矢野経済研究所
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2020年度の太陽光発電所セカンダリー市場規模は970MWの見込

~稼働中の太陽光発電所の取得を検討する発電事業者や投資家などが増加、買い手側の需要を押し上げる要因へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の太陽光発電所セカンダリー市場を調査し、市場動向や主要プレイヤーの動向、将来展望について明らかにした。

太陽光発電所セカンダリー市場の市場規模推移・予測

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1.市場概況

2019年度に取引された稼働中の国内太陽光発電所を、発電出力ベースで730MWと推計した。
FIT(再生可能エネルギーの固定価格買取)制度において、事業用太陽光発電の新規認定案件における売電単価が年々下落していることから、稼働中の太陽光発電所の中で収益性に優れる物件の取得を検討する発電事業者や投資家などが増えている。一方で、太陽光発電所の所有者側では、発電事業の見直しや災害リスク、発電設備の維持・管理コストなどを理由に、発電所の売却先を探す例がある。
さらに、再生可能エネルギー分野を成長領域とみている事業者や投資家の中には、新設や稼働中を問わずに太陽光発電所の所有件数を増やす動きもみられ、買い手側の需要を押し上げる要因となっている。2020年上半期時点では、売却される予定の太陽光発電所に対して、買い手側の需要が上回っている状況と言え、取引価格は高止まりしている。そのため、太陽光発電所セカンダリー市場は、売り手市場の様相を呈している。

2.注目トピック

コロナ禍での太陽光発電事業や投資先の見直し

新型コロナウイルスの影響により主力事業の業容が低調な民間企業が、経営資源の集中や事業資金の確保などを理由に、太陽光発電所の売却を検討する例がある。今後も厳しい事業環境が続いた場合、このような動きが広がる可能性が考えられる。
一方で、安定した売電収入を見込める、稼働中の太陽光発電所を低リスクの資産とみなして、株式投資などに振り分けていた資金を太陽光発電投資に回す投資ファンドや個人投資家が存在する。そのため、ウィズコロナ時代においても太陽光発電所の買い手側の需要は大きく減少しない見込みである。

3.将来展望

太陽光発電所セカンダリー市場規模は、発電出力ベースで2020年度が970MWを見込み、2021年度には1,210MWになると予測する。今後も発電事業者やインフラ投資に注力する投資ファンド、株式以外への投資に関心を持つ個人投資家などで、稼働中の太陽光発電所を購入するニーズが継続的に発生する見通しである。
また、将来的に太陽光発電における地域活用要件の導入やFIP(Feed in Premium)制度の創設などにより、太陽光発電所の新規開発ハードルが上がった場合には、早期に再生可能エネルギー事業へ参入するために稼働中の太陽光発電所を取得することも一つの方法となりうると考える。

調査要綱

1.調査期間: 2020年4月~7月
2.調査対象: 太陽光発電所セカンダリー市場向けサービス(取引仲介、資産価値評価など)を展開している企業、発電事業者、O&M(Operation & Maintenance)サービス事業者、金融機関、地方公共団体など
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<太陽光発電所セカンダリー市場とは>
本調査における太陽光発電所セカンダリー市場とは、稼働開始後(稼働中)の太陽光発電所を取引(売買に加え、太陽光発電事業の譲受を含む)する市場を指す。
市場規模は、当該年度に取引された(される予定の)太陽光発電所の発電出力ベースで算出している。なお、市場規模には、稼働開始前の太陽光発電所(例:工事中など)の取引は含まれない。
<市場に含まれる商品・サービス>
稼働中の太陽光発電所の取引(太陽光発電事業の譲受を含む)

出典資料について

資料名2020年版 太陽光発電所設備運用・セカンダリー市場の現状と将来展望
発刊日2020年07月31日
体裁A4 334ページ
定価150,000円(税別)

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