アメックスコーポレートカードはビジネスカードとどう違う? 向いている企業やサービスも解説!
(画像=PIXTA)

アメリカン・エキスプレスには、アメックスビジネスカードとアメックスコーポレートカードという2種類の法人カードがある。今回はアメックスコーポレートカードに焦点を当て、基本的なところからサービスの詳細までを解説していく。

アメリカン・エキスプレスに関しては、ビジネスカードとコーポレートカードの違いが重要だ。両者の違いを正しく理解した上で、アメックスコーポレートカードについて見ていこう。

目次

  1. ビジネスカードとコーポレートカードはどう違う?
  2. アメックスコーポレートカードの4つの特徴
    1. 1.審査基準
    2. 2.年会費、入会費、ポイント還元率
    3. 3.旅行傷害保険の充実
    4. 4.コーポレート・メンバーシップ・リワード・プログラム
  3. コーポレートカードの付帯サービスも充実
  4. 中堅企業、大企業が使うならコーポレートカード

ビジネスカードとコーポレートカードはどう違う?

始めに、ビジネスカードとコーポレートの相違点を確認しておこう。結論から言うと、両者の違いは「申し込みの対象者」だ。アメックスビジネスカードは、主に個人事業主や小規模法人を対象としており、アメックスコーポレートカードは、中規模・大規模の法人や官庁が申し込むカードである。

これはアメックスに限らず、一般的に「コーポレートカード」と呼ばれるカードは、中堅企業や大企業に向けたものがほとんどだ。

そのため、アメックスコーポレートカードは個人で申し込むことはできず、必ず法人として審査を受けなければならない。一方アメックスビジネスカードは個人事業主向けなので、個人で申し込むことができる。とはいえ、アメリカン・エキスプレスに限って言えば、ビジネスカードとコーポレートカードのスペックの差はほとんどない。強いていえば、コーポレートカードは個人口座を引落口座として設定できるというくらいのものだ。

まとめると、

・一般的にビジネスカードは、個人事業主や小規模法人が申し込むもの
・コーポレートカードは、中・大規模法人が申し込むもの

ということになる。これらを理解した上で、アメックスコーポレートカードについて見ていきたい。

アメックスコーポレートカードを導入すると、どんなメリットがあるのだろうか。公式サイトによれば、アメリカン・エキスプレスが力を入れているのは、経費の効率的な管理やコンプライアンスの強化である。

まずは、経費について見ていこう。1つ目のメリットは、企業の経費精算システムにカードの利用データを連携することで、従業員の負担が大幅に軽減されることだ。アメリカン・エキスプレスでは、カード利用情報を毎日送信しているため、リアルタイムで経費を確認できる。経費管理は従業員に多大な負担がかかる作業だが、それをすべてアメリカン・エキスプレスに任せることによって、業務効率が飛躍的に向上する。

また、アメックスコーポレートカードの利用者は、オンライン・データベースの提供を受けられる。これによって予算やコストを多角的に分析することができるようになり、業務効率を改善したり、新しい管理体制を構築したりすることができる。これらのデータはいつでも入手でき、管理部門が利用しやすいように加工することもできる。

アメックスコーポレートカードの4つの特徴

それではアメックスコーポレートカードにはどのような特徴があるのだろうか。

1.審査基準

クレジットカード業界では、暗黙の了解として「法人設立から3年以上」「直近2年は黒字」というものがある。設立したばかりの法人には社会的信用がなく、審査に通りにくいと言われている。アメックスコーポレートカードは、基本的に大きな企業が申し込むものなので、設立年数の問題はないだろう。

審査で見られるのは、やはり業績だ。あまりにも赤字が続いていれば、審査を通過することは難しいだろう。財務状況が不安定な企業にカードを持たせることは、発行会社が大きなリスクを取ることを意味するからだ。「利用代金をきちんとと支払ってくれる人(企業)にカードを作ってもらいたい」と考えるのは、どの発行会社も同じである。現在のような不確実性の時代であれば、なおさらだ。

では、どのような法人が審査に通るのだろうか。カード発行会社は審査基準などを公表していないため、正確なところはわからない。少し手間はかかるが、インターネットの口コミをしらみつぶしに調べて、自分なりにデータを作成してみるといいだろう。ただし、ネットの情報を鵜呑みにしてはならない。

2.年会費、入会費、ポイント還元率

アメックスコーポレートカードのランクは、通常のランクとゴールドランクの2種類だ。通常ランクの「アメリカン・エキスプレス・コーポレート・カード」は、「アメリカン・エキスプレス・ゴールド・コーポレート・カード」よりも年会費が安い。コーポレートカードの年会費は追加カードによって変動するが、ゴールドカードのほうが年会費が高いことに変わりはない。

また、100円=1ポイントから貯められるポイント・プログラムがあり、カードのランクに関係なく利用できる。貯まったポイントは各種アイテムなどとの交換から、カード利用代金への充当など、幅広く利用できる。

なお、利用限度額が一律で設定されているカードが多い中で、アメックスのコーポレートカードでは利用限度額が個別に設定される。

3.旅行傷害保険の充実

アメックスコーポレートカードの魅力の1つが、旅行傷害保険の充実である。旅行傷害保険とは、旅行先で病気やケガなどをしてしまった場合に、状況に応じて補償するものだ。

他社カードと比較すると、アメックスは旅行傷害保険がかなり充実している。国内・海外、カードのランク問わず、最大で5,000万円の補償を受けられるのだ。特に海外出張に関するサポートが手厚いため、海外出張が多い企業であればメリットは大きいはずだ。

4.コーポレート・メンバーシップ・リワード・プログラム

前述のとおり、アメックスには100円=1ポイントから貯められるポイント・プログラムがある。コーポレート・メンバーシップ・リワード・プログラムは、これとは別のポイント・プログラムであり、年会費2,200円(税込)で登録することができる。企業単位でポイントを貯めることができ、経費で貯めたポイントを経費の支払いに充当できるので、コスト削減に役立つ。

ただし、どの企業でもこのプログラムに参加できるわけではなく、一定の条件をクリアしなければならない。条件の詳細は公表されていないため、発行会社の担当者と相談して登録を決めるといいだろう。

コーポレートカードの付帯サービスも充実

充実した付帯サービスも、アメックスコーポレートカードの魅力だ。まずは通常ランクの付帯サービスを列挙し、そこにゴールドランク特有のサービスを付け足す形で紹介していく。

通常ランクの主な付帯サービスは、以下のとおりだ。

・オーバーシーズ・アシスト(海外の出張先でのレストラン選びやゴルフ場の予約など、24時間体制のサポートデスク)
・ANA@deskとJAL Online(24時間、インターネット上で国内便の手配ができるサービス)
・ETCカード(カード1枚につき5枚まで発行できる)
・オンライン・サービス(直近6ヵ月分の明細を確認できるサービス。PDFでダウンロードもできる)
・キャッシングサービス(国内・海外の出張先で現金が必要になった場合に利用できる)

ゴールドカードでは上記の付帯サービスに加えて、ゴールド特有のサービスを受けられる。

まずは、空港ラウンジの利用についてだ。アメリカン・エキスプレス・ゴールド・コーポレート・カードを持っていれば、国内主要空港とプライオリティ・パス提携の国内外の空港ラウンジを利用できる。国内の28空港(39ヵ所)、海外ではハワイのホノルル空港のラウンジを無料で利用できるのがうれしい。同伴者も1名までは無料だ。

空港での待ち時間は長い。通常の待合室はガヤガヤしていて、仕事の疲れを癒やすことはできない。空港ラウンジならゆっくり休むことができるので、その後のパフォーマンスが向上する。毎日が戦いであるビジネスマンにとって、空港ラウンジで過ごす安らかな時間は、何物にも代えがたいはずだ。

上記のプライオリティ・パスとは、合計で1200ヵ所以上の空港ラウンジを利用できる登録制サービスのことだ。通常は99米ドルの年会費がかかるが、ゴールド会員であれば年会費無料で利用できる。さらに、1回32米ドルの利用料が、年間2回まで無料になる。

ゴールド会員は、手荷物無料宅配サービスも充実している。海外旅行の際、スーツケース1個分の荷物を無料で配送してもらえるのだ。行きは自宅から空港まで配送してもらい、帰りは空港から自宅まで配送してもらう、というような使い方ができる。手荷物は負担になりやすいが、配送サービスによってより快適に移動できるようになる。対象の空港は、成田国際空港、中部国際空港、関西国際空港、羽田空港だ。

このように、通常ランクからゴールドランクに上がると、主に海外出張に関するサービスが充実する。ただし年会費が跳ね上がるので、しっかり吟味してほしい。

中堅企業、大企業が使うならコーポレートカード

コーポレートカードは、基本的に中堅企業・大企業向けのカードだ。他社カードと比較すると、海外出張のサービスに強みがあることがわかる。ゴールドランクであれば、空港ラウンジや無料手荷物配送など、魅力的な付帯サービスを利用できる。

ビジネスカードやコーポレートカードなどを作る際は、自社に合うカードを選ぶ作業が不可欠だ。カードのスペックや特色は、発行会社によって様々だ。闇雲にカードを作るのではなく、公式サイトや様々なデータに触れ、多くの情報から判断するようにしたい。

文・小西拓登(ダリコーポレーション ライター)

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