品・サンプル購入費などがありますが、 これらは約22・5万円(既存サロン平均)なので、立ち上がりが早いです。また本部では、「グロースハックチーム」という組織も設けています。こちらはチェーンの支社長クラスのスーパーウーマンで構成されており、加盟店への運営サポートをオープンから3年間行います。開業後も継続的なサポートをすることで、早期の黒字化を実現させています。

デジタルシフトを強化
先々はビッグデータの活用も

―新型コロナウイルスの影響から、現在多くの産業でデジタルシフトが進んでいます。ダイアナチェーンでの取り組み状況は。

コロナ以前からリモート研修や動画配信を推進しており、昨年には社内に専用のスタジオを設け、「ダイアナTV局」という形で毎日情報を発信しています。サロンの皆さんには勉強会や商品に関しての講演等を発信し、お客様には新たな商品販売チャネルとして機能しています。またデジタル化という点では、30年前から毎年後援しているプロポーションコンテストの「ダイアナゴールデン・プロポーションアワード」についても、昨年に続き無観客のバーチャルイベントとして開催し、オンラインでの配信を予定しています。

―コロナの存在に関係なく、デジタル化を加速させているわけですね。

現在はAIシステムの構築を進めています。当社にはどんな体形の方がどんな商品を買っているか、そしてどう体型が変化したかというデータを多数保持しており、実際にこれまでカウンセリングをしてきた92万人のデータもあります。このビッグデータを活用することで、サロンに来られたお客様のカウンセリング時に最適なお道具を提案できる。またAIスピーカーをサロンに設置し、出勤時に立ち上げれば、当日の来客予定や在庫切れを事前に 知らせてくれるような活用も可能です。ほかにも本部社員が加盟店をコンサルタントする際に、生産性を上げるためのツールとしても導入していきたいと考えています。

9品目の食材で美と健康を
飲食事業のFCも開始

「食」から美と健康を考案 する「シャイニーアウル」
(画像=「食」から美と健康を考案 する「シャイニーアウル」)

―近年はダイアナ事業のほかに、異業種にも参入されているようですね。

「美と健康」をテーマにしている当社にとって、「食」からのアプローチは必然といえます。当社ではプロポーションづくりに効果的な肉、魚、貝、豆類、卵、乳製品、海藻、野菜、油脂といった9品目を使用した飲食店を運営しています。この「Shiny Owl(シャイ ニーアウル)」は、現在本社の1階部分と表参道の2店舗展開しており、年内にはフランチャイズ展開も開始する予定です。

「食」から美と健康を考案 する「シャイニーアウル」
(画像=「食」から美と健康を考案 する「シャイニーアウル」)

―業界を超えてフランチャイズ本部になるケースは珍しいですね。

ほかにもフットケアの専門店として恵比寿など4店舗展開している「Lizera&Co(リゼラアンドコー)」もフランチャイズ展開していきます。これは美容室の一角やネイルサロン、エステティックサロンの小スペースを利用し、兼業可能な業態として促進していきたいと思っています。当社は生活に根差したビッグデータを持っているので、飲食やフッ トケア、美容院と横断するマルチフランチャイザーとしての活動が可能です。下着にサプリメントに化粧品と、ただでさえ「何屋やねん」と思われていますが(笑)、今後も頭のてっぺんからつま先、そして内面に至るまで、美と健康を追求していきたいと思っています。