矢野経済研究所
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用途により成長性に差が出るが、全体では拡大続く介護ロボット国内市場

~第三世代製品や新規参入企業が牽引し、次のステップに移行する見通し~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年度の国内介護ロボット市場を調査し、用途別の分野動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

介護ロボット市場規模推移・予測

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1.市場概況

本調査では、移乗支援や移動支援、排泄支援、入浴支援、見守りなどの機能を持ち、介護現場での使用を想定されたロボットを対象としている。2019年度の介護ロボット市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比37.6%増の18億5,400万円と推計した。慢性的な人手不足などから介護ロボットの導入台数は着実に増加しており、介護の様々な場面での利用が増えてきている。しかし、市場が拡大している介護ロボット分野は「排泄支援」と「見守り支援」用途に限定されており、大きく依存する結果となった。
2020年度は新型コロナウイルスの影響もあり、接触回避を求める介護施設に対して、ロボットメーカー等が全く営業活動ができない(営業自粛)状況にあり、市場成長率はやや鈍化する見込みである。2020年度の介護ロボット市場規模は、前年度比8.4%増の20億1,000万円を見込む。

2.注目トピック

第三世代製品がこれからの市場拡大を牽引する見通し

第一世代や第二世代の介護ロボットは、特定ユーザ(介護者もしくは被介護者)に向けた、特定用途の行動(動作)を支援するにとどまっている。誰もが使える介護手段として、介護ロボットが普及してきているわけではない。
移乗支援や移動支援は新製品に、排泄支援は低価格製品に、見守り支援は総合システムへの発展等の改善がなされている。ユーザニーズを反映させて機能や価格を見直した、主に2018年度以降に製品化された第三世代の介護ロボットへのシフトが進むことによって、多くの介護現場への導入が進み、導入台数が増えていくものと考えられる。

3.将来展望

2021年度以降、介護ロボット市場で主役となるのは、マーケットインの発想による第三世代の介護ロボットとなるはずで、第二世代までの製品とは一線を画すものになる見通しである。いかに使いやすく、介護業務を効率化し、負担を軽減できるかが評価される競争時代に突入する。このように、第三世代の介護ロボットが市場浸透していくことで、2023年度の介護ロボット市場規模は、メーカー出荷金額ベースで2019年度比138.1%の25億6,000万円まで拡大すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年8月~11月
2.調査対象: 国内の介護ロボットメーカーやその販売会社、応用システム取扱企業、技術開発に取り組む企業や関連団体、関係省庁等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、電話ヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<介護ロボットとは>
本調査における介護ロボットとは、介護者もしくは被介護者の行動(動作)を支援するサービスロボットを指し、介護者もしくは被介護者が使用することで、(身体的、精神的)な負担軽減や業務効率化に資するものとする。尚、コミュニケーションを目的とするロボットは含まない。
他にも医療用やリハビリテーション用、自立支援用、産業用などのロボットとして製品化された事例もあり、介護用との区分けが難しい場合もあるが、本調査では介護現場での使用を想定・提案している製品のみを対象とする。
<市場に含まれる商品・サービス>
移乗支援ロボット、移動(歩行)支援ロボット、排泄支援ロボット、入浴支援ロボット、見守り支援ロボット

出典資料について

資料名2020 介護ロボットの可能性と将来性
発刊日2020年11月27日
体裁A4 147ページ
定価150,000円(税別)

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