国内MaaS市場,2018年
(写真=metamorworks/Shutterstock.com)

2030年には国内MaaS市場規模は6兆3,600億円に拡大!

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内MaaS(Mobility as a Service)市場を調査し、MaaSサービス分野別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内MaaS市場規模予測

国内MaaS市場規模予測

1.調査結果概要

MaaS(Mobility as a Service)とは、近年ICTを活用して、公共交通か否か、また運営主体に関わらず、マイカー以外のすべての手段によるモビリティを1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念である※。※出典:国土交通省国土交通政策研究所報第71号(2019年)

2018年の国内MaaS市場規模はMaaSサービス事業者売上高ベースで845億円を見込み、2030年には6兆3,600億円に達するものと予測する。2016年から2030年のCAGR(年平均成長率)は44.1%で推移するものとみる。今後、ゼロから立ち上がるサービスの多いことが想定されることから、CAGRは高い値になるものと考える。

2.注目トピック

「my route(マイルート)」が日本初の本格的MaaSサービスになる可能性

2018年11月、トヨタ自動車は西日本鉄道と組んで移動のルート検索と予約・決済が一貫して可能な移動サービス「my route(マイルート)」の実証実験を福岡市で開始した。この移動サービスは公共交通(バス、鉄道、地下鉄など)、自動車(タクシー、レンタカー、自家用車など)、自転車や徒歩など、様々な移動手段を組み合わせてルートを探索し、必要に応じて予約・決済までを行なうことで、ユーザの移動をサポートするものである。

これはユーザにとって利便性の高いサービスを提供することを目的としたマルチモーダルモビリティの実証実験であり、福岡市を含む、8事業者・団体が参加する。当該事業者・団体とは①駐車場予約アプリのakippa、②サイクルシェア検索のメルカリグループ(自転車シェアサービス)、③タクシー配車・予約・決済のJapanTaxi、④子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」のアクトインディ、⑤レジャー・遊び・体験の予約サイトの「asoview!」のアソビュー、⑥情報アプリ「NEARLY」のipoca、⑦情報サイト「ナッセ福岡」のサンマーク、⑧福岡市(公式シティガイド「よかなび」)である。

このような形で「my route(マイルート)」が実用化されれば、複数の移動手段を連続して利用できるマルチモーダルモビリティである点や、スマートフォンで予約・決済ができる点、駐車場検索サービスも可能な点、そのほか、当該地域における店舗やイベントや情報とも連携できる点などを考慮すると、地域限定とはいえ、本格的なMaaSサービスになる可能性が高いものと考える。

また2018年10月にトヨタファイナンスはOrigamiと提携していることから、将来的にはMaaSサービスの一環として、トヨタ自動車グループがスマートフォン決済サービスを提供することも可能であるものとみる。