トップカルチャー(新潟県新潟市)は新潟を拠点に1都9県で「蔦屋書店」64店舗及び 「TSUTAYA」6店舗を展開。2021年5月末時点で全70店舗と同ブランドのトップフランチャイジーだ。加盟以降、CD・DVDのレンタルに加え、書籍・CD・DVD・文具・生活雑貨等を販売する大型複合店舗の運営で事業を拡大してきた。2005年に東証第1部に上場し、今年3月に発表した2021年10月期第1四半期連結決算は、純利益が前年同期比15.6%増の1億2600万円となった。同社の清水大輔社長は、今年1月に創業者である父親から事業を引き継ぎ社長に就任。新たな施策を次々と打ち出している。
トップカルチャーは1986年に創業。翌年、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「TSUTAYA」の初期FCとして加盟した。当時はレンタルビデオ1本1000円の時代。以降、同社はTSUTAYAの発展とともに成長してきた。CCCの増田宗昭社長は現在まで、トップカルチャーの社外取締役を務めている。
初期FC店として加盟
2005年東証1部上場
―御社は現会長である父親が創業しました。
清水 元々、父は父の兄が経営するホームセンターで役員として経営に参画していました。しかし1980年代後半から徐々に流通業界は冬の時代になり、新たな事業を模索していたようです。父は「これからはマスマーケティングではなく、1対1のダイレクトマーケティングの時代だ」と感じていました。偶然、そのタイミングでCCCの増田社長とあるセミナーを通じて出会ったそうです。増田社長の「これからはデータの時代。レンタルで顧客の趣味嗜好を収集して、ライフスタイルを提案する」という話を聞いてピンと来た。父が自分の課題として向き合おうとしていたこの「ライフスタイルを提案する」という新しいサービスの考え方に共鳴したのです。
―当時はまだTSUTAYAも地方のいちレンタル店でした。
清水 ですので父が力説しても多くの人は、何を可笑しなことを言っているんだ、という反応だったようですね。それでも父の決心は変わらなかった。TSUTAYAの直営店舗がまだ数店舗だった時代に父は独立し、FC加盟を果たしました。
―当時のTSUTAYAには現在のように雑貨や食品を取り扱うイメージはなく、所謂、ビデオレンタルショップの立ち位置でした。しかし、御社は最初から複合店を展開していたといいます。
清水 父が在籍していたホームセンターは、金物や園芸など市場が縮小していったものを1ヶ所に集めて販売するスタイルでした。そこから発想を得て、1号店の時から300坪の土地に文具・本・レンタル・飲食スペースを作りました。成長が鈍化しているものをまとめて、何とかしたいという思いでした。また、新潟の文化水準を上げることも目標にしていました。いつでも映画が観られる、本が読めるということです。
―出店した当時はビデオレンタルが普及し始めた時と重なります。
清水 最低でも30店舗を早く出店しようという目標でした。ビデオレンタル市場の最盛期とも重なり、CCCも勢いがあったというのも大きいですね。物件は商圏まで車で10分の範囲で選定していましたが、近くに書店があったとしても、「倍面積で作ってより良いものを売ろう」という考え方です。おそらく物件調査もしているようで、していなかったのではないでしょうか(笑)。
―多くのメガフランチャイジーは、ある程度の資本や土地を持ってから始めるケースが多い。
清水 確かに他のメガフランチャイジーさんは、元手となる資本があって事業を始められた方が多いと思いますが、当社は銀行から融資を受けて1店舗目を開店しています。ですのでいろいろな苦労もあったようです。ただ1号店が上手くはまり、複合店としての認知度も上がっていったことで事業が発展していきました。
―2001年に東証第2部、2005年に東証第1部へ上場を果たしました。上場後もCCCのブランドでのみ展開しています。
清水 上場の理由は、人材確保と資金調達のためです。新潟の会社なので東京での知名度が低かったため、東京進出にあたり上場に踏み切りました。「蔦屋書店」「TSUTAYA」へのこだわりは、父親と増田社長との信頼関係によるものです。二人はまさに戦友で、ビジネス上の付き合いだけではありません。
―二人三脚で事業を拡大してきた。
清水 当社の「蔦屋書店前橋みなみモール店」は、グループにとっても1000坪超の超大型複合店舗1号店です。この店舗をきっかけに蔦屋書店全体の1000坪100店舗構想も誕生しました。
同社が展開する店舗は、書店がメインだ。ビデオ・CDレンタルとともに、書店の存在意義が叫ばれる中、蔦屋書店本部は2020年の国内書籍・雑誌販売総額1427億円で過去最高額を記録。トップカルチャーでもコロナ禍等で来店客数減少があったものの、書店事業全体の20年11月〜21年1月期売上高は前年同期比97・4%と減少幅は抑えられた。しかし、縮小傾向にある市場の中で、同社が抱える課題も多い。
(後編へ続く)