インバウンドセールス
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インバウンドセールスは、アウトバウンドセールスと違い、顧客自らに自社の商品やサービスに興味を持ってもらって購買や商談成立につなげる営業手法だ。今回は、インバウンドセールスの意味やメリットはもちろん、インバウンドセールスを成功させるコツいついて解説する。

目次

  1. インバウンドセールスとは?
    1. インバウンドセールスの意味
    2. アウトバウンドセールスとの違い
  2. インバウンドセールスのメリット4つ
    1. 1.営業に費やす労力や時間を削減できる
    2. 2.営業パーソンのストレス軽減
    3. 3.購買意欲の高い見込み客を集めやすい
    4. 4.営業の質を平準化しやすい
  3. インバウンドセールスの流れ
    1. 手順1:購買意欲の高い顧客層を見極める
    2. 手順2:見込み客の購買意欲を高める
    3. 手順3:見込み客の抱える潜在的なニーズを見極める
    4. 手順4:潜在的なニーズを踏まえた提案を行う
  4. インバウンドセールスを成功させるコツ3つ
    1. 1.顧客のニーズを理解して徹底的に顧客に寄り添った対応を行う
    2. 2.見込み客からのアクションには素早く対応する
    3. 3.決裁者との関係強化を重視する
  5. アウトバウンドで行き詰っている企業はインバウンドセールスを試みよう

インバウンドセールスとは?

はじめに、インバウンドセールスの意味やアウトバウンドセールスとの違いを簡単に確認しておこう。

インバウンドセールスの意味

インバウンドセールスとは、自社から見込み客の購買意欲を高めるような情報を発信し、顧客自らに商品やサービスの購入を決めてもらうように促す営業手法のことだ。顧客が主体的に商品やサービスの購入意欲を引き出すことから「プル型営業」とも呼ばれる。

類似した用語に「インバウンドマーケティング」があり、「営業として行う」のがインバウンドセールス、「マーケティングの一環として行う」のがインバウンドマーケティングであり、顧客の購買意欲を誘引する点はほぼ同じだ。

アウトバウンドセールスとの違い

インバウンドセールスと対極にあるセールス手法が「アウトバウンドセールス」だ。アウトバウンドセールスとは、自社から見込み客に対して積極的に営業をかける手法である。商品やサービスを売り込んでいくことから「プッシュ型営業」とも呼ばれる。

アウトバウンドセールスとインバウンドセールスの違いは、顧客と自社の利益のどちらに重点を置くかにある。

アウトバウンドセールスは、自社の業績を伸ばすことを最優先にして営業を行う。目標とする業績から逆算してノルマを設定するため、購買意欲の薄い見込み客に対して強引に押し売りするケースも少なくない。インバウンドセールスは、顧客の利益を最優先にして営業を行う。顧客のもつ悩みの解決や役立つ情報の提供を優先することで、積極的に売り込まなくても購入につながる土台を作るのが特徴だ。

インバウンドセールスは、顧客に寄り添った営業手法であると心得ておこう。

インバウンドセールスのメリット4つ

インバウンドセールスを自社に導入することで、主に以下の4つのメリットが得られる。

1.営業に費やす労力や時間を削減できる

押し売りや飛び込み営業のようなアウトバウンドセールスは、購買意欲の低い相手にも営業をかけるため、一つの商談を成約するまでに多大な労力や時間を要する。一方でインバウンドセールスでは、自社の商品・サービスに関心をもつ相手にのみ営業をかけるため、アウトバンドセールスよりも少ない回数と高い確率で商談を成約させることが可能だ。

手当たり次第に電話営業を行ったり相手のニーズに合わない提案資料を作成したりする時間や労力を省けるため、営業の効率性が高まる。

2.営業パーソンのストレス軽減

アウトバウンドセールスでは、購買意欲の低い相手にも飛び込み営業や電話営業をかけるため、相手方から批判されたり厳しい声を浴びせられることもある。また、達成困難なノルマを背負わされることもあるため、たとえ非効率であっても営業をかけ続けざるを得なくなる。

アウトバウンドセールスでは、業績達成のプレッシャーと顧客との板挟み状態になるため、営業パーソンは大きなストレスを抱える可能性があるだろう。一方のインサイドセールスでは、購買意欲を高めるために、見込み客にとって役に立つ行動を優先的に行う。そのため、罵声や厳しい言葉をかけられるどころか、感謝されたり信頼性が向上する可能性が高い。

営業パーソンのストレスが大幅に軽減するため、仕事のモチベーションを保ちやすくなるだろう。

3.購買意欲の高い見込み客を集めやすい

インサイドセールスでは、自社のWebサイトやセミナーなどで、見込み客にとって役に立つ情報を提供する手法をとることが多い。興味を持った見込み客が自ら情報を集めに来るため、わざわざ積極的に売り込みや飛び込み営業を行わなくても購買意欲の高い見込み客を集めることが可能だ。

4.営業の質を平準化しやすい

アウトバウンドセールスでは、購買意欲の低い相手にも商品を売り込むため、成果は営業パーソンのスキルに左右されやすい。インバウンドセールスでは、購買意欲の高い見込み客にのみ営業をかけるため、個々人のスキルの差に左右されずに安定的な制約が期待できる。

また、メルマガの開封率やお問い合わせ頻度などのデータを分析して活用することで、より一層営業の質を平準化しやすくなる点もインバウンドセールスのメリットだ。

インバウンドセールスの流れ

インバウンドセールスは、以下のような流れで進めることが望ましい。

  1. 顧客の見極め
  2. 購買意欲の向上
  3. 潜在的ニーズの見極め
  4. ニーズを踏まえた提案

ここでは、インバウンドセールスの各プロセスで行うべきことやポイントを解説する。

手順1:購買意欲の高い顧客層を見極める

はじめに、自社の製品・サービスに興味や関心をもつ顧客層を見極める必要がある。例えば、既存顧客の趣味嗜好や年収などのデータを分析したり、直接インタビューして購買に至った理由を聞くなどの方法が有効だ。このプロセスでは、単純に購買意欲の高い見込み客を見極めるだけでなく、その見込み客のライフスタイルや趣味嗜好、悩みなどの情報を洗い出すことも重要である。

こうした顧客データを準備することで、インバウンドセールスを円滑に進めることが期待できるだろう。

手順2:見込み客の購買意欲を高める

次に顧客データ分析で特定した見込み客と接点を作り、購買意欲を高めるように働きかけていく。商品のメリットやデメリットはもちろん、見込み客にとって役立つ情報や悩みの解決につながる情報を提供するのが有効だ。具体的な手法としては、Webメディアでの情報発信やメルマガ配信などのオンライン施策、セミナーの開催やダイレクトメールの送付などのオフライン施策が用いられる。

インバウンドセールスで注意が必要なのが、接点を作るために最適なツールや情報提供の方法、タイミングなどが、見込み客によって異なる点だ。例えば、昼間に忙しい相手ならば、早朝や夕方以降のタイミングで情報提供を行うのが良いだろう。前もって洗い出した見込み客の情報をもとに、最も見込み客に寄り添った方法やタイミングでアクションをとることが、インバウンドセールス成功の鍵となる。

手順3:見込み客の抱える潜在的なニーズを見極める

インバウンドセールスの最終的な目標は、あくまで商談を成約させることである。そのため、見込み客の購買意欲を高める過程で信頼を得られたら、潜在的なニーズを見極めるプロセスに移行しなくてはいけない。潜在的なニーズを見極める方法としては、見込み客へのインタビューや電話・メールなどでの継続的なコミュニケーションが効果的だ。

このプロセスを経ることで、アウトバウンドセールスのような一辺倒な押し売りではなく、相手のニーズを踏まえた営業が可能となる。

手順4:潜在的なニーズを踏まえた提案を行う

見込み客の潜在的なニーズを自社の製品・サービスで満たせると判断したら、いよいよ契約成立を目的とした営業を行うプロセスだ。このプロセスを成功させるうえで重要なのは、潜在的なニーズを踏まえて営業の内容や提案資料を練ることである。単に商品のメリットやデメリットだけを伝えるのは、アウトバウンド型営業と変わらない。

インバウンド型営業で成約率を高めるには、相手のニーズを自社製品で満たせる旨をしっかりと伝えることが重要となる。ここでニーズに基づいた提案をできるかが、インバウンドセールスの成否を左右するため、入念な準備を心がけなくてはならない。

インバウンドセールスを成功させるコツ3つ

インバウンドセールスは、ただやみくもに行っただけでは成功しない。インバウンドセールスを成功させるには、以下の3つのコツを踏まえておく必要がある。

1.顧客のニーズを理解して徹底的に顧客に寄り添った対応を行う

インバウンドセールスを行う上で最も重要なのは、顧客に寄り添った対応をすることである。顧客に自ら商品やサービスを使いたいと思わせる以上、インバウンドセールスでは顧客ニーズの理解が不可欠だ。また、単に顧客のニーズを理解するだけでは不十分であり、ニーズを満たすような対応を継続する事を心がけなくてはならない。

そのためには、何気ないコミュニケーションにも注意を払い、「顧客が今は何を求めているのか」「顧客はどんな悩みを抱えているのか」などを適切にキャッチした上で行動することが重要である。

2.見込み客からのアクションには素早く対応する

インバウンドセールスを成功させたいならば、見込み客からの「お問い合わせ」や「資料請求」などのアクションには素早く対応することが不可欠だ。アメリカの「TRAFFIC INSTITUTE」の報告によると、見込み客の資料請求などのアクションから時間が経つほど、アポイントを取れる確率が低下するとされている。アポイントに限った事例ではあるが、インバウンドセールス全体に当てはまる話といえるだろう。

見込み客が自社製品やサービスに関心を示しても、自社が素早く対応しなければ購買意欲は下がってしまう。見込み客からアクションがあった際には、購買意欲が高いうちに素早く対応し、スムーズに商談の成約につなげるように注力しよう。

3.決裁者との関係強化を重視する

インバウンドセールスの目標は商談の成約であるため、商品やサービスの最終的な購入決定権を持つ「決裁者」との関係強化を重視する必要がある。

当初からアプローチしている相手が決裁者とは限らない。決裁権が無い担当者との関係性を強化しても、最終的には購買の意思決定は決裁者が行うことになるため、最悪の場合は契約に至らず、それまでの時間や労力が無駄になる可能性がある。

直接的に決済者との接点を作ることが困難な場合は、まずは現場の担当者から決裁者の情報やニーズをうまく聞き出すことに注力すべきである。その上で、決裁者の判断を仰ぐような関わり方をしたり、決済者に関心を持ってもらえるような提案を行えば、商談の成約率を高めることができるであろう。

アウトバウンドで行き詰っている企業はインバウンドセールスを試みよう

商品のコモディティ化や消費者の情報リテラシーが高まっている現代では、従来行われてきたアウトバウンドセールスは通用しにくくなっており、インバウンドセールスをうまく活用して、消費者側から自社に興味を持ってもらえるような営業活動が重要となる。

アウトバウンド型の営業で行き詰まっている企業は、ぜひこの機会にインバウンドセールスに取り組んでみてはいかがだろうか。

文・THE OWNER編集部

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