日本M&Aセンターが行うM&A大学。
その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーにインタビューする企画の第12弾。 今回は秋田銀行 地域価値共創部 副長 根本 宗尚氏にインタビューした。
―今のチーム構成を教えてください。
事業承継チーム3名と、M&Aチーム2名の計5名で事業承継・M&Aについて動いています。
約3年前に元々の部署から独立して本格的に事業承継・M&Aの業務を行うようになりました。
昨年6月の本部組織改編により、企業の成長支援や問題解決はもちろんのこと、M&A業務、人材紹介業務、海外サポート業務などを担当する部署を「地域価値共創部」に名称変更し、その中で私はM&A業務を担当しています。
―ご出向から銀行へ戻られていかがですか。
日本M&Aセンターのことを深く知ることができ、より信頼できるようになった為、当行のお客様に自信をもって日本M&Aセンターを紹介できるようになったと思います。
私が出向してから、北東北専任のコンサルタントが常に秋田をフォローしてくれたこともあり、本当の意味で当行と日本M&Aセンターの距離が近くなったと感じております。その結果、これまでになかったさまざまな取組みをスタートできています。今年は県内5カ所で共同セミナーをやる予定ですが、そういった草の根運動を、秋田県のために同じベクトルに向かってやれると大いに感じているところです。
―秋田県が今、特別に取り組んでいること、もしくは秋田銀行が秋田県の皆さんに対してやっていることや思いに関するお話があればお聞かせいただきたいです。
秋田県は、小学生の学力が全国1位で、非常に教育熱心な県といわれているのですが、優秀が故に県外に出ていく人も多く、少子高齢化率はワーストクラスです。コロナの状況に関しては、秋田県は全国で2番目か3番目くらいに発症が少ないです。とはいえ、感染に対して非常に敏感です。
少子高齢化や後継者不在、先行き不安等から事業承継について真剣に考え始める経営者が増えてきたと感じております。
そうした状況下で、弊行は経営理念として「地域共栄」を謳っています。今の経営計画のテーマとなっており、部署名に入っている「価値共創」が示す通り、お客様と一緒に価値を高め、秋田を創り上げていこうという考えを持っております。
そのための1つの柱として今年の4月1日より新たに商社を立ち上げました。また、台湾にも事務所を構えており、国内~海外まで銀行として取り組む業務が増えてきています。ちなみに、台湾に事務所がある地銀は地理的に近い福岡銀行さん、鹿児島銀行さんと、地理的に遠い当行の3行で当行は多少珍しいかもしれませんが、台湾に関連する需要は増加しているとのことです。
―チームの皆様の動き方としてはどのように役割分担をされているのでしょうか?
当行の事業承継・M&Aチームのメンバーは、事業承継にもM&Aにも精通しています。おそらく他の銀行だと、事業承継は事業承継、M&AはM&Aでやっていると思うのですが、我々は双方の分野をしっかり経験しているので、お客様に対して多面的に見たうえでのコンサルティングができるということにつながっていると思います。
―秋田銀行さんは、本部の皆さんの意識が高く、経験値もあるのは、皆さんで何かやられていることがあるのですか?
圧倒的にチーム内のコミュニケーションが良いということに起因しているかもしれません。各人の得た情報について、どういう話をして、どういうスキームでということを、まず全員で共有し、各々のものにするというサイクルを作っています。
もうひとつは、個々人ではなくチームで予算を持ち、一致団結して取り組みができているという部分だと思います。
―これから出向される方へのメッセージなどはございますか。
それぞれ考え方はあると思いますが、個人的には出向される前に本部のM&A担当を経験してから出向をされたほうがいいなとは感じました。
営業店から直接出向した場合、そもそもM&Aを知らない、自分の銀行が何をしているかもわからないという方も多いようです。日本M&Aセンターで勉強することでもちろん知識は習得できますが、日本M&Aセンターには一流のセールスマンが多いため、刺激を受け過ぎて、スキルを磨くことや実績をあげることに力が入り、銀行のベクトルやお客様の要望に合わせて行動するということを忘れてしまいそうになります。
私が良かったのは、本部を経験したうえで出向し、当行の考え方や自分のM&Aに対する考え方との違いなどを、比較しながら見ることができたということです。日本M&Aセンターについて深く理解することで、いくつもの新しい考えが生まれましたし、折衝スキル等が格段に上がったと思います。また、出向を経験し、例えば銀行のこの考え方は変えていった方がいいのではないかと思い直すこともあり、銀行へ戻ってから、上席と当行のM&A業務について良いことも悪いと思うこともさまざま議論しました。結果として、チーム全体の考え方や取組姿勢が改善されたと感じており、受託件数が大幅に上がっているところに繋がっていると思います。