2018年のおひとりさま関連16市場では、16市場のうち14市場で成長の見込
~単身世帯の増加、一人で行動し楽しむ人が増えることで、おひとりさまが経済に与える影響は拡大していくと予測~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のおひとりさま関連16市場を調査し、各々の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
表1.おひとりさま関連16市場 市場規模推移
図1.ファストフード系外食チェーンのブランド比較
1.市場概況
日本国内においては単身世帯数が増加しており、いわゆる「お独りさま」が増えているほか、ライフスタイルの変化や趣味・嗜好の多様化などにより、一人で行動・消費することを好む「お一人さま」も増加している。その結果として、おひとりさまが市場の担い手となっている産業も数多く存在し、経済に与える影響も徐々に拡大している。本調査では、おひとりさまに関連する16市場の動向を調査した。
2017年(年度)のおひとりさま関連16市場では、16市場中12市場が成長した。金額規模をみると、おひとりさま中食市場(1人用購入客の利用金額ベース)が前年度比6.6%増の8兆1,000億円、おひとりさま外食市場(1人来店客の利用金額ベース)の前年度比4.5%増、7兆6,415億円が突出しており、参加人数では、おひとりさまカラオケ利用者が前年比6.7%増、320万人と多い結果となった。
2.注目トピック
独自の解析手法「Xビジネスエンジン」によるファストフード系外食チェーン比較
主なファストフード系外食チェーンを弊社の解析手法「Xビジネス」エンジンを用いて分析(調査期間は2018年12月から2019年2月までの3ヶ月間)した(図1参照)。
本分析結果から、インターネット検索と口コミの総量である「熱量」(バブルの大きさ)で牛丼チェーン3社(「松屋」「吉野家」「すき家」)が上位を占めた。この3社はキャンペーンやイベントなどを積極的に展開し、テレビCMやネット動画CMなど主要メディアを活用した販促活動を実施している。また、3社ともユーザーが主体的に支持し、且つブランドが浸透している状況である『積極的支持』のゾーンに当てはまった。特に「松屋」は「温度」(情報の拡散度合いを指数化)で「はなまるうどん」と並び、トップのスコアを記録した。
また、「熱量」で上記3社に次ぐスコアとなったのが、「丸亀製麺」「CoCo壱番屋」「かつや」であった。「かつや」は「魅力度」(ユーザー反響数とメディア露出数から、ユーザーがメディアに左右されず、いかに自主的に反響したかを指数化)でトップのスコアとなったものの「温度」ではスコアが伸びず、『冷めた魅力』のゾーンに位置する結果となった。「かつや」は、2018年12月に地上波全国放送のテレビ番組内で期間限定メニューを決定するバラエティ番組が放送されたことも、ネット上での「魅力度」つまり反響数の高さに影響したと思われる。
一方、「ゆで太郎」「名代富士そば」「小諸そば」の立ち食いそばチェーンは、総じて「熱量」は小さく、特に最もスコアが小さかった「小諸そば」は、「温度」「魅力度」ともに低スコアだったことから、メディアやネットを活用した情報発信や販促活動をしてない(出来ていない)ことが推察される。
3.将来展望
2018年(年度)のおひとりさま関連16市場では、16市場のうち14市場で成長の見込みである。伸び率(見込)をみると、個サル参加人数の前年比12.5%増(45万人)、コインランドリー市場の前年度比8.6%増(1,086億円)が高く、一方で婚活関連市場やジグソーパズル市場の2市場は引き続きマイナス成長となる見込みである。
厚生労働省資料などによると全世帯の約3割が「単身世帯」、そのうち1割以上が「高齢者のみ」の単身世帯、また、40~44歳の未婚率が男性で約3割、女性で約2割となるなど、晩婚化や非婚化の傾向も高く、今後「お独りさま」が増加していく見込みである。さらに、「おひとりさま」という言葉がますます普及・浸透してきていることで、あらゆる分野において一人で行動し、楽しむ人が増える見込みで、おひとりさまが経済に与える影響は拡大していくと予測する。