歯科機器・材料市場,2018年
(写真=fotokate33/Shutterstock.com)

2017年度の国内歯科機器・材料市場規模は、前年度比2.2%増の2,700億31百万円

~CAD/CAM関連やマイクロスコープなど保険診療となる新技術の関連製品・材料が順調な伸び、高齢化社会を背景に予防歯科分野も市場拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の歯科機器・材料市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内歯科機器・材料市場規模推移

国内歯科機器・材料市場規模推移

1.市場概況

2017年度の国内歯科機器・材料市場規模(販売元出荷金額ベース)を前年度比2.2%増の2,700億31百万円と推計した。品目別に市場をみると、歯科機器は1,028億8百万円(前年度比1.1%減)、予防歯科関連製品が210億8百万円(同4.7%増)、歯科材料は1,187億50百万円(同5.4%増)、歯科薬品は64億37百万円(同0.8%増)、歯科用インプラント関連は210億27百万円(同0.6%減)であった。
修復などに用いられるCAD/CAMシステムや肉眼よりも緻密な治療が行えるマイクロスコープ、X線CTといった新しい技術が保険診療となる中で、その関連製品・材料が順調な伸びを見せている。また、患者の口腔ケアの認識が高まっている背景から予防歯科の分野についても拡大傾向が続いている。一方で、納入単価については歯科用金属を除き、前年度価格を下回る製品が多くみられた。

2.注目トピック

通販系企業の業績拡大

歯科機器・材料を取り扱う通販系企業は、マスクや紙コップなどの比較的一般的な材料から技術志向の高いものまで幅広く取り扱うようになっている。これらの企業の中には、保険適用を受けた切削修復(加工)用レジン材料を自社で申請、販売するほか、X線CT、歯科用レントゲンなど重医療機器の販売を開始した通販系企業もおり、従来の歯科機器・材料の流通システムに大きな変革をもたらしていると言える。
これらの流通変革については、歯科医が使用する医療材料の数量は極めて限られており、流通コストを考えると、通販の方がごく小ロットな需要のニーズに合致しているという背景がある。

3.将来展望

2018年度の国内歯科機器・材料市場については、納入単価の下落の影響などから減少する見通しである。
厚生労働省の調査によると、国内の歯科診療患者数は年齢階級別の推計患者数の推移が64歳以下で減少傾向にある一方で、65歳以上(特に75歳以上)で患者の増加が著しく、各歯科診療所にとっては「治療中心型」の歯科診療から、「治療・管理・予防・医科連携」への転換が今後必要とされてくると考える。