矢野経済研究所
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2019年度の糖尿病市場規模(検査・診断機器市場および治療薬市場の合算値)は約6,524億円、治療薬市場の縮小に伴い2023年度以降縮小へ

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の糖尿病市場の調査を実施し、主に検査・診断機器や治療薬の現況、参入企業の動向、将来展望などを明らかにした。

糖尿病市場(検査・診断機器市場および治療薬市場の合算値)規模推移

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1.市場概況

本調査における糖尿病市場とは、主に検査・診断機器(血糖測定器・関連製品、尿糖測定器・関連製品)、治療薬(糖尿病治療薬、合併症治療薬)を対象とする。2019年度の糖尿病市場規模(検査・診断機器市場および治療薬市場の合算値)は6,524億4,000万円と推計した。

検査・診断機器市場は、血糖自己測定器(SMBG)の価格競争の激化などを背景に、近年横ばいから縮小傾向が続いている。DPP-4 阻害薬などの血糖降下薬の広がりにより、インスリン療法が選択されない場合や、インスリン療法からの離脱に成功するケースなどもみられるなど、血糖自己測定器の需要減少の一因となっている。国内の糖尿病患者は増加傾向にあるものの、これらの要因により検査・診断機器市場規模は今後縮小傾向で推移する。

治療薬市場は、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬、近年登場した配合剤が伸長したことで、拡大基調にある。とりわけ、日本ではあまり浸透していないSGLT2阻害薬分野の拡大がみられる。

2.注目トピック

保険点数の新設で注目を浴びる持続血糖測定器(CGM)、技術開発が一段落の血糖自己測定器(SMBG)、検査・診断機器市場は新たな競争局面へ

検査・診断機器市場における持続血糖測定器(CGM)、ならびに血糖自己測定器(SMBG)の動向が注目される。

2020年4月に自己血糖管理に関して診療報酬が新設され、持続血糖測定器(CGM)に新たな保険点数が設定された。日本での発売以来注目を集めていたCGMは、今後ますますその存在感を増していくものとみられる。

一方、血糖自己測定器(SMBG)の開発競争は成熟段階を迎えている。機能や技術面での開発は一段落し、見た目や使いやすさなどを訴求することで差別化を図るといった新たな競争局面に入っている。

3.将来展望

2020年度の糖尿病市場規模(検査・診断機器市場および治療薬市場の合算値)は6,687億2,000万円を予測する。

検査・診断機器市場は、血糖自己測定器の価格競争やインスリンの処方減少による需要減に伴い、縮小傾向が続くとみる。今後市場に大きな影響を与え得るとすれば、非侵襲的な(体に針を刺さない)血糖測定器などの革新的な製品や、自己血糖管理に関して診療報酬が新設されたような制度変更によるものと考える。

治療薬市場は、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬が市場をけん引することで、拡大基調にある。ただ、先発品の特許切れに伴い、安価なジェネリック医薬品が一層普及することや、各社が開発を進める糖尿病の新薬候補の減少傾向などを鑑みると、市場は今後5年以内に縮小に転じると予測する。

また、両市場に共通する課題は今後の営業・情報提供体制である。新型コロナウイルス感染症の影響で、従来の対面での活動が制限されていることから、オンラインツールを用いた効率的な営業・情報提供体制をいかに整えるかが、各社の業績を左右する一因になるものと考える。

調査要綱

1.調査期間: 2020年4月〜6月
2.調査対象: 糖尿病検査・診断機器メーカー、製薬企業、その他関連企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、及び文献調査併用
<糖尿病市場とは>
本調査における糖尿病市場とは、主に検査・診断機器(血糖測定器・関連製品、尿糖測定器・関連製品)、治療薬(糖尿病治療薬、合併症治療薬)を対象とする。なお糖尿病市場規模は、検査・診断機器市場規模(メーカー出荷額ベース)と治療薬市場規模(薬価ベース)の合算値である。
<市場に含まれる商品・サービス>
血糖自己測定器、尿糖測定器・試験紙、血糖降下薬、インスリン製剤

出典資料について

資料名2020年版 糖尿病市場の現状と展望
発刊日2020年06月30日
体裁A4 191ページ
定価125,000円(税別)

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