テレワーク
(画像=manulopez/stock.adobe.com)

テレワークという言葉が広がっているが、意味やリモートワークとの違いを知らない方もいるだろう。そこで今回は、テレワークについて簡単に概要を整理するとともに、会社側・労働者側から見たメリット・デメリットや導入方法などを解説する。

目次

  1. テレワークとは?
    1. テレワークとリモートワークの違い
  2. テレワークの種類3つ
    1. 種類1.在宅勤務
    2. 種類2.モバイルワーク
    3. 種類3.サテライトオフィス
  3. テレワークのメリット・デメリット【会社編】
    1. テレワークのメリット【会社編】
    2. テレワークのデメリット【会社編】
  4. テレワークのメリット・デメリット【労働者編】
    1. テレワークのメリット【労働者編】
    2. テレワークのデメリット【労働者編】
  5. テレワークの導入までにすべきこと
    1. 仕事環境を整える
    2. 情報漏洩対策を行う
  6. テレワークの導入に便利なツール3選
    1. ツール1.オンラインチャットシステム
    2. ツール2.テレビ会議システム
    3. ツール3.勤怠管理システム
  7. テレワークの導入に各社が前向きな姿勢

テレワークとは?

テレワークとは何かを簡単に説明すると、オフィス以外の場所で時間にとらわれずに働くことをいう。テレワークは、「tele=離れた場所」と「work=働く」が合わさった言葉だ。日本語に訳すと遠隔勤務となる。

テレワークは在宅勤務と同じ意味で使われることがあるが、本来の定義をふまえると在宅勤務に限定されない。オフィス以外の遠隔地で働くことは総じてテレワークといえる。

ちなみに一般社団法人テレワーク協会は、テレワークを「ICT(情報通信技術)を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」と定義している。

テレワークは古くからある言葉だが、注目され始めたのはつい最近だ。2020年は新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を導入する企業が一気に増えた。

それにともない、テレワークという言葉が世間から注目され、政府もテレワークという言葉を用いている。オフィス以外の場所で働くことが多い個人事業主やフリーランスが使うこともある。

テレワークとリモートワークの違い

テレワークと似た言葉にリモートワークがある。意味の違いや使い分けに関して知りたい人もいるだろう。結論からいうと、両者の意味はほとんど変わらない。

リモートワークは、「remote=遠隔・遠く離れた」と「work=働く」が合わさった言葉だ。つまり、日本語訳に違いが見られず、リモートワークとテレワークは同じということになる。

リモートワークはIT業界で広く使われてきた経緯がある。IT業界では、もともと業務の遂行が働く場所や時間の制約を受けにくい。そのため、他の業界より早くオフィス以外の場所で働くリモートワークが行われてきた。正社員でも出社せずに働くスタイルは、フルリモートと呼ばれることもあった。

テレワークの種類3つ

テレワークの種類は、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィスに分かれている。在宅勤務以外は少し聞きなれない人も多いのではないだろうか。それぞれの意味や特徴を解説していく。

種類1.在宅勤務

在宅勤務は、自宅で仕事をすることだ。主にパソコンを用いる働き方であり、時には電話やメール、チャットツール、テレビ会議などで他の社員と連絡を取り合う。テレワークに関して多くの人が最初に思い浮かべる働き方といえる。

種類2.モバイルワーク

モバイルワークとは、自宅や会社以外の場所でパソコンやスマートフォンなどを用いて仕事をする勤務である。モバイル勤務と表記されることもあり、出張にともない新幹線の中で仕事をしたり、カフェやホテルのラウンジで仕事をしたりする働き方をさす。

種類3.サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、勤務する本拠地以外のオフィススペースをさす。本店や支店、本社や支社はサテライトオフィスとは呼ばれない。

最近では、複数の会社が共同で利用できるサテライトオフィスが都心や郊外に登場している。ワンフロアもしくは一区画をオフィスとして活用でき、休憩スペースは共同利用とされるところも多い。

サテライトオフィスの魅力は、通信環境やセキュリティ体制が整備され、オフィスと同じ環境で仕事ができることだ。サテライトオフィスであれば自宅からの距離も近くなり、社員は通勤時間を短縮できる。企業と社員の双方にメリットがあるテレワークの形態として、近年注目が集まっている。

テレワークのメリット・デメリット【会社編】

会社がテレワークを導入するメリット・デメリットを解説していく。

テレワークのメリット【会社編】

テレワークによってオフィスのコストを削減できる。出社人数が少なくなるので、オフィスの規模を縮小できるからだ。加えて、電気代や水道代、社員の交通費なども負担しなくてすむというメリットもある。

また、テレワークの導入で社員のモチベーションやQOL(クオリティオブライフ)が上がれば、生産性の向上にもつながるかもしれない。そのほか、育児や介護による離職を防いだり、遠方に住む優秀な人材を雇用できたりする点も見過ごせないメリットだろう。

テレワークのデメリット【会社編】

テレワークを導入するには、社員の進捗を確認・管理する体制づくりが必要だ。ここでつまずいてテレワークの導入を断念してしまう会社もある。

また、人材の育成や社員のモチベーション管理が難しいケースもある。たとえば、対面のコミュニケーションが減るので、チームで仕事を進めづらくなったり、社員同士の一体感が減ったりする。

定期的にオンライン飲み会を開催するなど、コミュニケーションを増やす工夫が大切だ。

テレワークのメリット・デメリット【労働者編】

続いては、労働者がテレワークで仕事をするメリット・デメリットについて解説していく。

テレワークのメリット【労働者編】

テレワークによって通勤時間が短縮され、プライベートに割ける時間が増える。家族と過ごす時間を持ちやすくなれば、生活の満足度や人生の充実感も高まるといえる。通勤ラッシュから解放されてストレスも減るだろう。

そのほか、育児や介護に悩んでいる方も仕事を両立しやすくなる。

テレワークのデメリット【労働者編】

テレワークでは労働者のモチベーションを維持するのが難しいといわれる。また、コミュニケーションが少なく、仕事を進めづらいと感じる人もいるようだ。

モチベーションとコミュニケーションの観点から、会社と労働者の双方で働きやすい仕組みを作っていかなければならない。

テレワークの導入までにすべきこと

テレワークを導入するには業務管理や勤怠管理の仕組みを作る必要がある。チームでコミュニケーションしやすいチャットツールやweb会議ツールを導入したり、部下から上司への報告体制を決めたりしなければならない。

仕事環境を整える

社員が自宅で仕事できるよう、会社が勤務環境を整える必要もある。たとえば、社員にパソコンを貸与することが考えられる。

自宅で集中して仕事をするのが難しい場合もあるだろう。そのときは、カフェや図書館といった公共スペースで仕事することを認めたり、テレビ会議への参加方法を検討したりするなど、さまざまな調整をしなければならない。

情報漏洩対策を行う

そのほかにも大切なのが、セキュリティやコンプライアンスに関する整備だ。テレワークでは、オフィスで仕事をするよりも情報漏洩のリスクが高まってしまう。セキュリティに関してルールを定めて社員に周知する必要がある。

テレワークの導入に便利なツール3選

テレワークをスムーズに導入するにはツールの活用が欠かせない。最近ではテレワークで活用できる便利なツールがある。無料で利用できるツールも多く、活用しない手はないだろう。ここでは、代表的なテレワークのツールをいくつかピックアップする。

ツール1.オンラインチャットシステム

1対1のやり取りならメールでもできるが、複数人のチームで連絡を交わすのは非効率といえる。チームで仕事をする機会が多い職場なら、チャットツールを導入することで、テレワーク以外でも生産性が向上する可能性も高い。

チャットツールは、リアルタイムでコミュニケーションをとりやすいメリットもある。代表的なチャットツールは、タスク管理機能まで備わっているChatwork(チャットワーク)やLINEのビジネス版であるLINE WORKS(ラインワークス)などだ。

ツール2.テレビ会議システム

社員のモチベーション維持や育成に検討したいのが、テレビ会議ツールだ。テレビ会議ツールを活用すれば、オンライン飲み会などのイベントも企画できる。代表的なテレビ会議ツールは、URLのクリックで会議に参加できるZoom(ズーム)や無料でビデオ通話できるSkype(スカイプ)などだ。

ツール3.勤怠管理システム

テレワークの導入で最初の壁となるのは勤怠管理だろう。現在は、Webで勤怠管理できるソフトも登場している。ただし、無料だと利用人数が制限されることもあり、必要に応じて有料版も検討しなければならない。

無料の勤怠管理システムには、手のひら静脈認証に対応したUBIXS(ユビキス)、時間外労働時間まで監視するスマレジ・タイムカードなどがある。

テレワークの導入に各社が前向きな姿勢

東京都は2020年6月30日を基準日として「テレワーク導入実態調査」を実施した。調査対象は都内企業、調査数は10,000社であり、2,034社から回答が得られた。

テレワークを「導入している」と回答した企業は全体の57.8%に及ぶ。「今後予定あり」と回答した企業を含めると、74.2%がテレワークの導入に前向きということになる。

時代は常に変化していく。企業は新しい価値観を取り込み、さらに発展する道を目指さなければならない。リスクを恐れて慎重になるのは自然な心理だが、変化を拒否するのも得策ではない。

コロナ禍で注目されたテレワークという働き方を自社に適した形で受け入れることが大切だ。

※参考
テレワーク導入実態調査 2020年(東京都)

文・木崎涼(ファイナンシャルプランナー、M&Aシニアエキスパート)

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