(本記事は、アイザック・H・ジョーンズ氏・石川勇太氏の著書『THE EAT 人生が劇的に変わる驚異の食事術』=扶桑社、2020年8月2日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
日本の「アブラ」環境は危機的状況にある
石川 1977年に発表された「マクガバン・レポート」という500ページに及ぶ報告書があります。これは被験者3000人近くの食生活を2年間追跡調査したもので、この報告書の中で「元禄時代の日本食」が称賛されていたことがきっかけとなり、「日本食=健康的」というイメージができあがりました。このため日本食はヘルシーだという外国人が少なくありません。
しかし、どうもこのところ、こうした状況に変化が生じています。例えば日本では心臓病やがんで亡くなる人が増加しています。今や日本人の2人に1人ががんになるというのは、よく知られています。また年間死亡者の3人に1人はがんで亡くなっています。
ジョーンズ 私はこの原因のひとつに、日本人が悪いアブラを摂取し続けていることがあると考えています。そもそもアブラが健康に良くないという間違った先入観を持っているのはアメリカも日本も同様だと思います。しかし、先に説明したとおり、アメリカではアブラでも「悪いアブラ」を摂取しないよう、特にトランス脂肪酸を禁止しています。
石川 しかし日本ではまだ「良いアブラ」と「悪いアブラ」の区別が明確にされておらず、さまざまなアブラを摂取している状態です。そのため、アブラについての知識が少なく、良いアブラを摂取せず、悪いアブラの影響を受け続けることになっています。これが日本人のがん死亡率が上昇している原因のひとつになっていると考えられます。
ジョーンズ アメリカで最も権威あるがんセンターのひとつ、テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターが衝撃のレポートを発表しました。このレポートには次のような内容が記されています。
「生活習慣を変えることで、がん遺伝子を発現させないことができる、遺伝子はほとんどの病気の原因とはならない。環境、つまりライフスタイルが90~95%の慢性病の原因である」このように、病気の原因の90%以上を自分自身がつくり出しているということ。逆にいえば90%以上はコントロールが可能だということを示しています。
石川 これまで、がんは遺伝子的な要素が大きいとされてきました。しかし最近の研究では、たとえがんになる遺伝子があったとしても、必ずしもがんになるわけではないということがわかっていますね。
ジョーンズ 劣悪な環境にさらされ続けることで、がんになる遺伝子が働き、がんを発症するということ。つまり、遺伝子が悪いのではなく環境が悪いためにがんを発症しているのです。逆に良い環境にあれば、がんの遺伝子は働かず、発症しにくいということです。
では体内の良い環境とは何なのでしょう。これはすなわち、細胞が良好な環境にあるかどうかということです。そして最も大切な要素が細胞膜です。すでに細胞膜はアブラでできている、という話をしましたよね。ですから、日々の食事で良いアブラを摂ることが大切なのです。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます