「企業再生」とは何か?会社を倒産から守る方法を解説!
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企業再生とは、経営状態が悪化した会社を復活させる方法のことだ。倒産や清算を選択するのとは対照的に、企業や事業の再建を目指す前向きな手法と言える。事業再生と同じ意味で使われることもある言葉だ。

自社が企業再生を必要とするような状況にないとしても、万一に備えて理解を深めておくことは無駄ではないだろう。ここでは、企業再生の基礎知識やメリット、代表的な再生方法などを解説する。

目次

  1. 企業再生とは
  2. 企業再生のメリット
  3. 企業が再生できる条件
    1. 1.資金繰りを正常化できること
    2. 2.主力事業が再生可能であること
    3. 3.債権者が協力的であること
    4. 4.経営者に決意と覚悟があること
  4. 企業再生の種類は2種類
    1. 法的再生
    2. 私的再生
  5. 企業再生の流れ
  6. 経営不振や資金不足の状態から脱却しよう!

企業再生とは

企業再生とは、債務超過の企業や実質的な破綻状態にある企業を、さまざまな方策を活用して、法人格を保ちながら再建させることである。

企業再生と似た概念である事業再生も理解しておこう。事業再生とは、企業において経営状態が悪化している事業を、さまざまな取り組みや手続きを通して活性化させることだ。

どちらの言葉も、法律などで明確に定義されているわけではない。企業再生が法人格に着目して用いられる言葉であるのに対し、事業再生は事業に着目して用いられる言葉であり、どちらも企業の体力を回復させるという意味で使われている。

2つの言葉を特に区別して使う必要はないが、本記事では企業再生という言葉を使って解説を進めていく。

企業再生のメリット

赤字の連続や債務超過、資金ショートの懸念などで企業が瀕死の状態に陥った場合、このまま会社を倒産させるか再建を目指すかの選択を迫られることになる。再建を目指して復活できれば、企業再生に成功したことになり、倒産させるよりもはるかに大きなメリットがあると言える。

企業が倒産した場合に考えられるデメリットは多い。会社がなくなると、経営者は収入を絶たれ、従業員も職を失うことになる。破産手続などにより債権者に支払われる金銭も、破産時の資産の中から支払われることになるため、ごくわずかな金額しか支払われない可能性が高い。

中小企業や小規模事業者で、経営者が融資の個人保証をしている場合は、会社の倒産と同時に経営者自身も自己破産の手続きをすることになる。自己破産の手続きには、弁護士や裁判所への費用が発生するため、ここでも多額の金銭が必要になる。

これに対して、企業を再生できれば、従業員が職を失うことを回避できる。債権者に対しても、会社を清算させる場合よりも多くの金銭を返済することができる。何より、自分がこれまで頑張って経営してきた会社を存続させることができる。

このように、会社を存続するかどうかの選択を迫られた際は、まずは企業再生ができるかどうかを検討し、その可能性がある場合はそれに向けて努力すべきだ。

企業が再生できる条件

「企業再生」とは何か?会社を倒産から守る方法を解説!
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倒産の懸念がある企業を再生させる際に求められる主な条件を確認しておこう。

1.資金繰りを正常化できること

企業再生では、企業が負う債務の免除や返済の繰り延べなどを行いながら、競争力・収益力のある事業を残して再生させることを目指す。ただし、単に債務を消滅・圧縮できたとしても、資金繰りが正常化しない限り、再び資金繰りに窮することになる。

資金繰りを正常化するためには、無駄な人件費などのコストを削減し、営業キャッシュフローの黒字化を目指さなければならない。同時に、企業再生に必要な支援をしてくれる新しいスポンサーを獲得し、資金を投入してもらう必要がある。

2.主力事業が再生可能であること

企業再生のために残したい事業を継続・発展させていく上で、削減できるコストがなかったり継続に必要な資産を用意できなかったりする場合は、どれだけ頑張っても企業再生は実現できない。

3.債権者が協力的であること

債務を圧縮させたり消滅させたりするためには、これまで企業を支えてきた債権者の協力が不可欠である。特に、企業にとって最も大きな存在である金融機関などの債権者からの理解を得られなければ、後述する法的再生・私的再生のどちらを選択するとしても、企業再生は不可能だ。

4.経営者に決意と覚悟があること

方法論はさておき、企業再生を成功させるためには、何よりもリーダーである経営者の決意とやる気、覚悟が重要である。経営者は、さまざまな場面で多くの決断を求められるからだ。債権者の理解を得るためにも、経営者の熱い気持ちは不可欠と言えるだろう。

企業再生の種類は2種類

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企業再生の方法は、法的再生と私的再生に大別される。それぞれの特徴や代表的な手法を解説する。

法的再生

裁判所が関与しながら手続きを進め、再生する方法が法的再生である。法律に則った手続きであるため、手順が明確であり当事者間の公平性も保たれる。再生できない内容の計画は認めらないため、債権者の同意も得やすい。

一方、再生を行ったことが信用調査会社によって公になるため、企業イメージを損ないやすいというデメリットがある。取引先などから不安視されるため、再生後の経営に悪影響を及ぼしかねない。また、弁護士や裁判所に支払う費用も必要になる。

法的再生で行われる手法は、以下のとおりだ。

・民事再生
民事再生法に基づく再生手続きである。法的再生の中では最も一般的であり、法人だけでなく個人でも利用できる。現在の経営陣が引き続き会社の経営を主体的に担うことができ、財産の管理処分権も現経営陣にあることが大きなメリットである。

基本的には中小企業で用いられるケースが多いが、大企業が民事再生を行った事例もある。自社資本や営業利益を用いて自力で債務を弁済する方法のほか、自社のスポンサーにあらかじめ再生計画への同意を得て行う方法や、民事再生後にスポンサーを探す方法などがある。

・会社更生
会社更生法という法律に基づく再生手続きである。株式会社のみが行える方法であり、大企業で使われるケースが多い。原則として経営陣の交替が必要とされるほか、更生計画案により100%減資され、通常は株主にも変動がある。

担保権の取り扱いも、民事再生とは異なる。民事再生の場合、担保権は別除権として扱われるのに対し、会社更生では担保権も更生担保権として手続きに取り込まれるため、担保権者でも優先的に債権を回収することはできない。

・特定調整
上記の2つのような手続きとは異なり、裁判所が調停委員となり仲介をしながら、当事者間の話し合いで進める再生方法である。法的に支払い停止などを命じられることがなく、あくまでも当事者間の話し合いを調整する手続きであり、より柔軟な解決が期待できる。

私的再生

裁判所が関与せず、債務者である企業と債権者が話し合いながら進められる再生方法が、私的再生と呼ばれる方法である。再生を行ったことが公になるというデメリットがなく、非公開で進められることがメリットだ。ただし債権者への告知が必要になるため、秘密保持契約を締結しなければならない。

支払い停止などの法的効力がなく、手続きも明確に定められているわけではないことから、公正さが損なわれる恐れがあることが私的再生のデメリットと言えるだろう。話し合いの結果、一部の債権者から合意が得られないことも考えられる。

私的再生における主な手法は、以下のとおりだ。

・私的整理ガイドライン
全国の金融機関や有識者などによって作成された、私的再生に関するガイドラインである。私的整理に関する規則や、手続き方法などが定められている。

債権回収の禁止要請を出せるなど、原則として主要債権者が手続きを遂行するため、債権者の理解が得られやすい。なお、債務超過を3年以内に解消するための再建計画が求められる。

・支援協議会スキーム
私的整理ガイドラインを踏まえ、中小企業や地域の特性を考慮して策定された手続き方法である。債権者ではなく、第三者である認定支援機関が手続きを行う。

・特定認証ADR手続き
「産業競争力強化法」に基づき、裁判外での紛争解決手続きを行う制度である。手続きを非公開で進められることや上場を維持できること、税制上の優遇措置があることなどがメリットだ。

上記の3つの方法以外にも、ファンドやM&Aなど、私的再生の方法にはさまざまな種類がある。

企業再生の流れ

企業再生の大まかな流れは、以下のとおりだ。

1.事前検討
 ヒアリングや資料分析
2.デューデリジェンス
 資産などの査定
3.関係者への事前対応
 スポンサー探しなど
4.再生計画案の策定
 再生目標の再検討・計画の立案・実行スキームなどを作成
5.実行とモニタリング
 組織再編や資本政策などの再生スキームの実行と定期的なモニタリング

デューデリジェンスと呼ばれる査定方法によって企業の資産状況などを調査し、その結果に則した再生計画案を作成する。その後、関係者や債権者から再生への理解を得た後、計画に従って手続きなどを実行していく。

特に、事業・財務・法務・不動産などの査定を行うデューデリジェンスは、全体の中で最も重要なプロセスだ。デューデリジェンスは、企業の状況を正確に把握するために行われる。

それぞれの工程では、1~2ヵ月程度の時間を要する。企業再生は短期間で実行できるものではなく、数ヵ月の長期的なプランで進められるものであることも頭に入れておこう。

経営不振や資金不足の状態から脱却しよう!

企業再生は会社を清算するよりもメリットが大きく、やる気さえあれば検討する価値が大いにある手続きと言える。経営不振や資金不足などで悩んでいる場合は、専門家などへ早めに相談すれば、企業ごとに最善の方法をアドバイスしてくれるだろう。

文・八木真琴(ダリコーポレーションライター)

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