2018年度のPCO・TCO・燻蒸サービス市場は前年度比101.8%の1,325億8,000万円の見込
~食品への虫などの異物混入事件が多発した影響もあり、異物混入防止のためのハード・ソフト両面での改善諸施策が進められており、PCO業者にとって追い風へ~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の害虫駆除・シロアリ駆除・燻蒸サービスのオペレーション市場を調査し、市場規模、市場トレンド、将来展望を明らかにした。
PCO・TCO・燻蒸サービス市場規模推移
1.市場概況
2018年度の害虫駆除(PCO)・シロアリ駆除(TCO)・燻蒸サービス市場規模は、オペレーション事業者の売上高ベースで前年度比101.8%の1,325億8,000万円を見込む。受注単価の減少や業者間の価格競争激化などで、長らく低迷していたPCO・TCO・燻蒸サービス市場は微増で推移している。
PCO市場では食品への虫などの異物混入事件が多発したことで、食品メーカーは異物混入防止のためのハード・ソフト両面での改善諸施策を進めており、TCO市場も住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりなどにより、燻蒸サービスの市場は2015年度からの輸出木材関連の燻蒸サービス需要が堅調なことから、小幅ながらも増加基調となっている。
2.注目トピック
~HACCPに沿った衛生管理の制度化(義務化)へ~
2018年6月、15年ぶりとなる食品衛生法の改正が公布された。改正された食品衛生法では、原則としてすべての事業者が、食品衛生上の危害の発生を防止するために特に重要な工程を管理するために「HACCPに基づく衛生管理」について計画を定めなければならないこととされている。但し、飲食業などの一定の事業者については、その取り扱う食品の特性等に応じた「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」でよいとされている。
HACCPによる衛生管理の制度化は、公布から2年以内に施行されることとなっているが、制度の本格導入に向けて施行後、さらに1年間の経過措置期間を設けており、結果として3年程度の準備期間が設けられている。今後、こうした食品関連事業者に対して幅広く「HACCPに基づく衛生管理」、若しくは「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」が義務化されることで、近年、食品関連工場をはじめとした総合な環境衛生管理事業に注力するPCO事業者にとっても大きなビジネスチャンスが生まれる見通しである。
3.将来展望
PCO市場は近年、食品への虫などの異物混入問題が多発した影響で、食品メーカーは異物混入防止の改善諸施策の推進と病害虫駆除施工の徹底がなされており、PCOオペレーション需要は増加基調となっている。しかしながら、2020年の東京オリンピック・パラリンピック後に関しては需要動向は不透明であり、再び市場はシュリンクしていく見通しである。
TCO市場は住宅等の長寿命化と防災面も含めた保全意識の高まりなどにより、シロアリを含めた床下工事需要の下支えもあり、前年度比1%内外増加するなど市場は底打ち感をみせているものの、今後はシロアリ防除工事の必要のないベタ基礎、シート工法などの建築物が増えること、及びシロアリ被害の減少などから、再び縮小傾向に戻っていく見込みである。
燻蒸サービスも年次規制緩和が進んで、燻蒸の必要のない害虫の範囲が年次拡大されてきており、これにより燻蒸の需要はダウンをたどってきていたが、輸出木材関連の燻蒸サービス需要が高まっており、小幅ながらも増加基調で推移していく見込である。