矢野経済研究所
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2019年の監視カメラ世界出荷台数は好調に推移し、前年比120.0%の6,480万台に成長

~2020年は新型コロナウイルスの影響により一時落ち込むが、需要は堅調であり2021年以降は回復する見込み~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、監視カメラ/モニタリング用カメラの世界市場を調査し、参入企業の動向、企業シェア、将来展望を明らかにした。

監視カメラ世界市場規模推移・予測

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1.市場概況

2019年の監視カメラの世界市場規模は、メーカー出荷数量ベースで64,800千台(前年比120.0%)となった。全体の6割を占める中国市場は前年比122.1%と成長して世界市場を牽引したほか、その他エリア(中東、中南米、アフリカ、ロシア)の出荷台数が拡大し、世界市場の成長につながった。
需要分野をみると、中国・アジア圏では公共関連や政府関連の比率が高く、北米・欧州・日本では店舗やオフィス関連の民間需要も拡大した。従来の監視/モニタリング用途に加え、マーケティング用途での活用や画像解析/AI技術の活用が進んだ。
また、監視カメラ本体のみの販売では利益確保が難しくなりつつあることから、VCA画像解析や画像解析/AI技術を用いた付加価値ビジネス、監視カメラを用いたソリューション提案型ビジネスへのシフトが進んでいる。

2.注目トピック

~国内ではクラウドカメラ稼働台数が急成長~

2017年以降、国内のクラウドカメラ(録画機能を持たないライブタイプのカメラを除く)サービス市場は急成長している。現在はBtoBでの需要が拡大しており、とくにマンションや駐車場の管理、工事現場や河川の監視などでの利用が進んでいる。
加えて、イニシャルコスト(初期費用)がこれまでより抑えられることなどから、今まで監視カメラが導入されていなかった小規模店舗や飲食店、歯科医院や診療所、仮設物件、不動産・マンション、理美容室、小規模オフィス、公益的活用(河川管理など)等への普及拡大が見込まれる。さらに、今後はマーケティング用途での活用や画像解析/AI技術を用いたサービス/ソリューションの展開がさらに加速するだろう。
一方で、クラウドカメラはセキュリティ面での不安、回線負荷、解析等のタイムラグ、接続の安定性などの懸念もあり、今後はそれらの解消と認知度の向上に取り組んでいく必要がある。

3.将来展望

新型コロナウイルスの影響により、2020年の監視カメラ世界市場規模(メーカー出荷数量ベース)は、前年比84.0%の54,440千台に減少すると予測する。これは監視カメラ/モニタリング用カメラ自体の需要自体がなくなるわけではなく、新型コロナウイルスの影響により新規導入や更新(リプレース)時期が後ろ倒しとなるためである。
中国市場の急成長の陰りや新型コロナウイルスによる経済後退への懸念がある一方で、中国・欧米・日本における更新需要や、アジア圏・その他エリア(中東、中南米、アフリカ、ロシア)の新設需要は中長期的に拡大していく。他にも、スマートシティ構想やIR(Integrated Resort:統合型リゾート)、MICE(Meeting、Incentive Travel、Convention、Exhibition/Event)などの開発プロジェクトにおける新たな需要も期待される。
また、今後は提案型ビジネスへの転換に加え、利用用途の拡大やアフターコロナに向けた投資が増えることも考えられ、監視カメラ世界市場は成長する見込みである。

調査要綱

1.調査期間: 2020年4月~6月
2.調査対象: 監視カメラメーカー、代理店、SIer、レンズや監視用DVRなど関連機器メーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、電話・eメールによるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
<監視カメラとは>
本市場における監視カメラとは監視カメラ製品をさし、IPカメラとアナログカメラに大別される。
IP(ネットワーク)カメラはIP機能を内蔵し、単独でインターネット網に接続して使用可能な業務用カメラをさす。これに対し、アナログカメラは同軸ケーブルによってモニタや録画機器と物理的につなげる必要があり、一般的にアナログカメラはIPカメラに比べ安価である。
<市場に含まれる商品・サービス>
監視カメラ、監視カメラシステム、クラウドカメラサービス

出典資料について

資料名2020年度版 監視カメラ市場予測と次世代戦略 -ビジュアル・コミュニケーション調査シリーズ-
発刊日2020年07月07日
体裁A4 368ページ
定価165,000円(税別)

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