自社株,相続税,事業承継税制
(写真=PIXTA)

自社株の相続は、事業承継の手段として広く利用されている。しかし相続対策を万全にしなければ、後継者に十分な資産を残すことができないため要注意だ。正しい方法で対策をするために相続の概要や評価方法、重要な税制などをしっかりと理解していこう。

自社株の相続とは?

自社株の相続とは、特定の人物に自社株式を相続することだ。自社株を相続することで経営権をほかの人物に移せるため、相続は事業承継の手段としても活用されている。一般的に相続による事業承継は遺言をする形で行われるが、遺言にも以下の3つの方法がある点を押さえておきたい。

1公正証書遺言

公証人役場で遺言書を作成する方法。2人以上の証人を立てる形で公証人が遺言書の記載を行い、その遺言書は公正証書として保管される。作成に手間や費用が発生するものの、紛失や形式不備になる恐れがないため、確実に遺言書を残しておきたい場合に効果的だ。

メリット デメリット
・裁判所の検認を必要としない
・紛失や形式不備のリスクがない
・手間や費用がかかる
・2人以上の証人が必要になる
・証人に遺言書の内容を知られてしまう

2自筆証書遺言

自筆で遺言書を作成する方法。本人の署名や押印、日付、訂正印など効力を持たせるためのルールがいくつか存在する。執行時には裁判所の検認が必要となるが、作成時の費用や手間を抑えやすい。

メリット デメリット
・手軽に作成できる
・内容の変更も難しくない
・証人が不要であり、他者に内容を知られることがない
・裁判所の検認が必要になる
・紛失や形式不備のリスクがある
・遺言書の内容によっては、筆跡鑑定が必要になるケースも

3秘密証書遺言

署名・押印した遺言書を自筆で作成し、公証人役場に持ち込む方法。遺言者に加えて、2人以上の証人の署名・押印が必要になる。原本は遺言者が管理するものの、作成した事実は公証人役場に記録されるため、遺言の存在を明確にできる。

メリット デメリット
・手軽に作成できる
・他者に内容を知られることがない
・自筆証書遺言に比べると、確実性が高い
・裁判所の検認が必要になる
・2人以上の証人が必要になる
・手続きに手間がかかる
・紛失や形式不備のリスクは防げない

上記の通り、遺言は形式によって確実性が変わってくる。特に重要な内容を残したい場合には、公正証書遺言を選ぶことが望ましいだろう。

相続による事業承継のメリット・デメリット