WORDS by EXECUTIVE
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「実現には多様なパートナーやテクノロジーが必要です」——。トヨタの自動運転関連ソフトウェアの開発を担うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)のジェームス・カフナーCEO(最高経営責任者)はこう強調した。

この発言は、運用総額8億ドルのグローバル投資ファンドの設立に関する発表に合わせて述べたものだ。来年トヨタが着工するWoven Cityプロジェクトの成功などに向け、さまざまな企業・技術に投資をしていくことに意欲を示した形だ。

連載「経営トップ、発言の真意——WORDS by EXECUTIVE」、今回はTRI-ADのジェームス・カフナーCEOの発言を取り上げ、Woven Cityプロジェクトの概要などに迫っていこう。

TRI-ADとはどんな企業?

現在、トヨタを含む日本そして世界の自動車メーカーやIT企業などが、自動運転技術を競うように開発している。

AI(人工知能)が運転操作を担う自動運転技術が進化すれば、人が運転するよりもはるかに交通事故が減ると考えられており、いずれは全てのクルマが自動運転化されるといわれている。つまり、自動運転は次なる有望市場であるとも言え、多くの企業がこの領域に参入しているのだ。

そんな自動運転技術の関連ソフトウェアを開発しているのがTRI-ADで、自動運転向け地図の作製などに関する取り組みで存在感を高めてきた。2021年にはウーブン・プラネット・ホールディングスを持株会社とした3社体制に移行し、事業をさらに加速することを発表している。

Woven CapitalとWoven City

そんなTRI-ADが9月10日、グローバル投資ファンド「Woven Capital, L.P.」(ウーブン・キャピタル)の設立を発表した。ウーブン・プラネット・ホールディングス全体の新事業開発力を強化することが目的だという。

TRI-ADのジェームス・カフナーCEOは「Woven Cityなどのプロジェクトにおいて、私たちは挑戦的な目標を自ら掲げていますが、この実現には多様なパートナーやテクノロジーが必要です」とした上で、「今後はウーブン・キャピタルによる投資活動を通じて、グローバルなパートナーと共にさまざまなテクノロジーを織り込み、お客様、ステークホルダー、そして社会に長期的な価値をお届けすることが可能となります」と述べている。

カフナーCEOが言及した「Woven City(ウーブン・シティ)」とは、トヨタグループが2021年に静岡県内で着工するコネクティッドシティのことで、自動運転などの先端技術を試す壮大な街作りをしようという試みだ。カフナーCEOはこのWoven Cityの実現には、トヨタだけではなくさまざまな企業からの協力を得ることが不可欠だと考えているわけだ。

Woven Cityが先進技術の実験場に

Woven Cityについては、まだ断片的な計画しか発表されていないが、自動運転技術やAI技術、次世代通信規格「5G」、IoTなどの先進技術の実験場になることは確かだ。

Woven Cityには実際にトヨタの従業員など2,000人程度が住む予定で、人々の暮らしの中で先進技術を試すことで、実用化に向けた研究開発も加速していくだろう。そんなWoven Cityの成功などに向けて、運用総額8億ドルの巨大ファンドが動き出すわけだ。

トヨタ自動車はクルマを作る会社から「モビリティカンパニー」への変革を掲げている。クルマ関連の周辺サービスも含めて広く手掛けていくという意思の表れで、その方向性を具現化するための鍵となるのがWoven Cityプロジェクトであると言える。恐らく、自動運転タクシーサービスや最近話題のMaaSなども実験的に導入していくはずだ。

トヨタの豊田章男社長、そしてTRI-ADのカフナーCEOの発言に、今後も注目していきたいところだ。

経営トップ、発言の真意
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