WORDS by EXECUTIVE
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「もしマスクの着用や我々のルールに応じない場合、警察を呼ぶことになるかもしれない」——。新型コロナウイルス対策で、マクドナルド(McDonald's)のクリス・ケンプチンスキーCEO(最高経営責任者)が米テレビ局のインタビューにおいて、このように語っている。

ファストフード世界大手のマクドナルドの姿勢はほかの飲食チェーンへ影響を与える可能性が高い。同社の対応はコロナ対策の「ひな形」としてセオリー化するのだろうか。

連載「経営トップ、発言の真意——WORDS by EXECUTIVE」、今回はマクドナルドのクリス・ケンプチンスキーCEOの発言に焦点を当て、同社のコロナ対策やほかのチェーン店に与える影響などについて解説していく。

「マスクの着用をお願いするのが賢明だと判断した」

ケンプチンスキーCEOは米テレビ局CBSのインタビューにおいて「我々はクルー(従業員)とカスタマー(客)の安全の確保に向け、多くの時間を費やしてきた」とした上で、「カスタマーにもクルーと同様にマスクの着用をお願いするのが賢明だと判断した」と述べている。

マクドナルドはこのインタビューが行われる前の7月下旬に、アメリカの店舗において、全クルーのマスク着用に加え、客にもマスク着用を求めることを発表している。ただ客へマスク着用を求めることに関しては、いくつか工夫がしてある。

まずマクドナルドの各店舗でマスクを常備しておき、マスクを持って(もしくはつけて)来店しなかった客に対しては無料でマスクを提供する。その無料のマスクの着用も客が拒否した場合には、一般客とは離れた「別なスペース」に誘導するとしている。

冒頭紹介したケンプチンスキーCEOの「警察を呼ぶ」発言は、無料で提供されるマスクの着用を拒否した上で、別なスペースへの誘導にも応じなかった客を想定していると考えられる。

アメリカ国内では「個人の自由」論も…反対集会や銃撃事件

マスクの着用に関しては、さまざまな意見や考え方を持つ人がいるのは事実だ。正しいか正しくないかは別として、マスクをして人と会うのが失礼だと考える人もいれば、マスクは予防に無意味だと考えている人もいる。アメリカ国内では「個人の自由」論も根強い。

ただ、マクドナルド側はクルーと客への感染防止対策としてマスク着用は必要不可欠だと判断し、ケンプチンスキーCEOが場合によっては警察を呼ぶという方針を示した格好となっている。

警察を呼ぶかどうかは別として、客のマスク着用を義務化する動きがアメリカ国内で広がっている。小売大手のウォルマートやコーヒーチェーン大手のスターバックス、家電量販店大手のベストバイなどでもすでにマスク着用の義務化が始まっている。

大手が義務化に乗り出したことで、中小店舗などでも同様の取り組みがより広がっていくと考えられているが、アメリカ国内では反発も少なくない。すでに反対集会が行われているほか、銃撃事件も発生している。

「警察へ通報する」という対応は広がっていくのか

日本においては、今やほとんどの飲食店や小売店が貼り紙などでマスクの着用を客に呼び掛けている。中には「マスクの着用をしていない場合は入店お断り」といった趣旨の貼り紙をしている店舗もある。法的強制力はないが、実質的なマスク着用の義務化であると言える。

マスク着用をめぐるトラブルは日本でも一定程度発生している。腹を立てた客が店員を殴るといった事件も起きた。

ただマスク着用義務化は今や世界的な流れと言え、今後加速することが考えられる。イギリスではすでに店内でのマスク着用が義務化されており、違反者には罰金100ポンド(約1万4,000円)が科される。

マクドナルドほどの巨大企業は、もはや世界の「オピニオンリーダー」的な存在とも言える。マスク着用の義務化だけではなく、ケンプチンスキーCEOが語った警察へ通報するという対応も、レストランチェーンなどの間で今後広がっていくのだろうか。

経営トップ、発言の真意
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