雇用保険,加入,メリット,デメリット
(写真=Andrey_Popov/Shutterstock.com)

事業主として初めて従業員を雇うとき、雇用形態や業務内容を決めて、採用が決まったら労働条件を提示して契約書を取り交わすなど、やることはたくさんある。  

その中でも重要なのが従業員を社会保険へ加入させる手続きだ。だが、そもそも従業員を社会保険に加入させる必要があるのだろうか。社会保険の中でも雇用保険の基礎知識はしっかり抑えておきたい。

目次

  1. 雇用保険はどんな制度?
    1. 1.雇用安定事業
    2. 2.能力開発事業
  2. 雇用保険の加入義務、条件は?
  3. 雇用保険の給付の内容は?
    1. 基本手当
    2. 就職促進給付
    3. 教育訓練給付
    4. 雇用継続給付
  4. 経営者にとっての雇用保険のメリットは?
    1. 1.会社の信頼性をアピールできる
    2. 2.助成金が給付される
  5. 雇用保険の手続きはどうする?パターン別に解説
    1. 従業員を雇った場合の手続き
    2. 給付金を従業員が受け取る場合の手続き
    3. 従業員の離職時の手続き
  6. 雇用保険の保険料はいくら?
  7. 雇用保険の注意点
    1. 雇用保険受給中の従業員側の注意点
    2. 雇用保険受給条件の注意点
  8. 雇用保険に加入しなかった場合はどうなる?

雇用保険はどんな制度?

雇用保険は国が行う社会保険制度の1つで、政府が管掌する強制保険制度である。

一般的には、労働者が失業したときや育児休業をとったときなどに支給される「失業給付」のイメージが強いだろう。他にも、雇用保険制度には2つの事業がある。

1.雇用安定事業

1つ目は従業員が失業をした際に生活の安定と就職の促進のための給付や、教育訓練を受ける者のために給付する雇用安定事業だ。

雇用安定事業には事業主に対する助成金や、中高年齢者などの再就職しにくい求職者に対する再就職支援、若者や子育てしている女性に対する就労支援がある。

助成金には若年者や中高年の試行雇用を促進する「試行雇用奨励金」や、高齢者や障害者を雇用する事業主を支援するための「特定求職者雇用開発助成金」、創業や雇用を増やす事業主を支援する「自立就業支援助成金」や「地域雇用開発助成金」などがある。

2.能力開発事業

2つ目は失業の予防や雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上その他労働者の福祉の増進などをはかるための能力開発事業だ。

これらの財源は、上記の問題の解決が経営者や企業に利益をもたらすであろうということで、経営者や企業からの保険金のみで運営されている。

雇用保険の加入義務、条件は?

雇用保険への加入義務は、1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用見込みがある従業員を雇った場合に発生する。2017年1月1日以降は65歳以上の従業員も雇用保険の適用対象となっている。

企業自体の規模や業種は無関係で、雇用形態がパートやアルバイトであれ、事業主は従業員を雇用保険へ加入させる義務がある。

ただし個人経営の農林水産業の一部は任意適用で、季節的に一定の期間のみ雇用される場合や、労働期間が4ヵ月を超える期間を定めて雇用していない場合は被保険者とならないこともある。

そのほか会社の取締役や役員は雇用保険の適用対象外となる。取締役や役員は「労働者」ではなく「使用者」であるとの概念からだ。ただし役員と同時に部長、工場長など労働者的性格が強く、雇用関係が存在すると認められると雇用保険の適用対象となる。

事業主と同居する親族も、原則として雇用保険に加入することができない。ただし、次の3つの要件を満たしている場合は雇用保険の適用対象となる。

・事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
・事務所内における他の労働者と同様に賃金が支払われていること
・取締役などの事業主と同等の地位にないこと

したがって一般的な採用活動をして長期に渡って雇用する場合には、どれだけ小さな会社であったとしても、または会社ではなく個人事業主であったとしても雇用保険への加入義務が発生するのだ。

自営業,個人事業主,雇用保険
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雇用保険の給付の内容は?

従業員に対する雇用保険の給付の種類には以下のようなものがある。

基本手当

基本手当日額の上限については、年齢ごとに以下のように規定されている(2020年8月1日時点)。原則として日額の上限を超えた金額が支給されることはない。

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なお、退職理由によって基本手当が受給できる期間や給付される金額が変わってくる。

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基本手当は過去2年間に通算12ヵ月以上雇用保険に加入している従業員が離職しても、失業中の生活を心配しないように再就職活動ができるように給付されるもの。

離職理由が倒産や解雇などであり、再就職の準備の余裕なく離職した、特定受給資格者や特定理由離職者は、過去1年間に通算6ヵ月以上雇用保険に加入していれば給付の対象となる。

どちらの場合も給付額は離職日の直前6ヵ月間の給与を元に算出される。

基本手当が給付されるまでの待期期間は7日間だが、自己都合での退職の場合はさらに最大3ヵ月の給付制限がある。

給付される日数である所定給付日数は離職の理由によって異なるが、基本手当が給付される受給期間は、90日から最大で330日(障害者など就職困難者は最大360日)。

病気やケガ、妊娠、出産、育児、親族の介護などの理由によって引き続き30日以上働くことができなくい場合は受給期間を最大3年間延長できる。

就職促進給付

就職促進給付には「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」、そのほか移転費などがある。

・再就職手当
再就職手当は基本手当の所定給付日数の3分の1以上を残して、安定した職業に再就職した場合に給付される。安定した職業とは、新たに就職した先で雇用保険の被保険者となる場合や、自ら事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合をいう。

・就業促進定着手当
就業促進定着手当は再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6ヵ月以上雇用されたものの、離職前より賃金(1日分の額)が低下している場合に給付される。

・就業手当
就業手当は基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して、再就職手当の支給対象とならない常用雇用以外の形態で就業した場合に給付される。

・移転費
移転費はハローワークなどが紹介した職に就くためや、公共職業訓練を受けるために転居が必要な場合に給付される。

教育訓練給付

教育訓練給付は、雇用保険に3年以上加入している人が給付の対象者となる。なお、初めて支給を受けようとする場合は、当分の間、雇用保険の加入要件が1年以上あれば給付の対象となる。

厚生労働大臣が指定した能力開発やキャリア形成のための教育を受けて申請した場合、費用の一部が給付の対象となる。

雇用継続給付

雇用継続給付には「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」がある。

1. 高年齢雇用継続給付
高年齢雇用継続給付には「高年齢雇用継続基本給付」と「高年齢再就職給付」の2つがある。

「高年齢雇用継続基本給付」は、60歳以降に基本手当や再就職手当などの給付を受けることなく継続して働いているものの賃金が、60歳時点と比べて75%未満となった場合に給付される。

「高年齢再就職給付」は、基本手当を受給し60歳以後に再就職したものの、賃金が60歳時点と比べて75%未満となった場合に給付される。

給付の要件は「高年齢雇用継続基本給付」も「高年齢再就職給付」も、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の人が雇用保険に加入して働いていることとなっている。

2. 育児休業給付
「育児休業給付」は、雇用保険の被保険者が1歳または1歳2ヵ月未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に給付される。

なお、保育園に入園できないなどの支給対象期間の延長対象となる場合は、1歳6ヵ月または2歳未満の子を養育する育児休業期間も対象となっている。

給付の要件は原則として休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12ヵ月以上あること。

3. 介護休業給付
「介護休業給付」は、家族を介護するための休業をした雇用保険の被保険者に給付される。給付の要件は、原則として介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あること。

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経営者にとっての雇用保険のメリットは?

雇用保険には以上のような給付のほかにも、従業員に対する多くの給付がある。雇用保険に加入すると従業員にばかりメリットがありそうだが、実はそうではない。

1.会社の信頼性をアピールできる

職を探す人にとっては、就職先に安心して働ける環境が整っているのかを確認する目安の1つとして、雇用保険などの社会保険に加入しているのかは重要だろう。

雇用保険への加入は会社の信頼性をアピールする1つの指標であり、採用面でもプラス要素となり得る。また雇用保険に加入することで、事業主が助成金を受け取れる場合もある。

2.助成金が給付される

・「雇用調整助成金」

例えば、「雇用調整助成金」は景気の変動や産業構造の変化、そのほかの経済上の理由により事業活動の縮小をしなくてはならなくなった場合、従業員を解雇するのではなく、休業や教育訓練または出向などの一時的な雇用調整をすることによって従業員の雇用を維持すると、雇用保険を適用している事業主に給付される。

・「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」

また、雇用を維持することが難しく、事業規模の縮小などにより解雇した場合でも、その従業員などに対して再就職支援をハローワークに委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設に委託したりした事業主には「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」が給付される。

・「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」

一方、「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」は再就職援助計画などの対象者を離職後3ヵ月以内に期間の定めなく雇い入れ、対象者を一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れた場合に給付される。

・「トライアル雇用助成金」

また就職を希望する未経験者などを試行的に雇い入れた場合には「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」、障害者を試行的、段階的に雇い入れた場合には「トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)」が給付されるなど、試行的な雇入れに対する助成金も用意されている。

・「その他の助成金」

そのほかにも中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで、中途採用者を拡大した場合に給付される「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」や、中高年齢者(40歳以上)の方が起業して中高年齢者などを雇い入れた場合に給付される「中途採用等支援助成金(生涯現役企業支援コース)」、60~64歳の高年齢者や障害者、シングルマザーなどの就職困難者を雇い入れた場合に給付される「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」、東日本大震災による被災離職者や被災地求職者を雇い入れた場合に給付される「特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発コース)」など、数多くの助成金がある。

雇用保険への加入は従業員だけでなく事業主にもメリットがあるのだ。

雇用保険の手続きはどうする?パターン別に解説

雇用保険へ加入するためには「労働保険保険関係成立届」を、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出する必要がある。都道府県および市町村、農林水産、建設、港湾労働法の適用される港湾での港湾運送に該当する事業についてはハローワークに提出する。

従業員を雇った場合の手続き

初めて雇用保険の適用対象となる従業員を雇うこととなった場合は、前述の「労働保険保険関係成立届」を提出して、保険関係成立に関する手続を済ませた後、事業所を管轄するハローワークに届出書を提出する。

提出する届出書は「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」だが、受理印を押された「労働保険保険関係成立届」の事業主控と確認書類などを添えて、「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」となる。

その後、新たに雇用保険の対象となる従業員を雇った場合は、そのたびに事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する必要がある。

「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すると、ハローワークから「雇用保険被保険者証」が交付される。この「雇用保険被保険者証」は雇用保険に加入した従業員本人に渡す。

雇用保険の対象となる従業員を雇った場合の手続きは、従業員が被保険者となった日の属する月の翌月10日以内に行う必要がある。

なお、個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の場合は、雇用保険の適用は任意だが、労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、加入の希望をしていない労働者を含み加入要件を満たす労働者全員分の加入の申請が必要となる。

給付金を従業員が受け取る場合の手続き

「高年齢雇用継続給付」や「育児休業給付金」「介護休業給付金」などを従業員が受ける場合には、それぞれの申請書を事業所を管轄するハローワークに提出する必要がある。

従業員の離職時の手続き

雇用保険に加入していた従業員が離職した場合、雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書(離職票)」を事業所を管轄するハローワークに提出する必要がある。

なお、離職証明書の離職理由について事業主と離職者との間で主張が異なる場合などは、ハローワークにおいて事実関係を調査する。

それぞれの手続きには確認書類が必要で、確認書類には賃金台帳、労働者名簿、タイムカードなどの出勤簿なども含まれるので普段からきちんと管理しておきたい。

また、ほとんどの届出書は労働基準監督署またはハローワークのサイトよりダウンロードできるが、複写式となっている「労働保険保険関係成立届」などは労働基準監督署で、「雇用保険被保険者離職証明書」、「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」などはハローワークで直接受け取る必要がある。

雇用保険の保険料はいくら?

雇用保険の保険料は「労働者災害補償保険(労災保険)」と併せて労働保険料として納付する。労働保険料は、4月1日から3月31日までの年度単位となっており、年度始めに概算で申告と納付をし、翌年度の初めに精算する。

そのため事業主は前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を算出して概算保険申告書と納付書を作成し、銀行や信用金庫などで納付する必要があるが、延納(分割払い)も可能だ。

初回の労働保険料は従業員の雇い入れが成立した日から該当年の末日までに労働者に支払う見込みの賃金総額に合わせて、確定概算保険料が決定される。更新の時期には厚生労働省から「概算保険料申告書」が郵送されてくる。

保険料の算出は、従業員に支払う賃金の総額に保険料率を乗じる。雇用保険の保険料率は事業の種類ごとに一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業の3種類ある。

2021年度の雇用保険料率は、一般の事業が0.9%、農林水産・清酒製造の事業が1.1%、建設の事業が1.2%だ。そのうち雇用保険の被保険者である従業員が負担する割合は一般の事業が0.3%、農林水産・清酒製造の事業が0.4%、建設の事業が0.4%となる。

事業主が負担する割合は、一般の事業が0.6%、農林水産・清酒製造の事業が0.7%、建設の事業が0.8%となる。

雇用保険料は事業主が被保険者である従業員の給与から天引きする形で被保険者負担分を預かり、事業主負担分と合わせて納付する。

なお、事業主が負担する保険料の方が被保険者の負担する保険料より多くなっているが、それは事業主の負担分には従業員のための失業等給付の保険料率と雇用保険二事業(※)の保険料率の2つが含まれているからだ。被保険者である従業員が負担するのは従業員のための失業など給付の保険料率だけだ。

(※)雇用保険二事業とは、失業の予防や雇用機会の拡大などの雇用安定事業と労働者の能力開発などのための能力開発事業の2つをいう。

雇用保険の注意点

雇用保険受給中の従業員側の注意点

・アルバイトをしてもいいのか

雇用保険を受給していても、所定の申告を行えばアルバイトはできる。ただし、以下のいずれかに該当すると、アルバイト自体が雇用保険の対象となるため受給はできなくなる。

・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上となる場合
・31日以上の雇用が見込まれる場合

基本手当の受給を受け続けたい場合は、アルバイトで雇用保険に加入する条件を満たさないような範囲で働くことが必要である。

・健康保険や年金の支払いはどうなるのか

(1)健康保険の手続き

失業した場合、健康保険については以下のいずれかの選択肢がある。

  1. 任意継続保険に加入する
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 健康保険に加入している家族の扶養に入る

任意継続保険とは、前職の会社で加入していた健康保険組合の保険を、退職後も利用し続けることである。ただし、離職前であれば保険料は会社と折半するが、退職後は全額自己負担となるため負担額が増える。離職した日から20日以内に手続きが必要で、加入期間は最長2年である。

国民健康保険は、市町村が運営している健康保険である。前職の会社で加入していた健康保険を退職により脱退し、改めて国民健康保険に加入する手続きを取らなければならない。保険料は自治体によって違うので、加入の際に確かめておこう。任意継続保険と国民健康保険との保険料を比べて、支払額が安い方を選ぶのが一般的である。

(2)公的年金の手続き

公的年金については、それまで加入していた厚生年金基金から国民年金へと移行する必要がある。失業した際の国民年金の支払いでは、「保険料免除制度」や「保険料納付猶予制度」などが利用できる。

保険料免除制度は、経済的に国民年金の保険料納付が困難と判断される場合に適用される。免除される額の種類は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」などがあり、納付金額を少なくすると将来受け取れる年金額が減額される。

また、保険料納付猶予制度を利用すると、支払いの猶予が認められた期間も国民年金に加入し続けることが認められる。ただし、加入が継続されるだけで、受け取れる年金額への加算はされない。年金額を増やしたいなら、後で追納することが必要である。

雇用保険受給条件の注意点

・海外勤務をしていた場合

国内企業に雇用されて外国に出張して勤務する場合、あるいは雇用元が国内企業で海外にある支社・支店・工場などに勤務する場合は、国内企業の事業主との雇用関係は維持されるので雇用保険は受給できる。

また、外国企業に出向した場合は出向先の企業と雇用契約を締結するが、その出向が雇用主である国内企業の業務命令であり、かつ国内企業との雇用関係が継続されている限りは、雇用保険受給条件を満たすことになる。

ただし、国内企業との雇用契約を終了させてから外国企業と雇用契約を結んだ場合は、被保険者資格は失う。

・休職理由が事業主と離職者で食い違った場合

自己都合退職か会社都合退職かで、事業主と離職者の見解が異なるケースもあり得る。その場合、まずはハローワーク側が離職証明書から離職理由を見て、その上で双方の主張を客観的に判定できる資料を収集して事実を確認する。最終的に、離職者の居住地を管轄しているハローワークが判定を行う。

・不正受給の場合は罰則を受ける

雇用保険の受給中に以下のような行為があった場合は、不正受給とみなされる。

・申告しないままアルバイト・パートとして働く
・自営を始める
・会社の役員や非常勤嘱託、顧問などに就任する
・就職日を偽る

不正受給に該当すれば、ただちに支給が停止され、不正行為により受け取った金額の返還が命じられ(返還命令)、不正に受けた金額の2倍の納付が命じられる(納付命令)。仮に返還や納付を拒否すれば、財産差し押さえなどの強制処分がなされ、詐欺罪として刑事告発されることもある。

雇用保険に加入しなかった場合はどうなる?

業員が雇用保険の加入対象者であるにもかかわらず、会社の怠慢や虚偽の報告によって雇用保険への加入手続きを行わなかった場合、事業主に対して6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性がある。

また、雇用保険の加入対象者である従業員が、事業主がきちんと手続きをして雇用保険の被保険者となっているのかはハローワークで照会できる。

雇用保険は従業員のためのさまざまな給付があるのはもちろんのこと、事業主にとってもメリットの大きい制度なだけに、従業員を雇い入れるときには加入の手続きを忘れないようにしたい。

文・国分さやか(CFP®)

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