年間400万杯を売り上げ、関西を中心に塩ラーメンの中で抜群の人気と知名度を誇る「塩元帥」がフリーネームでFCの全国展開に乗り出した。「塩元帥」を創立した高橋社長は、健康に配慮した安心安全な食材にこだわり、納得の味ができるまで2年を費やしたという。

(※2021年8号「注目のNEW FCビジネス」より)

髙橋 博司 社長(54)
(画像=髙橋 博司 社長(54))

娘の健康を考え、安心安全な食材を使用
塩ラーメンの草分けとなるブランドに

――「塩元帥」は関西で代表的な塩ラーメン店として知名度が高いと聞きました。

髙橋 2007年に塩元帥の1号店がオープンして、現在は関西を中心に直営店が店舗、FC店を店舗展開しています。このコロナ禍でも業績をキープして、年間400万杯売れています。でも、実は私が独立して最初に出したお店は「総大醤」という醤油ラーメンのお店でした。その当時ラーメンと言えば豚骨一色でしたが、私は醤油ラーメンが好きで、自分の好きな醤油ラーメンで勝負してみたいと思ったんです。

――そこからなぜ塩ラーメン店を出すことになったのですか。

髙橋 総大醤は、醤油ラーメンの他に塩ラーメンもメニューにあります。 当時小学生だった娘がよくお店に来ていて、決まって食べるのが塩ラーメンでした。でもその塩ラーメンには化学調味料や添加物が入っていたので、娘が美味しそうに食べている姿を見ながら、あまり食べてほしくないと思っていたんです。それをきっかけに、娘が食べても大丈夫だと思える塩ラーメンを作ろうと2年近く研究を重ねて、安心安全な食材で作った塩ラーメンが完成しました。健康にも配慮され、自分が納得した美味しい塩ラーメンを日の目に浴びせたいと思い、「塩元帥」を作りました。

70種の自然素材を使った人気の塩ラーメン
(画像=70種の自然素材を使った人気の塩ラーメン)

――塩ラーメンの草分けとなるブランドになったのですね。

髙橋 当時のラーメン業界は、まだほとんど豚骨でしたね。醤油専門店も少しありましたが、全国的に見ても塩ラーメンをメインに展開しているお店はなかった。塩ラーメン自体珍しく、さらに自家製麺で、安心安全な材料で作ったことが受け入れられたんだと思います。うちは各店舗に製麺機を置き麺を手作りしていて、防腐剤や着色料などを入れません。そのためストレートに小麦の味がします。賞味期限が短く、作り置きはできませんが、安心安全で美味しいという点にこだわっています。

加盟金、保証金、ロイヤリティ一切なし
加盟店にメリットの大きい契約条件

――今回、FC展開に踏み出そうと 思ったきっかけは。

髙橋 前からFCをさせて欲しいという声は多く聞こえてはいたのですが、直営店だけで広げていけると考えていたので、実は全部断っていました。でも塩元帥という名前がここまで成長してきたため、FC化することでブランド力をより生かせると思い、展開することに決めました。

――すでに加盟店が10店舗ありますが、名前は塩元帥ではないそうですね。加盟条件を教えてください。

髙橋 店名に関しては、「大阪塩系」の商標の使用を必須としていますが、あとはフリーネームにしています。加盟金、保証金、研修費、ロイヤリティはありません。ただし、研修は1人2週間までで、2人目以上から5万円をいただくにことにしています。あとは、麺、スープ、タレ、餃子、この4つの食材だけは、本部から購入してもらう決まりです。それ以外の食材に関しては仕入れ先をお伝えしますが、どこから購入していただいても構いません。指定のコアメニューは塩ラーメンと醤油ラーメン。指定のサブメニューは、梅しそラーメン、ネギ塩ラーメンなどの7種類。指定のサイドメニューは餃子のみです。サイドメニューに関しては、焼き飯、チャーマヨ丼、唐揚げなどのメニューもあるので、希望に応じて提供できます。

――加盟店にとってメリットの大きい条件ですね。

髙橋 うちの収益は麺、スープ、タレ、餃子の受注のみになりますが、初期投資が少なく済むと加盟店も2号店、3号店と負担なく出店できますよね。本部としてもまた一から説明したり、研修をしたりする手間を省くことができるので、双方にメリットがあると思います。

順番待ちの行列ができる
(画像=順番待ちの行列ができる)

国内300店、海外1000店目指す
「横浜家系」のような認知度に

――出店に際しての立地条件はどのようなものでしょうか。

髙橋 直営店から半径10キロ以内には出店ができないことにしています。うちはロードサイドの店舗が多いですが、ビルインの店舗もあり、規模も売上実績も大きく変わります。ロードサイドの場合、初期投資は内外装費、厨房設備費、店舗取得費、什器備品等を含めて、2800万〜3500万円。収益モデルは、売上高1000万円、そこから売上原価378万円、人件費250万円、水光熱費53万円、減価償却費46万円、 家賃60万円、その他 53万円を引いて、 営業利益160万円、営業利益率16%です。

ビルインの場合、初期投資は、内外装費、厨房設備費、店舗取得費、什器備品等を含めて1200万〜2000万円。収益モデルは売上高350万円、そこから売上原価132万3000円、人件費63万円、水光熱費21万円、減価償却費25万円、家賃16万円、その他 23万円を引いて営業利益69万7000円、営業利益率20・2%です。どの店舗も2年、長くても3年あれば投資回収ができる計算になります。

――今後の展望は。

髙橋 まず国内で300店舗、関西だけでなく全国に展開していきたいです。そして海外に1000店舗を目指します。豚骨ラーメンと言えば「横浜家系」と言われるように、塩ラーメンと言えば「大阪塩系」と言われるくらい、認知度を上げることが目標です。