【第8回】ボトルネックになっている古株の役員にはどう対峙していけばいいのでしょうか?その方の周りには、仲間もいて、こちらが少数派の場合はどうされますか?
(画像=THE OWNER編集部)

THE OWNER特別連載「経営者のお悩み相談所 〜経営コンサルタントが一問一答!〜」第八回目は「ボトルネックになっている古株の役員にはどう対峙していけばいいのか」という経営者のお悩みについてお答えします。

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【今回のご質問】
ボトルネックになっている古株の役員にはどう対峙していけばいいのでしょうか?その方の周りには、仲間もいて、こちらが少数派の場合はどうされますか?

【ご回答】
結論から申しますと、最終的には辞めてもらうしかありません。しかし、その決断をする前に他の方法を検討します。

ご質問ありがとうございます。過去に会社に貢献してくれた人材が、会社の状況の変化で寧ろ会社の発展を阻害する状態になってしまった時にどのように対処するかというご質問かと思います。これは非常に良くある話で尚且つ難しい問題と思います。状況が詳しく分からないので、本稿ではあくまで一般論として、取り得る策と検討の優先度について述べます。

杉野 洋一(すぎの よういち)
杉野 洋一(すぎの よういち)
(同)Initiatives代表。IT系企業、会計ファームにて広くクライアントを支援する傍ら、韓国・インドにて教育・指導・通訳に従事するなど多様な文化・企業環境において活躍。中小企業診断士として独立後は中小企業を中心に「真にクライアントに寄添う経営支援」を信条とし、目標制度や管理会計に取り組んでいる。▶https://initiatives.jp/
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    社内で能力を発揮してもらう

    勿論、最も穏当な策は社内で能力を発揮してもらうことです。本人の社内人脈や今までの経験を最大限活用できます。ここで重要な点は客観的な基準で結果が可視化できる職務に当たらせるということです。営業部や斜陽事業の立て直し、新事業立ち上げなど、結果が数値ではっきり分かることが大事です。

    異なった2者で意見が対立するのは、主観的だったり、未来のことで不確実性が高かったりすることが原因です。なるべく客観的、周囲から見て明白な根拠を基に話し合うようにし、客観的な根拠を基にそれを改善するためにはどうしたら良いかということに目を向かせます。価値観の異なる話題は極力避け、顧客や売上、利益といった結果を出すための方法論に焦点を合わさせます。

    例えば、新事業立ち上げを任せるのであれば、売上、利益、埋没コストを明確にします。計画を提出させ、事前承認とし、本人の顔を立てます。その上で利益を上げるためにはどうしたら良いか、埋没コストをなるべく早く回収するためにはどうしたら良いかという視点で話し合ってみてください。看過できない損害が出ない限り、本人にお任せし、経営者はサポートするという立ち位置に徹します。そうすることで、ご本人の視点を社内ではなく、客観的な数値の改善に向かせます。

    お任せした仕事がうまく行けば会社の発展に繋がりますし、うまく行かなければ改善をお願いしましょう。