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日本M&Aセンターが行うM&A大学。 その卒業生として最前線で活躍するOB・OGバンカーにインタビューする企画の第6弾。 長野信用金庫 地域みらい応援部 課長 石坂力男氏にインタビューした。

M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

―現在ご出向から戻られて「地域みらい応援部」に所属されているということですが、「地域みらい応援部」とはどんな部署なのでしょうか。

長野信用金庫の本部にある「地域みらい応援部」は平成30年に出来たばかりの部署です。主に事業者様のライフステージに応じた相談に対応させていただいております。例えば、創業からM&A、事業承継など、お客様の状況に応じた課題解決のためのソリューション提供をさせていただいております。

―「地域みらい応援部」のグループ構成を教えてください。チームなどはあるのですか。

「地域みらい応援部」は、地域みらい応援グループと地方創生支援グループの2つのグループで構成されています。 私は主に地方創生支援グループの一員として、事業承継・M&Aの相談に対応していますが、営業店から要請があれば、地域みらい応援グループの一員として営業店に出向き、営業店担当者とお客様の幅広い相談する課題解決方法の検討や最適なソリューション提供を行っています。

―何人でM&Aを担当しているのですか。

実は、一人で対応しています。正確には部長、私の2人体制です。相談が重なった時などはどうしても忙しくなってしまいますね。

―一人でやっていて大変なことはありますか。逆に一人だからこそできることはありますか。

正直一人でM&Aを担当するのはプレッシャーが大きいですね。ですから、営業店店長と緊密に連携しながら業務に取り組んでいます。また、日本M&Aセンターのコンサルタントさんとの良好な関係維持も重視しています。人材育成は今後の検討課題ですが、次年度以降も日本M&Aセンターさんに定期的に出向をさせていただき、人材育成を図りつつ、ネットワーク体制を強化していきたいと思います。

―実際、出向が決まってからのお話をお聞きしたいのですが、長野信用金庫様では初めての出向となります。決まった時、どういうお気持ちでしたか。

営業店時代にM&Aセンターさんと仕事をやらせていただいた経験があったので、 再び、強いチームの人たちと一緒に仕事をやらせていただくことに、大きな期待感を持って臨ませていただきました。初めての出向ということで、当然プレッシャーは大きかったのですが、一つでも多くのことを吸収して戻ろうと思いました。

―出向期間中に、勉強になることはありましたか。

とても勉強になったこととして、「マッチング会議」が挙げられます。あれはすごく良かったですね。様々な経験を有するコンサルタントの方が豊富なアイデアを出し合う場でしたね。そこから信じられないようなビッグマッチングが生まれていく・・・そこが日本M&Aセンターさんが成長を続けているポイントの一つだと思いました。金融機関職員では思いつかないようなマッチングの数々に驚かされましたね。

実は戻ってから「マッチング会議」を企画しました。試験的な実施でしたが、実際行ってみると各営業店からの反響が大きくて驚きました。

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―石坂さんから、案件をどのように発信するのですか。

WEB会議で各営業店を結んで、案件紹介を実施させていただいています。WEB会議後、「あそこがいいのではないか」といった内容の情報を営業店から得て、私が「ネームクリアをとります」という話になっていきます。こんな仕組みがあったら良いな。というのは営業店時代からずっと思っていた事で、出向期間に「マッチング会議」のノウハウを学ばせていただいたことで、実現に至ったという感じですね。

―それはどれぐらいの頻度でされているのですか。

戻ってから一回実施しました。当面は4半期に1回くらいの頻度でできたらいいなと考えています。

―担当コンサルタントとの話をお聞きしたいです。どういった連携の仕方をされていたのでしょうか。

担当コンサルタントさんの対応はスピーディーかつ丁寧でしたね。疑問点に対してコンパクトに解決策をお伝えしてくださる。論点の整理が非常に上手な方です。私たち金融機関職員はお客様のことを理解しているという自負を持っていましたが、一方で担当コンサルタントさんは経営者目線で物事を考え、経営全体を俯瞰しながらお客様の理解に努められていると感じました。経営者目線で物事を考えてみる。理屈では分かっていても実践することはなかなか難しいものです。その点がとても勉強になり、今後意識していきたい部分です。

―長野県で、長野信用金庫がこれから何をしていくべきか、お考えはございますか。

長野には上場企業が37社ありますが、どの企業も地域を代表する企業であり、日本を代表する企業でもあります。その方々を中心に据えつつ、私たちのお客様の中心層である中小企業のサポートをしっかりやっていかなければと思っています。私は、長野県内企業が国内経済の重要な役割を担っていると感じています。首都圏からアクセスもよいですし、地方創生の観点からも、M&Aや事業承継を有効活用して、長野を盛り立てていきたいと思います。

―弊社にとって長野県への期待値は高いですよ。

他金融機関と金利だけで競っていっても当金庫の存在価値を見出せる状況ではありません。一方で、M&A・事業承継へ当金庫が積極的に取り組むことで、後継者不在等で悩みを抱える企業の事業承継問題が解決できる。または、成長戦略を描く企業お客様のお手伝いができる。当金庫は地域産業の存族や従業員の雇用継続に貢献し、積極的な融資提案もできる。日本M&Aセンターさんは更にノウハウが積みあがっていく。三方よしです!

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