【さんぽ好き必見!】中原中也と「てくてく」歩く 湯田温泉【山口エリア】
【さんぽ好き必見!】中原中也と「てくてく」歩く 湯田温泉【山口エリア】

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「中原中也(なかはら ちゅうや)、井上馨(いのうえ かおる)、種田山頭火(たねだ さんとうか)…」

豆知識記事を書いているうちに、山口県出身の有名人が気になってきた夏歩(かほ)です。

ということで、今回は山口県の有名人「中原 中也」の詩のスゴさや故郷 湯田温泉の楽しみ方をお届けしたいと思います!

中原中也を知る・詩を味わう

「はじめまして!」中原中也 基本プロフィール

中原中也は、明治40 (1907) 年4月29日、現在の山口県山口市湯田温泉に生まれました。

小学校高学年から短歌を制作し、雑誌や新聞の歌壇に投稿をはじめたそうです!

その後、中也はますます文学に熱中したため、中学3年で落第してしまいます。

これにより京都府の中学へ転校し、大正14 (1925) 年には上京。

昭和9 (1934) 年には、第1詩集『山羊の歌』を出版し、著名な詩人たちの集団、いわゆる詩壇のなかでも特に素晴らしい作品として認められるまでに至りました。

また、数々の雑誌にも詩を発表し、フランス詩の翻訳も手がけました。

しかし、昭和12 (1937) 年10月22日、帰郷を願いつつ、鎌倉で30年の短い生涯を閉じます。

自らまとめ、友人に託した第2詩集『在りし日の歌』は、昭和13(1938)年4月に刊行されました。

その生涯を詩人として生き抜いた中也は、尊く美しい詩篇を後世に残し、日本をはじめ海外でも多くの人々に愛されています!

では中也はどのような詩を詠んだのでしょうか。

彼の詩の面白さを解説してみたいと思います。

「ここがすごい!」中原中也の詩

ここでは第1詩集『山羊の歌』・第2詩集『在りし日の歌』に掲載されている詩を題材に中也の魅力に迫りたいと思います。

彼の詩の特徴は何より、独特なオノマトペ(音や様子を言葉で表現したもの)。
なかでも代表作の「サーカス」にて繰り返されるオノマトペは特に有名なフレーズなので聞いたことがある方も多いのではないでしょうか!

第1詩集『山羊の歌』より「サーカス」

幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました

幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました

幾時代かがありまして
今夜此処(ここ)での一(ひ)と殷盛(さか)り
今夜此処での一と殷盛り

サーカス小屋は高い梁(はり)
そこに一つのブランコだ
見えるともないブランコだ

頭倒(さか)さに手を垂れて
汚れ木綿の屋蓋(やね)のもと
ゆあ-ん ゆよーん ゆやゆよん

それの近くの白い灯が
安値(やす)いリボンと息を吐き

観客様はみな鰯
咽喉(のんど)が鳴ります牡蠣殻(かきがら)と
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

屋外(やぐわい)は真ッ闇(くら) 闇(くら)の闇(くら)
夜は劫々(こふこふ)と更けまする
落下傘奴(らくかがさめ)のノスタルヂアと
ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん

朗読・解説はこちらから

このように、中也は空中ブランコの動きを「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という独特なオノマトペで表現しているのです!

「びよーん」「ぽよーん」「むにょーん」などのオノマトペなら聞き馴染みがあるかもしれませんが、この詩を読んだ時は、こんなにも自由に作り出してしまっても良いのか!と驚きました。

次に「亡き児文也の霊に捧ぐ」という冒頭の言葉から、中也の息子 文也への追悼詩集とされている『在りし日の歌』より、意外なオノマトペが使用されている詩を紹介します!

第2詩集『在りし日の歌』より「一つのメルヘン」

秋の夜は、はるかの彼方かなたに、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。

陽といつても、まるで硅石(けいせき)か何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。

さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。

やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……

朗読・解説はこちらから

「さらさら」というオノマトペは水など、液体の様子を表すために用いられることが多いと思います。

しかし、中也はこの「さらさら」を陽の光の様子に用いているのです。

このように中也の詩には何度も口にしたくなるようなオノマトペが多数登場します。

本文を読んで目で楽しんだ後は、朗読を聞き耳でも味わってみませんか。
朗読は各詩の末尾のリンクからお聞きいただけます。

ぜひ、お気に入りの詩を探してみてください。

ユニークなオノマトペで私たちに新鮮な感覚を教えてくれる、中原中也。

彼はどのような場所で育ったのでしょうか。

湯田温泉を中原中也と歩く

ここでは中原中也の出身地、山口県山口市の湯田温泉を巡るモデルコースをご紹介します。

そもそも、湯田温泉がどのような場所か知りたい!という方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
【長湯派必浴!】毎日2000tが「こんこん」と湧く湯田温泉

今回は湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」が刊行している中也と歩く湯田温泉マップを参考にしています。

本記事と合わせてご覧ください。

スポット① JR湯田温泉駅

JR湯田温泉駅は中也が上京する際によく使った駅です。

そして中也の詩「夏の日の歌」には、かつてこの駅で聞いたであろう汽笛をうたった一節が登場するのです!
朗読・解説はこちらから

駅前にある足湯(無料)に浸かりながら当時の風景に想いを馳せ、「夏の日の歌」を味わってみませんか。

JR湯田温泉駅
住所:〒753‐0055 山口県山口市今井町 4
TEL:083‐922‐0323
アクセス:
バス
宮野温泉-山口リハビリ病院前(「湯田温泉駅入口」バス停下車) 徒歩約3分

中国自動車道山口ICから約10分
JR湯田温泉駅 駅情報

スポット② 中原中也記念館

中原中也記念館は、中也の生家である中原医院の跡に建てられた記念館。

屋内展示では彼の作品や貴重な資料を見ることができ、 屋外展示では教科書で扱われた馴染みのある詩を解説付きで味わうことができます。

オススメは年4回も展示替えが行われる企画展示。

中也に影響を受けた作家や漫画家の作品とともに中也の詩が紹介されたり、中也と短歌の関係性が明らかにされたり、と斬新な切り口で展示が行われているため、何度訪れても新しい知見を得ることができます!

中原中也記念館
住所:〒753‐0056 山口県山口市湯田温泉1‐11‐21
TEL:083‐932‐6430
営業時間:
5~10月 9:00〜18:00(最終入館17:30)
11~4月 9:00〜17:00(最終入館16:30) 
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)・毎月最終火曜日・年末年始・臨時休館あり
料金:一般¥330 / 大学生・専門学校生¥220 / 18歳以下無料
アクセス・駐車場:こちらからご確認ください
中原中也記念館 公式HP

スポット③ 狐の足あと

散策も中盤!小休憩にオススメしたいのは湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」。

湯田温泉についての情報収集ができるほか、足湯に浸かりながらカフェメニューをいただくこともできるのです。

3種の足湯のうち、「言音の湯」では中也の詩をテーマにした音楽が流れており、彼の世界に没入しながら足の疲れを癒すことができます。

狐の足あと (年中無休)
住所:〒753‐0056 山口県山口市湯田温泉2‐1‐3
TEL:083‐921‐8818
営業時間:8:00~22:00
料金:
<入館料> 無料
<足湯>一般¥200 / 小中学生¥100
(障がい者手帳をお持ちの方とその介護者の方1名は半額)
アクセス:
電車
JR湯田温泉駅から徒歩約10分
新幹線⇒バス
JR山陽新幹線・山陽本線新山口駅から20分(「湯田温泉」バス停下車) ⇒ 徒歩約1分

中国自動車道山口IC・小郡ICから約15分
駐車場:有 (無料・中原中也記念館駐車場と共用)
狐の足あと 公式HP

スポット④ 井上公園

井上公園は、幕末期に長州藩からイギリスに密航し、日本の近代化に貢献した「長州ファイブ」の1人であり初代外務大臣も務めた井上 馨(いのうえ かおる)の生家跡。

公園内には湯田温泉にゆかりのある俳人・種田山頭火(たねだ さんとうか)の句碑とともに、中也の詩「帰郷」の1節が刻まれた詩碑があります。

ぜひ、声に出して味わってみてください。
朗読・解説はこちらから

また足湯(無料)や遊具、室内休憩所もあるため、天気や体調に合わせて楽しむことができます!

井上公園
住所:〒753‐0056 山口県山口市湯田温泉2‐5
TEL:083‐934‐2832
営業時間:
<足湯> 10:00~22:00
<何遠亭(室内休憩所)> 4月~10月 10:00~17:00 / 11月~3月 10:00~16:00
定休日:何遠亭のみ 水曜と8/13~15・12/28~1/3
入場料:無料
アクセス:
電車 
JR山口線湯田温泉駅より徒歩約5分
バス
山口市コミュニティバス「吉敷・湯田ルート」22-3番湯田温泉6丁目下車 徒歩約3分
駐車場:なし
トイレ:有
井上公園 基本情報

終わりに

いかがでしたか。

今回は山口県の有名人「中原中也」の詩のスゴさや故郷 湯田温泉の楽しみ方などをお届けしました!

この記事がご家族やご友人とのお話のきっかけ、山口旅行のきっかけとなれば幸いです。

参考

・公園で読書の秋のイラスト
https://www.linustock.com/vectors/life/relax/lrx00008
・中原中也記念館
https://chuyakan.jp/
・代表作「帰郷」などで知られる抒情詩人 中原中也
https://heisei-shokasonjuku.jp/senjindb/nakaharachuya/
・【山口県観光】中原中也と種田山頭火ゆかりの湯の町へ。秋吉台・秋芳洞から足をのばして行こう
https://y-daiichi.co.jp/service/taxi/tourism/information/3009/
・中原中也 在りし日の歌 亡き児文也の霊に捧ぐ
https://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/219_33152.html
・中原中也 山羊の歌
https://www.aozora.gr.jp/cards/000026/files/894_28272.html
・中原中也ベスト詩集『ホラホラ、これが僕の骨』
http://www.rosetta.jp/chuya/poem.php?id=a14
・中也と歩く湯田温泉マップ
https://chuyakan.jp/yudamap/
・JR山口線湯田温泉駅
https://www.homemate-research-station.com/dtl/46000000000000007202/
・湯田温泉観光回遊拠点施設「狐の足あと」
https://www.yuda-onsen.jp/
・湯田温泉のおすすめスポット『狐の足あと』は足湯が人気!地元ライターが湯田温泉をじっくり満喫
https://yamaguchi-tourism.jp/blog/detail_97.html
・足湯<6ヶ所>(あしゆ)
https://yamaguchi-city.jp/details/af_ashiyu.html
・井上公園
https://www.city.yamaguchi.lg.jp/map/60011.html