2025年度のローカル5Gネットワークを活用した国内ソリューション市場規模を470億円と予測
~ローカル5Gソリューションの実証試験/PoCは遅れ、商用化/実装は2023年度以降となる見込、その後従来型のIoTソリューションからの代替が進展する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の5Gソリューション市場を調査し、製造、物流、医療、セキュリティ、社会インフラなど分野別の5G活用およびIoT型ソリューション普及動向、将来展望を明らかにした。ここでは、ローカル5Gソリューション市場予測、分野別の普及動向について公表する。
ローカル5Gソリューション市場規模予測
1.市場概況
5G(第5世代移動体通信サービス)は、従来の3Gや4G/LTEなどに比べて高速・大容量、低遅延、多接続などの機能に大きな強みを持つ。一般企業や地方自治体、学校法人などの敷地内や建物内など特定範囲(狭域)限定で構築されるローカル5Gネットワークにおいても、そのメリットを生かした映像配信や、遠隔作業支援、多接続に対応したIoT(Internet of Things)型ソリューション、特定エリア内でのAGV(無人搬送車)などに利用されていく見通しである。
ローカル5Gを活用したIoTソリューションは、現在多くの案件が実証試験/PoC段階にあり、2020年の年初では、大手のMNO(移動体通信事業者)3社及びITベンダーを中心として、さまざまなローカル5Gを活用したIoTソリューション案件の実証試験が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響は甚大で、対象分野の中には事業継続が危ぶまれるようなところも出始めており、2021年度頃までは大きな進展は見込めない状況となっている。そうしたことから、2020年度のローカル5Gソリューション市場(事業者売上高ベース)は3億円を見込み、翌2021年度で20億円になると予測する。
2.注目トピック
ローカル5Gを活用した製造/工場向けIoTソリューション
ローカル5Gを活用した製造/工場向けIoTソリューションでは、2020年度頃から実証試験/PoCが10件ほど始まったものの、新型コロナウイルスの影響によりIT投資の抑制/先送りもあって、商用化/実装が始まるのは2023~2025年度頃になる見込みである。
例えば、2023年度頃には既にデジタル工場化が進んでいる自動車メーカー(OEM)やプラントメーカー、ITベンダーを含む一部の先進工場などで実装が始まり、さらに既に工場IoTを実現している製造業へと波及していく見通しである。
ローカル5Gを活用した製造/工場向けIoTソリューションでは、工場設備や生産機器のIoTモニタリングや保全・メンテナンス用途(データ収集)での活用が伸びる見通しであることから、人手不足がより顕在化する2025年度には95億円規模(構成比20.2%)まで拡大すると予測する。
3.将来展望
2024年度頃からは、従来型の3Gや4G/LTEの通信規格を利用したIoTソリューションシステムが、徐々に5Gを活用したIoTソリューションに置き換わる流れの中で、その内の何割かがローカル5Gを活用したIoTソリューションに代替されると考える。
そのため、市場規模の拡大は加速し、2024年度のローカル5Gソリューション市場(事業者売上高ベース)は300億円、2025年度には470億円になると予測する。尚、2025年度の段階では、5Gを活用したIoTソリューション市場(4,550億円)の約10%が、ローカル5Gネットワークを活用したIoTソリューションシステムになる見込みである。
調査要綱
1.調査期間: 2019年10月~2020年5月 2.調査対象: ITベンダー、移動体通信事業者、インフラ事業者、ユーザ企業、地方自治体など 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話による調査、ならびに文献調査併用 |
<ローカル5Gとは> ローカル5Gとは、MNO(移動体通信事業者)が広域で提供する5G(第5世代移動体通信サービス)とは異なり、一般企業や地方自治体、学校法人などが総務省に免許を申請し、団体の敷地内や建物内など特定範囲(狭域)限定で構築する、5Gのプライベートネットワークをさす。 従来の4G/LTEやWi-fi、有線LANなどの通信ネットワークと比較すると、5G回線としての高速・大容量(映像配信や製造機械での大量データ対応)、低遅延(協働ロボットや診療など遠隔作業支援)、多接続(スタジアムでの参加型アミューズメントや交通流等の都市データ対応)などのメリットがあり、IoT(Internet of Things)型ソリューションや特定エリア内でのAGV(無人搬送車)などに利用される見通しである。 <ローカル5Gソリューション市場とは> 本調査におけるローカル5Gソリューション市場とは、ローカル5Gネットワークを構築するためのシステム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費などを対象として、それらのハードウェア、ソフトウェア、サービスなどを提供する事業者の売上高ベースで算出した。 但し、ローカル5Gネットワークのインフラ設備(基地局など)の費用や工事費は含んでいない。 参考資料: 国内5Gサービス市場の動向調査を実施(2020年)2020年6月23日発表 |
<市場に含まれる商品・サービス> システム/アプリケーション開発費、通信モジュール、端末/デバイス、電波利用料/回線利用料・通信費、プラットフォーム/クラウド利用料、運用管理費など |
出典資料について
資料名 | ローカル5Gビジネスの2025年展望 ~「ローカル5G×IoT」による産業向けインパクト~ |
発刊日 | 2020年05月28日 |
体裁 | A4 250ページ |
定価 | 180,000円(税別) |
お問い合わせ先
部署 | マーケティング本部 広報チーム |
住所 | 〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2 |
電話番号 | 03-5371-6912 |
メールアドレス | press@yano.co.jp |
©2020 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。