レーマン方式とは、M&Aアドバイザーに支払う成功報酬の算出方法だ。レーマン方式の仕組みや計算方法を知ることで、M&Aにかかる仲介手数料の金額をある程度見積もることができる。そこで今回は、レーマン方式の意味や計算方法、報酬が発生するタイミングについて詳しく解説していく。

目次

  1. M&Aにおけるレーマン方式とは?
  2. レーマン方式の計算方法
  3. 同じレーマン方式でも金額が異なる? 報酬基準額の決め方を理解しよう
    1. 1. 株式価値基準
    2. 2. オーナー受取額基準
    3. 3. 企業価値基準
    4. 4. 移動総資産基準
  4. レーマン方式の具体例:実際に計算して理解を深めよう
    1. 1. 株式価値基準の計算例
    2. 2. オーナー受取額基準の計算例
    3. 3. 企業価値基準の計算例
    4. 4. 移動総資産基準の計算例
  5. 成功報酬の「最低保証額」の確認も忘れずに
  6. 消費税も軽視してはいけないポイント
  7. M&A業界ではなぜレーマン方式が多い? レーマン方式のメリットとデメリット
    1. レーマン方式のメリット
    2. レーマン方式のデメリット
  8. レーマン方式以外の計算方法とは? 逆レーマン方式のメリットとデメリット
    1. メリットとデメリット
  9. M&Aアドバイザーの報酬はどう決まる? 基本的な報酬体系
  10. M&Aアドバイザーへの報酬が発生するタイミングは?
  11. M&A アドバイザーの形態によっても報酬体系は変わる
  12. 最後にチェック!M&Aアドバイザーやレーマン方式を選ぶときの注意点
    1. 料金体系が重要
    2. レーマン方式の4つのチェックポイント
  13. 情報を一つずつ整理し、最適なM&Aアドバイザーを選べる環境を
  14. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
  15. 監修者紹介
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(写真=PIXTA)

M&Aにおけるレーマン方式とは?

レーマン方式とは、M&A仲介の成功報酬を計算する際に、一般的に用いられる計算方式だ。多くのM&Aアドバイザーが、成功報酬の計算方式としてレーマン方式を採用している。レーマン方式では、M&Aで移動した資産の価格に対して、一定の割合を乗じて成功報酬を計算する。

なお、レーマン方式ではなくリーマン方式と呼ばれることもある。

レーマン方式の計算方法

レーマン方式の基本の計算式は次の通りだ。

・成功報酬の金額=報酬基準額×料率

成功報酬の金額は、報酬基準額と料率をもとに決まる。レーマン方式では、報酬基準額が増えるほど料率は下がることになっている。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

「報酬基準額」は、各M&Aアドバイザーが独自に算出するベースとなる金額だ。詳しくは後述するが、実際に依頼者が成功報酬として支払う金額は、この報酬基準額に大きく左右される。

「料率」は、M&Aアドバイザーによって多少決め方が異なるものの、かつてファイナンシャルアドバイザーの世界で主流だった上記の料率が一般的な相場とされている。

ここで注意したいのは、仮に報酬基準額が6億円のとき、単に4.0%の料率をかけて計算するわけではないことだ。具体例を用いて、間違った計算方法と正しい計算方法の2つを見ていこう。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

報酬基準額の6億円のうち、5億円までの金額には5.0%の料率をかける。さらに5億円超~6億円までの1億円分については、4.0%の料率をかけて計算する。

このような仕組みになっているのは、報酬基準額のわずかな差で、成功報酬が大きく変わってしまうのを防ぐためだ。上記の計算方法なら、成功報酬は段階的に上がっていく。たとえば、5億円と5億1,000万円で、大きく成功報酬が変わってしまうといったことにはならない。

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同じレーマン方式でも金額が異なる? 報酬基準額の決め方を理解しよう

前述した通り報酬基準額の算出方法はM&Aアドバイザーが独自に決めている。そのため、仮に同じレーマン方式を採用していたとしても、依頼先によって成功報酬は変わってくることに注意したい。続いては報酬基準額の基本的な4つの決め方を解説していこう。

1. 株式価値基準

株式価値基準は、売り手が売却する株式につけられた価値評価をベースにする算出方法だ。つまり、「株式の売却額=報酬基準額」になるシンプルな決め方で、たとえば株式が10億円で売却されたとすると報酬基準額も同じく10億円となる。ただしM&Aの直後に役員退職金を支給する場合には、その金額も報酬基準額に加算されるため注意しておきたい。

2. オーナー受取額基準

オーナー受取額基準では、売却する株式につけられた価値評価に加えて「株主とその家族からの負債」も報酬基準額に加算される。たとえば、売り手側の企業に1億円の役員借入金がある場合には、この金額もすべて報酬基準額に含まれるのだ。したがって、M&Aを実施する前に資産を細かくチェックしておき会社の負債状況を明確にしておくことがポイントになる。

3. 企業価値基準

企業価値基準では、株式の売買額にすべての有利子負債を加算したものが報酬基準額となる。つまり、役員借入金に加えて銀行借入金も加算されるため、オーナー受取額基準よりも報酬基準額が高額になる。銀行からの資金調達に大きく頼っている中小企業は、特に注意しておきたい方式といえるだろう。

4. 移動総資産基準

移動総資産基準では、株式の売買額とすべての負債の合計金額が報酬基準額となる。役員借入金や銀行借入金はもちろん、企業の負債には買掛金なども含まれるため、今回紹介する中では最も報酬基準額が高額になりやすい。特に多額の負債を抱えている企業は、移動総資産基準のM&Aアドバイザーに依頼するだけで多くの成功報酬が発生してしまうので要注意だ。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

報酬基準額の決め方によって成功報酬額には大きな差が出るため、依頼するM&Aアドバイザーを選ぶ際には軽視できないポイントだ。会社の負債状況などを確認したうえで自社に最適な仕組みのM&Aアドバイザーを見つけることが重要になる。

レーマン方式の具体例:実際に計算して理解を深めよう

文字だけではややイメージがしづらいため、ここからは以下のモデルケースを参考にしながら実際に成功報酬を計算していこう。

モデルケースの前提条件

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

1. 株式価値基準の計算例

株式価値基準では「報酬基準額=株式の売買額」となるため、モデルケースでの報酬基準額は5億円だ。したがってM&Aアドバイザーの成功報酬は以下の計算式によって算出できる。

・成功報酬額=5億円×5.0%=2,500万円

計算方法は比較的シンプルだが、仮に上記の報酬基準額が5億円を超えた場合は、複数の料率をかけて計算をする必要があるため注意が必要だ。

2. オーナー受取額基準の計算例

オーナー受取額基準では、報酬基準額は「株式の売買額+役員借入金」の式で算出される。つまり、モデルケースの報酬基準額は「5億円+2億円」となり、その合計額の7億円が成功報酬のベースになってくる。では、複数の料率をかけることにも注意しながら実際に成功報酬を計算してみよう。

・成功報酬額=(5億円×5.0%)+(2億円×4.0%)=2,500万円+800万円=3,300万円

このように報酬基準額に役員借入金が加わっただけで株式価値基準とは数百万円の差が生じた。実際にこれくらいの差が生じることは珍しくないため、報酬基準による成功報酬の差を軽視しないことが重要だ。

3. 企業価値基準の計算例

企業価値基準では、銀行借入金も含めたすべての有利子負債が報酬基準額に加算されるため、モデルケースの報酬基準額は11億円(5億円+2億円+4億円)となる。報酬基準額が10億円を超えると、さらにかける料率が増えるため計算式はやや複雑になるが、一つずつ見ていけばそれほど難しい計算ではない。

・成功報酬額=(5億円×5.0%)+(5億円×4.0%)+(1億円×3.0%)
      =2,500万円+2,000万円+300万円
      =4,800万円

株式価値基準と比べると報酬基準額に有利子負債が加わっただけで両者の成功報酬には2倍に近い差が生じていることが分かる。

4. 移動総資産基準の計算例

移動総資産基準では、株式の売買額と有利子負債に加えて買掛金も報酬基準額に含まれてくる。つまりモデルケースでの報酬基準額は「5億円+2億円+4億円+1億円」となり、その合計額は12億円だ。

ここからM&Aアドバイザーの成功報酬を計算すると依頼人が支払う金額は以下となる。

・成功報酬=(5億円×5.0%)+(5億円×4.0%)+(2億円×3.0%)
     =2,500万円+2,000万円+600万円
     =5,100万円

では、ここまで計算したモデルケースの成功報酬を報酬基準別にまとめてみよう。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説
(※いずれも税抜価格)

上の表を見て分かる通り株式価値基準と移動総資産基準とでは、成功報酬に2倍以上の差が生じている。企業の負債が増えるほど差はさらに開いていくため、特に多くの負債を抱えている売り手側の企業は、報酬基準額の決め方を事前に確認しておくべきだろう。

ただし、本記事の冒頭でも解説した通りM&Aアドバイザーに支払う費用は成功報酬だけではない。

できるだけコストを抑えたいのであれば着手金などほかの費用の仕組みも理解したうえで全体のコストを比較することが必要だ。確かに成功報酬は特に大きいコストだが、それ以外の費用が想定以上に高くなる可能性もあるため、全体のコストを細かく比較することを心がけよう。

成功報酬の「最低保証額」の確認も忘れずに

多くのM&Aアドバイザーは、成功報酬の計算方式としてレーマン方式を採用している。しかし、注意しておきたいのが「最低保証額」だ。

M&Aアドバイザーによって、成功報酬に最低保証額が設定されていることがある。なぜなら、株式の売買額が著しく低い小規模案件を請け負った場合、M&Aアドバイザーの成功報酬が業務内容と見合わない金額になる可能性があるからだ。

最低保証額の金額は、各M&Aアドバイザーが独自に決めている。最低保証額によっては、自社の企業価値が低かったとしても、M&Aにかかるコストを大幅に抑えられるとは限らない。小規模なM&Aでも複雑な手続きが必要なため、必要なコストともいえるが、最低保証額はしっかりチェックしておくようにしたい。

消費税も軽視してはいけないポイント

成功報酬にかかる消費税も見落とせない項目だ。日々の買い物ではそれほど負担に感じない消費税も、金額の大きいM&Aの成功報酬では、無視できないコストとなる。消費税は、税抜きの成功報酬に消費税率10%を掛けて計算する。

仮に、税抜きの成功報酬が2,900万円とすると、消費税だけでも290万円の費用が発生する。税込みの成功報酬は3,190万円だ。具体的に計算してみると、消費税の負担の大きさを実感できるだろう。

消費税は一定の料率を掛けて計算するため、商品やサービスの代金が高いほど税額が増える仕組みになっている。M&Aアドバイザーへの報酬のように、数千万円の費用がかかるサービスでは、税額だけで100万円を超えることも珍しくない。税込みのコストをしっかり把握し、あとから後悔することがないようにしたい。

M&A業界ではなぜレーマン方式が多い? レーマン方式のメリットとデメリット

ではなぜ、M&A業界の成功報酬はレーマン方式で計算されることが多いのだろうか。その点を紐解くために、以下ではレーマン方式のメリットとデメリットを詳しく解説していこう。

レーマン方式のメリット

レーマン方式を採用するメリットは、依頼をする企業側から見たメリットと、M&Aアドバイザー側のメリットの2つにわけられる。そこで以下では、両者の立場から見たメリットをそれぞれまとめた。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

上記を見てわかる通り、レーマン方式を採用すると企業側とM&Aアドバイザー側の双方にメリットが発生する。M&Aアドバイザー側は案件を成功に導けば、最低限の利益は確保できる形になっているので、割に合わない案件を請け負うことが少なくなる。また、成功報酬を獲得するためにM&Aアドバイザーが努力してくれる点は、企業側にとっても大きなメリットになるだろう。

このように両者のメリットを見てみると、レーマン方式は非常にバランスがとれているため、M&A業界では多くの業者が採用しているのだ。

レーマン方式のデメリット

レーマン方式には魅力的なメリットがある一方で、注意しておきたいデメリットも存在する。たとえば、レーマン方式では取引金額が小さいほど料率が高いので、小規模の案件では企業側の費用負担がどうしても増えてしまう。最低保証額がいくらに設定されているかも要確認だ。

また、取引金額が大きいと、料率が下がるとはいえ、費用負担が重く感じられてしまうことも多い。

さらに、取引金額が大きいほどM&Aアドバイザーの成功報酬も増えることから、取引金額以外の条件が悪くとも、M&Aを強引にすすめられるリスクがある。取引金額が高くなるケースでは、M&Aアドバイザーの姿勢や人柄を十分見極めるとともに、慎重にM&Aの意思決定をすることが大切だ。

レーマン方式以外の計算方法とは? 逆レーマン方式のメリットとデメリット

基本的にM&Aの成功報酬はレーマン方式によって計算されるが、M&Aアドバイザーによっては「逆レーマン方式」を採用しているケースもある。逆レーマン方式とは、以下のように報酬基準額が大きくなるほど料率が上がっていく仕組みの計算方式だ。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

メリットとデメリット

逆レーマン方式のメリットは、取引金額が少ない場合に成功報酬を抑えやすい点にある。つまり、小規模の企業がM&Aを進める場合には、逆レーマン方式の業者を利用したほうがコストを抑えられる。一方で、逆レーマン方式は取引金額と料率が比例関係にあるため、企業側から見ると取引金額の多い案件には適していない。

実際に逆レーマン方式を採用している業者は、決して多くはない。ただし、レーマン方式と勘違いして契約を進めると、場合によっては大きなコストが発生するので注意しておこう。

M&Aアドバイザーの報酬はどう決まる? 基本的な報酬体系

M&Aアドバイザーに支払う報酬は、成功報酬だけではない。続いて、成功報酬以外の報酬についても詳しく見ていこう。

M&Aアドバイザーの報酬は、大きく以下の4つに分けられる。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

必ずしもすべての報酬が発生するわけではなく、着手金が発生しないケースもあれば、成功報酬以外の費用はほとんどかからないケースも存在する。

M&Aアドバイザーの報酬体系は依頼先によって大きく異なるため、依頼前にしっかりと確認しておくことが重要だ。また上記の中でも「成功報酬」は多額になりやすく、特に内訳や計算方法をきちんと理解しておきたいポイントである。

相手が専門家だからといってすべてを任せると、いつの間にか多額の資金を無駄にしてしまう恐れがあるので注意しておこう。

M&Aアドバイザーへの報酬が発生するタイミングは?

M&Aアドバイザーに支払う報酬は、高額となる可能性もあるため、いつ支払うかというタイミングもしっかり押さえておきたい。

レーマン方式とは? 仕組みや計算方法、報酬が発生するタイミングを解説

基本的には上記のタイミングで支払うが、各報酬が発生するタイミングもM&A アドバイザーが独自に決めている。依頼先によってコストが発生する時期は異なるため、事前に確認しておくことが望ましい。

なかでも月額報酬は、M&A を検討している段階から発生する場合もあれば、基本合意書を結んだタイミングで発生するケースもある。あらかじめM&Aにかかる全体の費用を見積もり、支払が必要なタイミングも把握したうえで、早めに資金を用意しておくことが大切だ。

M&A アドバイザーの形態によっても報酬体系は変わる

M&Aアドバイザーにはいくつかの種類があり、M&Aアドバイザーの形態によっても報酬体系が変わることを理解しておきたい。

M&A アドバイザーは主に「ファイナンシャルアドバイザー」と「M&A 仲介会社」の2種類に分けられる。

ファイナンシャルアドバイザーの依頼元(クライアント)は、売り手または買い手のどちらか一方だ。そのため、基本的には一方からしか報酬を受け取らない「片手取り」が採用されている。

一方、M&A 仲介会社は売り手と買い手の間に入って両者をサポートする。そのため、どちらからも報酬を受け取る「両手取り」を採用している。買い手が最大限出せる予算から仲介報酬などを差し引き、その残りの金額が株式売却額として売り手に渡される仕組みだ。

つまり、M&A 仲介会社を利用する売り手は、株式売却額の減少という形で買い手のコストも一部負担することになる。依頼先に支払う金額を見るだけでは、この仕組みに気づけない可能性があるので注意しておこう。

最後にチェック!M&Aアドバイザーやレーマン方式を選ぶときの注意点

最後に、M&Aアドバイザーやレーマン方式に関する注意点を、ここまでの内容も交えながらまとめていこう。

料金体系が重要

M&Aアドバイザーを選ぶ際には、やはり料金体系は強く意識しておきたい。しかし、発生するコスト以上に重要なポイントは、M&A自体を成功させることだ。仮に料金が安くても、サポートが充実していなければM&Aは失敗に終わる可能性がある。

M&Aの相談先選びでは、サービス内容やM&Aアドバイザーとしての実績、担当者の知識や熱意などを考慮し、自社にとって「費用対効果」の高いM&Aアドバイザーを選ぶことが大切だ。また、成功報酬の計算方法としてレーマン方式が採用されている場合、次の4点を忘れずチェックしておきたい。

レーマン方式の4つのチェックポイント

【1】報酬基準額の決め方
【2】自社のケースに該当する料率
【3】最低保証額の仕組みや金額
【4】契約書の内容

M&Aアドバイザーの報酬体系は、基本的に各社のホームページ上で公開されている。しかし、成功報酬の計算方式はやや複雑であるため、細かい仕組みをホームページ上に掲載している業者は少ない。

M&Aアドバイザーに相談する時は、成功報酬の計算方法について、丁寧な説明を求めるといいだろう。報酬体系に関してクリアに説明してくれるM&Aアドバイザーは、それだけ信頼できると判断できる。

逆に、報酬基準額や料率、最低保証額について突っ込んだ質問をしても、担当者が曖昧な回答をするようでは、信頼してM&Aのサポートを任せることは避けた方がいいだろう。M&Aには多額のコストがかかるからこそ、担当者が信頼できるかどうかを見極める1つの判断材料となる。

また、信頼できるM&Aアドバイザーを選び、M&A仲介契約を結ぶ時は、契約書の内容をしっかりと確認しておくことが重要だ。契約書には上記【1】~【3】の情報も記載されているため、契約書を入念にチェックし、リスクを抑えるようにしたい。

情報収集の段階で、M&Aアドバイザーの料金体系を細かく比較したい時は、各社に問い合わせることも検討してみよう。各社のホームページから問い合わせれば、料金体系について丁寧な説明を受けられるはずだ。見積もりを依頼できるケースもある。

M&Aアドバイザーによっては無料相談の受け付けもあるため、M&Aのコストだけでなく、スキームや事例についてなど、詳しい説明を受けたい経営者におすすめだ。

ただし、M&Aアドバイザーを比較検討する時は、コスト以上にサービス内容や実績、担当者との相性などが重要となる。金額だけで比較するのはM&A失敗のもとになるので、あくまで費用対効果の視点でコストを比較するようにしたい。

情報を一つずつ整理し、最適なM&Aアドバイザーを選べる環境を

M&Aアドバイザーの報酬は、成功報酬、着手金、中間報酬、月額報酬の4つに大別される。この中でも特に高くなりがちなのが、成功報酬だ。成功報酬の計算方法としては、レーマン方式を採用している業者が多い。

レーマン方式では、M&Aで移動した資産の価格(報酬基準額)に、一定の料率を乗じて成功報酬を計算する。レーマン方式では、報酬基準額が増えるほど料率は下がる。一方、逆レーマン方式では、報酬基準額が増えるほど料率は上がる仕組みとなっている。

M&Aアドバイザーの報酬体系は、それほど難しい仕組みではないが、すべての報酬を合わせると数千万円に及ぶケースも珍しくない。計算を少し間違えるだけで、資金繰りが間に合わなくなる可能性がある。そのため、報酬体系をしっかり理解し、利用するM&Aアドバイザーを比較・検討してほしい。

また、消費税だけで数百万円に及ぶケースもあるため、税込みのコストを把握するのも忘れてはならない。ほかにも各コストが発生するタイミングや最低保証額など、注意すべきポイントがたくさんある。

必要な情報を一つずつ整理しながら、費用対効果の高い最適なM&Aアドバイザーを選ぶことが大切だ。

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監修者紹介

斎藤弘樹
株式会社日本M&Aセンター 地域金融1部 部長
斎藤弘樹 (さいとう・ひろき)
一橋大学卒業後、外資系金融機関入社。 2012年日本M&Aセンター入社以降、地域金融機関と数多くのM&Aに携わり、後継者に悩んでいる、または更なる成長を志向する経営者に、M&Aという手段で会社の継続と発展を支援している。
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