【連載#8】Win-Winフランチャイズを構築する方法
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

この連載の中でも何度も紹介していますが、ハッピーカーズFCの成功の理由は、加盟店がいかに利益を出しやすい仕組みにしていくかということを中心に考えているからです。

加盟店に利益が出れば顧客にも利益が出る、ひいては本部にも利益が出ます。その主軸さえブレなければ、どのような事業形態であってもFC化は難しいものではありません。

今回は、ハッピーカーズ独特のFCモデルである「サブスクモデル」を紹介します。

新佛 千治氏
新佛 千治 (しんぶつ ちはる)
株式会社ハッピーカーズ 代表取締役
営業職としてメーカーに入社。全国トップクラスの営業成績を出すが、自分の可能性をもっと広げてみたいと思い、退社。大波に乗ることを目指してハワイへ。帰国後、新たにデザインの勉強をはじめ、広告業界に飛び込む。まずは、出版社にデザイナーとして入社し、後に、大手情報サービス会社で広告制作ディレクター、コピーライターとして実績を積み、2005年にはクリエイティブディレクターとして広告制作会社を立ち上げる。そして、外部要因に左右される経営環境を変えたく、もうひとつ事業の柱をつくろうと中古車の輸出ビジネスに目をつける。海外への販売ルートの開拓を考え、中古車の輸出先となるアフリカのタンザニアに現地法人を立ち上げる。しかし、治安の問題もあり短期間で撤退を決断し、中古車輸出業から手を引く。その際の経験を活かし、日本国内において一般のお客様から中古車を仕入れて、オークションに出すクルマ買取り業者、株式会社ハッピーカーズが誕生。2015年の事業立ち上げから、わずか4年で全国に50以上の加盟店を展開する規模へと成長する。
▪ハッピーカーズHP:https://happycars.jp/company/

サブスクはある程度規模の理論が重要になってきますが、当社は、最初は役員2名で会社を運営できるぐらいのロイヤリティー金額から始めたということが成功の大きな要因になっています。
最初から大きな利益を上げようとすると、どうしても「加盟金数百万円」という発想から逃れられなくなります。これではうまくいきません。

Win-WinのFCモデル

現在のところハッピーカーズは、ロイヤリティーとして売上の数パーセントを加盟店から受け取るというシステムを採用していません。

FCのロイヤリティーの料率が大きいと、いつか加盟店はFCビジネス継続できなくなってしまうからです。例えば、ロイヤリティーが売上の6%に設定すると、200万円の中古車を販売したときのロイヤリティーは12万円です。加盟店にとってはほとんど利益が出ない水準です。

そこで、ハッピーカーズでは、スーパーバイザーによる指導など本部経費が掛かるものを極力排除して、加盟店の会費を一律5万円に設定しました。ハッピーカーズの看板を自由に使えてフリーに仕事ができる、ノウハウを共有できる、そのための「サブスク」です。

月々5万円!ハッピーカーズ流「サブスク」FC

ハッピーカーズのサブスクFCモデルは、個人プランと法人プランがあります。
ハッピーカーズの加盟店になれば、個人ならば最低限ひと月100万円をコンスタントに稼げるようなプラットフォームでありたいという発想がサブスクFCモデルの始まりです。

そうであれば利益の5%、100万円稼いで5万円払うくらいであれば大きな負担なく事業が継続できるのではないかと思って「月々5万円」という金額を設定しました。
(法人の場合には規模や人数によって設定が異なります。)

初期費用もかからないし、とにかくFCビジネスを始めやすいように初期費用や月額料金をかなり抑えめにしたのです。

現在コロナ禍のなかで他のビジネスで流行っているのは、自宅で行うリモート式のジムです。フィットネスを撮影する場所とスマホ、ipad5台ぐらいでいろいろな方向から撮影するような機材があれば誰でもできます。
仮にこのFCビジネスが加盟料100万円だとどうなるでしょうか。2か月目以降も利用してくれる固定客がつけばよいのですが、加盟店皆がそこまで利益を上げるのは難しいビジネスです。結局は本部が加盟料で儲けただけ、ということになってしまうことにもなりかねません。

本部は数と付加価値で利益を出す

加盟店の利益を何よりも優先して採用したサブスクモデルですが、加盟店数が相当数存在することを前提にして初めて成り立つビジネスです。ビジネス開始当初は、本部としてはかなりの辛抱を強いられることになります。

しかし、サブスクの料金として本部として入ってくるお金は少なくても、加盟店が100社単位になってくると本部の利益は爆発的に増えていきます。サブスク収入のほか、1万円のサービスを10個、月1回平均で加盟店に利用してもらえれば、それだけで本部には毎月平均1,000万円の売上が上がります。

サブスクの特徴として、加盟店は事業を始めやすく継続しやすいので、利益を出しやすいということがあります。利益が継続して出せる加盟店がどんどん増えていくと、加盟店は負担のない金額で本部の付加価値的なサービスを利用できるようになります。1回のサービス代金はわずかな金額ですが、加盟店の数が多く、かつ継続して利用されれば利益は大きくなるのです。

例えば集客について、本部主体の広告宣伝で誘引した顧客について加盟店に買取対応を依頼し、紹介フィーを受け取るというサービスがあれば、加盟店は喜んでそのサービスを利用します。
数店舗しかなければ広告の効果を最大限活用することはできませんが、全国に数十店舗、数百店舗あれば取りこぼしが少なくなります。
このように、サブスクモデルは最初は苦労しますが、加盟店の数を増やすことで本部の利益が安定的に増加していく仕組みになっています。

本部の利益が加盟店の利益となる良い循環

本部が利益を継続してあげることができるようになれば、加盟店のパフォーマンスをさらに向上させるための集客の仕組みの強化、ブランドづくり、組織力の強化のための社内のネットワークの向上策など、さまざまな施策を実行することができます。

FCの加盟店になってビジネスを始めようとしている人の中には、そのような施策は当然本部が担ってほしいと考える人もいるかもしれません。

しかし、本部の利益の多くは結局加盟店から支払われるロイヤリティーで成り立っています。加盟店に対する施策を強化することが必要であることはもちろんですが、まずは加盟店が自分で利益を出せる仕組みを機能させることが先決です。そのために、月々5万円という最低ラインの会費を設定しています。

全てを本部が負担しない代わりに、加盟店ごとの相互扶助していること、そこに価値を感じてもらいたいという思いがあります。

実際は、さまざまな加盟店同士の情報交換の仕組み、陸送業者や保険業者との連携、オークションの代理出品、その他の集客やブランドなど本部が提供しているサービスやツールはたくさんあります。加盟店のメリットは盛り沢山です。

加盟店はお客様ではない!パートナーとして接する

ハッピーカーズの加盟店がなぜこれだけ増えてきたかというと、加盟店に売上を上げてもらうことに注力し、パートナーとして尊重してきたからです。

よく他のFCモデルで見受けられるのは、加盟店をディストリビューターの代わりのように扱い、加盟店にまずは在庫を卸して販売してもらうというパターンです。
飲食店でしたら食材や飲料を卸して本部が利益を上げる。そうすると加盟店の利益と本部の利益が相反します。これには違和感があるのです。

ハッピーカーズ本部として、加盟店をお客様だとは考えていません。お客様扱いしてチヤホヤしたり、ようこそお越しくださいましたと言って頭を下げたりという対応をするつもりは毛頭ありません。

たまに説明会には自分をお客様だと思って来場する人がいます。
お客様扱いで来る人は、説明会が進むにつれて雰囲気の違いに気づいていきます。だんだん謙虚になっていって、「そうだ、自分はお客様でここにいるのではないんだ。パートナーとしてここにいるんだ。」という自覚が生まれてくるのです。

本部としても、加盟するオーナーは厳しい目線で審査をしています。加盟店は一緒にブランドを作り上げていくパートナーです。加盟するからには、絶対に成功してもらいたい。それが、他の加盟店のためでもあるし、ハッピーカーズのブランドのためでもあるからです。

ハッピーカーズの企業理念としてもっとも重要なことは「パートナーハッピー」という考え方です。まずは加盟店であるパートナーがハッピーになり、その結果カスタマーにも喜んで頂けるのです。
本部とパートナーが利益相反していては、このようなハッピーは生まれません。

現場主体のWin-Winビジネスモデル

サブスクFCモデルでは、現場のノウハウがFCスキームの中の価値ある中心部分になってきます。それは常に現場から拾ってきてアップデートしていかないと、その価値は生まれてきません。

本部としては、現場で日々獲得していくノウハウの結晶のようなものを集めて、中心的な価値を大きくしていくという業務を日々こなしていくことになります。

横のつながりによる情報ノウハウの共有

その業務を私一人が現場で経験したことをアップデートしていくよりは、10店で作り上げたほうが効率的だし、その仕組み自体が加盟店に提供する価値につながってきます。10店舗がそれぞれ現場で獲得した価値を共有すれば、各加盟店は1日で10倍成長できるのです

FCの本部が提供する価値として考えても、1日で10倍、加盟店が100店舗あれば100倍の価値を提供できることになります。
この情報共有の仕組み、ナレッジシェアリングが重要ですし、そこがFCの全てでもあります。

結局のところ、商売は現場に始まって現場に終わるわけです。ビジネスのコアの部分はもちろん本部が提供しますが、それにFC本部としてどのように付加価値をつけていくのかということは別に考える必要があります。

ハッピーカーズの場合のその付加価値は、現場で獲得していった生のナレッジの蓄積です。そのナレッジの蓄積の価値を多くの方に理解していただいています。だからこそハッピーカーズは人気があるのです。

二代目・三代目が育つことで組織は成長していく

さまざまな地域の加盟店のやり方を学べることは加盟店にとっても魅力的に映るでしょう。
ハッピーカーズでは、ある優秀な店舗に育ててもらった加盟店が成功すると「自分はこうだったよ」と新しい加盟店に教える文化が醸成されています。

自分のメンターは何々店の何々さんです、俺は何々さんに教えてもらってここまで来たよというようにお互いに感謝が生まれるのです。

すると、面白いことに、本部が特別な働きかけをしなくても2世代目3世代目の加盟店が育ってきます。現場を知らないスーパーバイザーが教えるやり方、通り一遍のマニュアルではなく、現場の生のノウハウが詰まった商売の本質的な動き方、具体的な方法を共有できる組織であることが、ハッピーカーズの大きな強みになっています。

次回は連載の締めくくりとして、ハッピーカーズの今後の展望を交え、成功するFCビジネスを行うにあたり最も大切な経営者のビジョンについて考えてみましょう。

【連載#1】「ハッピーカーズ」の企業文化と新しいフランチャイズのカタチ〜「稼ぎ方の選択肢」が求められる時代〜
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