矢野経済研究所
(画像=琢也 栂/stock.adobe.com)

世界新車販売台数の回復時期(予想)は2022年が45.4%を占める

~新車販売台数の回復時期は中国が最速で2021年、他の地域は2022年と2023年で予想が分かれる~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、2020年8月~9月において「アフターコロナの自動車産業」に関する法人アンケート調査を自動車メーカー、自動車関連部品メーカーを中心に実施した。ここでは、世界の主要国・地域別新車販売台数への影響や回復時期(予想)、CASEにおける注目技術の分析結果についてその一部を公表する。

2021年の新車販売台数予想(主要国・地域別)

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

新車販売台数の回復時期(主要国・地域別)

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

新型コロナウイルス(COVID-19)禍における新車販売台数への影響(各国・地域別に単数回答)について、世界全体における2020年は「とても減少」45.4%、「やや減少」51.2%になり、回答者の96.6%がマイナス成長を予想している結果であった。2021年は「とても減少」が36.1ポイント下がり9.3%、「やや減少」が2.9ポイント下がり48.3%になり、「やや増加」は20.5%に上昇している。

主要国・地域別にみてみると、中国の需要回復の影響が大きく、2021年の同市場において「やや増加」と回答した比率は42.9%となり、「とても減少」「やや減少」を合わせた25.9%を上回る。引き続き2021年も厳しい市場環境が続くと予想されているのが南米、西欧、中東欧・ロシア、日本であり、「とても減少」「やや減少」の回答比率の合計は60%近くを占めている。

2.注目トピック

CASEにおける注目技術

新型コロナウイルスによって変化の起きる自動車産業分野(複数回答)についてCASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)と回答した層に対し、CASEにおける注目技術(複数回答)について聞いたところ、その上位3つは、第5世代移動通信(5G)、センサー(レーダ/カメラ/LiDAR/超音波)、OTA(Over The Air;車載ソフトウェアの遠隔更新サービス)という結果であった。

5GはC-V2X(セルラーV2X)※として車両の位置情報、各種データ更新、走行情報の共有化、インフォテイメント(車載ディスプレイ機器など)での利用が期待されており、2026年以降の本格実用化に向けて実証実験が各国で進んでいる。特に中国はスマートシティとADAS/自動運転、C-V2X(セルラーV2X)の普及拡大を国家政策で推進しており、5Gの自動車への利用は日米欧よりも早く始まると予想される。センサー、OTAはADAS/自動運転の重要技術であり、センサーの性能向上とコストダウン、OTAによる車載ソフトウエア更新が求められている。OTAによる車載ソフトウエア更新は技術的ハードルが高く、通信セキュリティ、インフラ整備なども必要であるために、車両への搭載が本格的に進むのは2025年以降になると考える。

※C-V2X(セルラーV2X)とは、主に第5世代移動通信(5G)を使った車車間、路車間通信、歩車間通信をさす。

3.将来展望

新車販売台数の回復時期(予想)について、世界全体では「2022年」が45.4%を占めており、「2021年」は23.9%、「2023年」は19.0%である。主要国・地域別にみると、中国の回復時期が最も早く「2020年後半」が32.7%、「2021年」は38.0%である。米国についても「2021年」が31.7%を占めており、本調査結果から、2021年以降は米中が新車販売台数をけん引することが示唆される。

一方で、新型コロナウイルスで経済が停滞しているASEAN(東南アジア諸国連合)やインド、感染拡大が収まらない西欧、南米については「2022年」とする回答が40%前後を占める。日本についても「2022年」が41.0%、「2021年」は25.9%という結果であった。

調査要綱

1.調査期間: 2020年7月~10月(このうち法人アンケート調査時期:8月~9月)
2.調査対象: 自動車メーカー、自動車関連部品メーカー、IT/通信/ソフトウェア/サービス企業等に所属する20代~70代以上の205名
3.調査方法: インターネットアンケート調査
<アフターコロナの自動車産業に関する法人アンケート調査とは>
本調査では「アフターコロナの自動車産業」について、2020年8月から9月にかけて主に自動車メーカー、自動車関連部品メーカー等に所属する20代~70代以上の205名に対して法人アンケート調査を実施し、新型コロナウイルス(COVID-19)禍における世界の主要国・地域別新車販売台数への影響や回復時期(予想)、CASE(Connected、Autonomous、Shared & Service、Electric)の研究開発への影響、これから注目される技術、サプライチェーンへの影響などについて分析した。なお、ここでは世界の主要国・地域別新車販売台数への影響や回復時期(予想)、CASEの研究開発への影響についてその一部を公表する。
<市場に含まれる商品・サービス>
新型コロナウイルスの各国新車販売台数への影響と回復時期、これから注目される技術

出典資料について

資料名アフターコロナの自動車産業についてのアンケート調査と市場展望
発刊日2020年10月30日
体裁A4 112ページ
定価130,000円(税別)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2020 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。