給付金・無利息融資
(画像=stunnedmullet/Shutterstock.com)

政府は、2020年4月20日の臨時閣議により過去最高の事業規模約117兆1,000憶円規模の緊急経済対策を決定。また、財政支出は「約48兆4,000億円規模」となり、低額融資や給付金なども行う。対象となるのは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により経営が悪化した大企業から中小企業、個人事業主、自宅待機をしている世帯などである。

その他にも中小企業を対象とした「納税における支援策」も検討している。国税の納付ができない場合には、納税の猶予を1年延長することも経済対策に盛り込むとのことだ。政府が検討する給付金や融資などについて紹介する。

目次

  1. 大企業向けに行われる日本政策投資銀行の融資
  2. 中小企業向けの支援策、持続化給付金
    1. 持続可給付金が支給されるのは?
    2. 持続可給付金の対象と支給額
  3. 日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付
  4. 大企業の経営危機が日本経済に与える影響
  5. 各省庁ホームページを確認しよう

大企業向けに行われる日本政策投資銀行の融資

日本政策投資銀行は、大企業向けの支援策として、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営が悪化した企業の支援体制を整えるために1,000億円の融資を検討している。こちらは給付金とは違い貸付だが、利息は一般の融資利率よりも低い金利となる。

自動車業界や航空業界など大企業や中小企業を含めて1,000億円で、1社あたり数十億の融資となる予定だ。

中小企業向けの支援策、持続化給付金

中小企業経営者にぜひとも利用してほしいのが、持続化給付金だ。文字通り、事業を継続してもらうことを目的とした給付金であり、事業全般に広く用いることができる。基準となるのは前年同月の売り上げだが、具体的に何月と決められているわけではなく、売上が前年と比較して50%以上落ちている月ならば1月から12月まで、どの月を選択することも可能だ。

持続可給付金が支給されるのは?

具体例を紹介しよう。

例えば、2019年の4月の売り上げが100万円だったとする。2020年の4月の売上が60万円ならば給付対象にはならない。しかし、40万円の場合は50%以上の減少となり該当する。また、1月から4月までの売上すべてが前年比50%以上の減少とならなかった場合でも、それ以降の月に50%以上減少した月がひと月でもあれば、給付の対象となる。対象月の選択は事業者が行う。

持続可給付金の対象と支給額

資本金が10億円よりも大きい企業を除く「小規模事業者」「中小企業」「中堅企業」「個人事業主」、各種の法人事業者は「NPO法人」「社会福祉法人」「会社以外の法人」などが対象となる。

給付額は以下の通りだ。
法人:最大200万円
個人事業主:最大100万円
※昨年1年分からの売り上げの減少分を上限とする

計算式は次の通りである。

売上減少分の計算方法
前年の総売上(事業収入)―(前年同月比マイナス50%月の売上げ×12ヵ月)

例えば、前年の総売上1,200万円、前年同月比マイナス50%月の売上を60万(2019年130万円、2020年60万円)の法人の場合は、1,200万円-(60万円×12)=480万円となり、最大の200万円を受け取ることが可能となる。

2019年に起業した法人・個人事業主に関しては検討中だ。補正予算の成立後、1週間程度で申請を開始、電子申請の場合、2週間程度での給付を想定している。

日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付

会社を維持していくうえで、運転資金の確保は喫緊の課題だ。しかし、当初の予想を大幅に上回る新型コロナウイルスの感染拡大で、外出自粛や休業が長期化している。家から出ることさえも困難とされる状況下において、運転資金の確保に四苦八苦している方も多いだろう。

日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により業績が悪化しているが、中長期的には業績回復が見込まれる中小企業を対象とした融資だ。最近1ヵ月の売上が前年または前々年同期に比し5%以上減少している、または同様の状況にあることが条件とされる。

融資限度額は直接貸付 3億円(別枠)、基準利率は-0.9%、4年目以降は実質無利子化となる。返済期間は、設備資金の場合は20年以内、運転資金の場合は15年以内となる。無担保で可能。現時点で申込期限は設定されておらず、十分な融資予算があるとされている。創業3ヵ月未満の場合は融資対象とはならない。

大企業の経営危機が日本経済に与える影響

経産省などが主体となり、大企業や中小企業、そして個人事業主まで、幅広く助成金や融資制度が展開されている。しかし、企業の規模を問わず、苦しい経営を続けている企業も多い。

例えば、航空業界などは2020年4月から「平常時の85%」の減便に至り、経営状態の悪化が懸念されている。また、「入国制限や行動制限」などにより、飲食業や観光業などは、特に打撃の大きい企業となった。

「工場の休止」や「一時的なリストラ」などの対応に追われている企業も少なくない。今回の新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済全体にも大きな影響を与えている。

各省庁ホームページを確認しよう

新型コロナウイルスの感染拡大のための経済対策費は、約117兆円の事業規模となった。政府は中小企業から大企業まで支援に乗り出している。助成金や給付金はもとより、納税や社会保険料などの支払いの猶予もあり資金繰りが悪化している大企業などにも、充当予定だ。

先が見えない状況の中、政府は中小企業の支援に向けてさまざまな支援を検討している。困難な状況ではあるが、利用できる制度はないか、各省庁ホームページや中小企業向けの相談なども活用し、経営の持続に努めよう。

文・THE OWNER編集部