医療ICT市場,2018年
(写真=create jobs 51/Shutterstock.com)

2022年度の国内医療ICT市場を421億41百万円と予測

~クラウド型治験支援システムの構成比は高いものの、今後は遠隔診療システムとVNAが大幅に伸長すると予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の医療ICT市場を調査し、製品別の市場動向、医療クラウドの移行状況、今後の市場展望を明らかにした。

国内医療ICT市場規模推移・予測

国内医療ICT市場規模推移・予測

1.市場概況

将来の医療ビッグデータやAIソリューションの実現に向けて重要となる医療データの収集において、既存システム(オンプレミス)からの置換えが進みつつある医療クラウド(電子カルテシステム、PACK[Picture Archiving and Communication Systems:医療用画像管理システム]、治験支援システム[EDC:Electric Data Capture]、遠隔画像診断システム、診療予約システム)や遠隔診療システム、VNA(Vendor Neutral Archive)システムを対象として、国内の医療ICT市場規模を算出した。

2016年度の国内医療ICT市場規模(事業者売上高ベース)を190億86百万円と推計した。2017年度の同市場規模は前年度比117.0%の223億39百万円の見込みである。
2016年度の内訳をみると、クラウド型治験支援システム市場が112億円と最も規模が大きく、全体の約6割を占めた。次いでクラウド型PACS市場が23億53百万円、クラウド型電子カルテシステム市場は18億25百万円と続いている。

2.注目トピック

クラウド型電子カルテシステムの普及について

本格的にクラウド型電子カルテシステム市場が立ち上がった2010年以降は一般診療所向け市場を中心に展開されていたが、病院向け市場においてもクラウド化の動きがようやく始まっている。

クラウド型電子カルテの現在の導入状況は、病院で228施設、一般診療所で1,305施設と推計する。オンプレミス型電子カルテシステムを含めた電子カルテシステム全体市場に占める割合はそれぞれ8.1%、4.0%となる。病院、一般診療所ともに1割に満たない状況ではあるものの、本格的な普及が2016年度頃からのため、着実にクラウドサービスが普及しつつあるといえる。今後さらに他業界からの新規参入や既存ベンダーのクラウドへのシフトなども考えられ、電子カルテシステム市場は急速にクラウド化へ移行する可能性がある。

3.将来展望

医療ICT市場は、主に国による情報基盤整備の推進、医療施設のICT化及びクラウドの急速な普及、主要ベンダー等のクラウドサービス移行等の要因から今後更なる成長が見込まれる。ICT化の遅れている小規模病院などでは情報システム投資を抑えられる医療クラウドサービスへの潜在需要は高い。
このような状況から、2022年度の国内医療ICT市場(事業者売上高ベース)は421億41百万円に成長すると予測する。