矢野経済研究所
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2018年度の鞄・袋物小売総市場規模は前年度比6.2%増とプラス成長!

~高級インポートブランドが成長を牽引~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の鞄・袋物市場を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内鞄・袋物小売市場規模推移

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1.市場概況

2018年度の国内鞄・袋物小売市場規模は、前年度比6.2%増の1兆1,901億円であった。2016年度以降、2年連続のプラス成長を確保している。

市場を牽引しているのは、高級インポートブランドの鞄・袋物である。この背景には2017年から続く高級インポートブランドのミレニアル世代※をターゲットとした戦略がある。奏功したのは概して2018年であったが、これに加え、旗艦店や既存店の新コンセプトストアへのリニューアル、注目度の高い高級インポートブランドにおけるインバウンド(訪日外国人客)需要が大きく伸長したことなどの要因が重なり、高級インポートブランドの鞄・袋物が大幅に拡大し、国内の鞄・袋物小売市場全体を牽引した。

※ミレニアル世代とは諸説あるが、本調査では1980年代~1990年代後半に生まれ、2000年あたりに社会に出てきた世代とし、2019年時点では、20代前半から30代後半くらいの若者世代をさす。

2.注目トピック

旅行鞄小売市場

2018年度の旅行鞄の国内小売市場規模は前年度比2.0%増の1,520億円であった。2018年度は海外への出国日本人数および訪日外国人観光客の増加による需要増がプラス要因となり、高級インポートブランドを中心に好調に推移した。

旅行鞄の市場は、海外への旅行者数の増減が大きく影響を及ぼす市場である。近年のLCC(Low Cost Carrier)の路線数の増加や、ビザ無しで訪問できる国の増加を背景として、ここ数年は海外への旅行者数(出国日本人数)が増加傾向※にある(※データ出所:法務省出入国管理統計)。

こうした海外旅行への需要を背景として、2019年度も旅行鞄市場は堅調推移が見込まれるが、一方で百貨店を中心に、中国人富裕層の需要が低調に推移したものとみられ、インバウンド需要の低迷が懸念される。

3.将来展望

2019年度の国内鞄・袋物小売市場規模は、前年度比1.1%増の1兆2,029億円を見込み、2020年度には前年度比3.9%増の1兆2,495億円を予測する。

景況感への懸念や消費税率引き上げ、暖冬など様々な要因によって、2019年以降、一般生活者のファッションへの消費は全般的に低調に推移している。鞄・袋物はこうした消費行動に強く影響を受けることから、2019年度以降は全体的に減少傾向になるものと考える。
一方で、短期的には高級インポートブランドの鞄・袋物の好調さは継続するとみられることから、これが鞄・袋物小売市場全体を下支えし、全体としてはプラス成長を予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2019年12月~2020年2月
2.調査対象: 鞄・袋物及び服装用ベルト業界に携わるメーカー、卸、小売業ならびに、周辺関連事業者 (皮革・布帛・合皮等素材供給メーカー、卸ならびに副資材事業者等)、輸出入事業者、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
<鞄・袋物小売市場とは>
本調査における鞄・袋物とは、鞄は主に男性仕様の大型のもの、袋物は主に女性仕様のハンドバッグや小物入れをさし、ビジネス鞄や旅行用鞄、ハンドバッグなどに加え、財布・革小物類やベルトを含む。なお市場規模のうち、インポートブランドとライセンスブランドについては暦年ベースで算出し、合算している。
<市場に含まれる商品・サービス>
ショルダーバッグ、トートバッグ、リュックサック、ナップサック、バックパック、ボストンバッグ、ボディバッグ、ウェストバッグ、セカンドバッグ、クラッチバッグ、手提げバッグ、アタッシュケース、ハンドバッグ、ポシェットなど

出典資料について

資料名2019~2020年版 鞄・袋物産業年鑑
発刊日2020年02月27日
体裁A4 498ページ
定価125,000円(税別)

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