成長企業のための「多角化経営」のすすめ
(画像=Hit1912/Shutterstock, THE OWNER編集部)

バブル崩壊から今に至るまで、日本企業は「選択と集中」と「持たざる経営」を進めてきた。だが新たな事業創造ができず、成長軌道に乗れずにいる。

そこで、M&Aアドバイザリー企業の代表取締役(匿名希望)に、成長を目指す日本企業が目指すべき道について4回に渡って寄稿してもらった。

3回目は、コングロマリット化するためにどのようなM&A戦略を採るべきなのかについてだ。

境界統合型という新しいM&Aの形

特集の第1回、第2回まで、日本企業が成長するためには、事業や企業を取り込むプリンシパル戦略を進め、コングロマリットを形成すべきだと述べてきた。そこで今回は、その手法としてどのようなM&A戦略を進めればいいのか考えてみたい。

日本においてM&Aは着実に増加している。80年代後半のM&A件数は、年間500件程度だったが、2017年には3000件を超えた。M&A成約金額ベースで見ても、80年代後半の年間数千億円から2017年には年間20兆円を上回る水準へと上昇している。

M&Aのタイプは一般的に、①水平統合(同業買収によるシェアの拡大)、②新規ビジネスへの参入、③垂直統合(バリューチェーンの川上・川下の買収)の三つとされている。