
2024年の葬祭(フューネラル)ビジネス市場規模は前年比108.2%の1兆8,300億円と推計
~葬儀の小規模化と高付加価値化が進む中で、多様化する葬儀ニーズへの対応が加速する見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の葬祭ビジネス市場を調査し、市場規模、セグメント別の動向、将来展望を明らかにした。
国内の葬祭ビジネス市場規模推移・予測

葬祭ビジネス市場の費目別シェア 推移

1.市場概況
2024年の国内葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比108.2%の1兆8,300億円と推計した。
高齢化の進行に伴い死亡者数は増加(厚生労働省「人口動態統計」)し、葬儀機会は継続的に拡大しており、葬祭ビジネス市場はコロナ禍による落ち込みから回復基調にある。
また、葬儀費用の平均単価は下げ止まりの兆しを見せており、葬祭ビジネス市場全体では“二極化”の傾向が進んでいる。葬儀形式では家族葬や一日葬などの「小規模葬」が主流となる一方で、会場や祭壇、音楽や映像などをオリジナル演出とした高付加価値型の葬儀提案も増加している。さらに、費目別にみると、コロナ禍により大きく落ち込んでいた精進落としなど飲食費や返礼品などの関連支出も回復基調にあり、平均単価の持ち直しを後押しする要因となっている。
このように、葬儀スタイルの柔軟化と価値提案の多様化が進むなかで、葬祭ビジネス業界全体としてはビジネスの進化と適用力が一層求められる局面を迎えている。
2.注目トピック
返礼品市場や飲食費市場が急回復
2024年の葬祭ビジネス市場規模(1兆8,300億円)の費目別シェア(構成比)をみると、葬儀費用が全体の72.4%を占め、飲食費が12.7%、返礼品が14.9%となった。コロナ禍を経て費目間の構成バランスにも緩やかな変化が見られた。
費目別の市場規模では、葬儀費用が1兆3,249億円(2022年比110.1%)、飲食費が2,324億円(同113.0%)、返礼品が2,727億円(同115.9%)と推計した。特に返礼品市場は最も高い伸び率を示し、贈答品需要の回復・活性化が本格化していることが示唆された。また、飲食費市場も2年間で13.0%増とコロナ禍で自粛されていた通夜振る舞いや精進落としなどの再開が着実に進んでいることが伺える。
3.将来展望
高齢化に伴う死亡者数の増加(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来人口推計」)を背景に、2025年の国内葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、前年比101.8%の1兆8,633億円、2034年の同市場は2025年比101.5%の1兆8,915億円と予測し、今後も緩やかな拡大を見込む。2034年予測は、コロナ禍前の2019年(1兆8,200億円)と比較しても103.9%に相当し、長期的に回復・成長基調の見通しである。
葬儀の平均単価は「価格志向」と「価値志向」の二極化が進む中、一定の水準を維持する可能性が高い。葬祭ビジネス各社による高付加価値型の葬儀サービス提案や柔軟な葬儀形式への対応が進むことで、市場は再び拡大フェーズへと転じていく可能性が高いと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2025年5月~7月 2.調査対象: 葬祭ビジネス関連事業者 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、インターネットアンケート調査、ならびに文献調査併用 |
<葬祭ビジネス市場とは>
本調査における葬祭ビジネス市場規模は、「葬儀費用」など葬儀式の実施に伴い発生する直接的なサービス支出額と、「飲食費」や「返礼品」など別途料金として発生する間接的なサービス支出額を対象とし、事業者売上高ベースで算出した。 但し、寺院関連(お布施、卒塔婆等)や火葬場費用、仏壇、墓地・墓石などのその他支出額は含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス>
葬儀費用(祭壇、棺、遺影写真、収骨用具、ドライアイス、供物、供花、献茶・おしぼり、位牌、霊柩車・寝台車、送迎バス、式運営費、看板・事務用品、会葬礼状など葬儀式の実施に伴い発生する直接的なサービス支出額)、飲食費(通夜振る舞いや精進落としなどの食事へのサービス支出額)、返礼品(粗供養品や香典返しなどギフト商品・サービスへの支出額) |
出典資料について
資料名 | 2025年版 フューネラルビジネスの実態と将来展望 ~拡大するライフエンディングサービス市場~ |
発刊日 | 2025年07月31日 |
体裁 | A4 298ページ |
価格(税込) | 165,000円 (本体価格 150,000円) |
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