【前編】160万DLのSnap to Earn「SNPIT」。持続可能なエコシステムを支える哲学と開発の裏側に迫る

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「ユーザーのお金がユーザーに回るだけでは、持続しない。」

写真を撮ってバトルするだけで暗号資産が稼げる「Snap to Earn」として、累計160万ダウンロードを記録したスマートフォンアプリ「SNPIT」。多くのWeb3ゲームが直面した「持続可能性」という課題に対し、彼らは広告モデルを主軸とした独自の経済圏の構築に挑んでいます。

なぜSNPITは、先行するWeb3ゲームが陥った「ポンジスキーム」という批判を乗り越え、多くのユーザーを惹きつけられるのか。その背景には、開発元である株式会社GALLUSYSで取締役を務める大塚敏之さんの、異色の経歴に裏打ちされたユニークなビジネス哲学と、徹底した開発思想がありました。

今回は株式会社GALLUSYSの取締役である大塚さんをお招きし、SNPITの具体的な仕組みから持続可能なエコシステムの全貌、そして冬の時代を2度乗り越えたからこそ語れる、Web3への確信に迫ります。

大塚 敏之(おおつか  としゆき)株式会社GALLUSYS 取締役。
大阪府出身。アパレルやコンサルの業界を経て、新規事業の立ち上げに挑戦したキャリアを持つ。その過程でブロックチェーンの将来性に着目。
その後は上場企業であるギグワークスに参画し、子会社としてGALLUSYSの設立に携わった。近年では、スマホカメラを活用したSnap to Earnゲーム「SNPIT」の普及に向けて尽力している。
小林 憲人(こばやし けんと) 株式会社NFTMedia 代表取締役
2006年より会社経営。エンジェル投資を行いながら新規事業開発を行う株式会社トレジャーコンテンツを創業。2021年にNFT Mediaを新規事業として立ち上げる。「NFTビジネス活用事例100連発」著者。ジュンク堂池袋本店社会・ビジネス書週間ランキング1位獲得。

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目次

  1. 自社サービス開発に特化する「株式会社GALLUSYS」
  2. アパレルから会計、そして新規事業へ
  3. 冬の時代を乗り越えて — ブロックチェーンへの確信
  4. 撮って、戦う — Snap to Earn「SNPIT」の仕組み
  5. 「ポンジスキーム」に陥らない、持続可能なエコシステムとは
  6. ユーザーと共に創る — MVP開発とゲームバランスの哲学
  7. 次回予告

自社サービス開発に特化する「株式会社GALLUSYS」

SNPIT 大塚さん

小林 :最初に、大塚さんご自身の自己紹介をお願いできますでしょうか?

大塚 :大塚俊幸と申します。SNSなどでは「つせそぺそ」という名前で活動しており、皆さんからは「ぺそさん」と呼ばれています。株式会社GALLUSYS(ガルシス)のファウンダーです。

GALLUSYSでは2020年から自社サービス開発をメインに手掛けており、現在は三つの事業があります。一つが非言語の写真SNSアプリ「ピクティア」、もう一つが法人向けのAIエージェント「GiGMON(ギグモン)」、そして今日お話しする「SNPIT(スナップイット)」です。

小林 :SNPITは後で詳しくお聞かせいただきたいなと思うんですけれども、それ以外の二つのサービスについても、簡単にご紹介いただけますか?

大塚 :ピクティアは、完全に写真そのものを楽しむアプリを作りたくて開発しました。Instagramなども写真がメインですが、どうしてもテキストの情報に定義づけられてしまう側面があります。そうした要素をなくし、純粋に写真だけでコミュニケーションする非言語のSNSアプリです。

GiGMONは、ChatGPTが登場した際に、社内の情報を組み込んで回答できるものを作ろう、というのが始まりです。ChatGPTは世の中の幅広い情報には強いですが、社内情報のような閉じられた情報にはアクセスできません。そこで、社内向けに開発したものを外部にも公開したところ、ホテルなどでご活用いただいています。

小林 :GiGMONは、最初は自分たちをもっと便利にしたい、というところから始まったのですか?

大塚 :そうです、そうです!ChatGPTを社内でより使いやすくするために、知見やプロンプトを貯めて使い回せるようにしたり、社内の情報を組み込んで回答できるようにしようとしたものを、外部向けに公開したのがGiGMONですね。

小林 :それが1ヶ月ほどでリリースできるレベルまで磨き上げられたと。めちゃくちゃ早いですね(笑)。

大塚 :「とりあえず早く市場に出して、ユーザーからフィードバックをもらって改善していく」というMVPの考え方が、私たちのやり方なんです。

SNPITも同じで、クローズドβテストに参加された方はご存知だと思いますが、最初は写真を一枚アップロードするのに数分かかっていました(笑)。当時はフロントエンドもバックエンドも一人で作っていましたから。それでも使い続けてくれたユーザーさんには本当に感謝しています。

アパレルから会計、そして新規事業へ

SNPIT 大塚さん2

小林 :その開発思想にも繋がるかと思いますが、大塚さんのこれまでのキャリアについてもお伺いしたいです。

大塚 :大学は京都の方に行っていまして、卒業後は就職氷河期だったこともあり、当時は大好きだったアパレルの世界に進みました。大学時代にモテたいという理由で服ばかり好きだったんですよ(笑)。

ただ、入ってみると想像とは全く違う世界で。特に百貨店の営業は体力的に非常に厳しく、休みの日も催事などで出勤しなければなりませんでした。月に2日しか休めず、4月に入社して次の休みが7月で、その間に78連勤したこともありました。

小林 :78連勤なんてあるんですね...。

大塚 :やばい業界だなと思いましたね(笑)。ただ、それが嫌だったわけではなく、社内で良くない出来事があった際に、それを改善するには会計の知識が必要だと感じ、会計士の勉強を始めました。

小林 :そこから会計士というよりは、コンサル業界へ入ったのですか?

大塚 :はい。コンサルというか、事業コンサルのCRM系ですね。大企業は合わないと思っていたので、経営に直接携われて、裁量権の大きい小さな会社を選びました。そこで働きながら、ずっと新しい事業のチャンスを探していましたね。

インターネットの次の大きな波は何かと考えている中で、2010年前後のスマートフォンやSNSの登場を機に、本格的に新規事業を模索し始めました。

小林 :元々ご自身でビジネスを立ち上げたい、という思いはアパレルの頃からお持ちだったのですか?

大塚 :いえ、自分でビジネスをやるという点に、そこまで強いこだわりはありませんでした。それよりも「楽しいことをしたい」「インパクトのあることをやりたい」という気持ちの方が大きいですね。

常に新しい情報を集めるのが好きなので、その中で一番楽しそうなもの、次の時代の波に乗っていくのが楽しいだろうな、と。SNSが出てきたときも、FacebookやTwitterには2008年、2009年といったかなり早い段階から触れていました。

小林 :その当時から、チャンスがあると感じられていたのですね。

大塚 :はい。その頃からアプリ開発をしようと思っていたのですが、当時は今でいうMVPという考え方もあまりなく、開発にはかなりのお金が必要でした。

なので、何かを始めるためには、まず「お金があるところから、どうやって予算を確保してくるか」という作業から入る必要があったんです。

小林 :まずは予算確保から、ということですね。その新規事業は、最終的に立ち上げることができたのですか?

大塚 :その事業は結局、世の中には出せませんでした 。外注で開発すると費用がかかりすぎて、かなり厳しかったんです。

この経験から、やはり自社で、自分で共感してくれる人たちを集めて、最初は低予算でもとにかく作っていくことが重要だと学びました 。今のSNPITのチームも、私がWeb3の世界に入ってから知り合った仲間たちと作ったチームです。

小林 :なるほど。その経験が、現在の「とにかく早く出す」という開発スタイルに繋がっているのですね。

大塚 :はい。早く出したい、という思いは常にありますね。もちろん、不満の声をいただくことも多いですが、それ以上に良いフィードバックもたくさんもらえます。それを取り入れて、前に進めています。

冬の時代を乗り越えて — ブロックチェーンへの確信

SNPIT 大塚さん NFT Media 小林さん

小林 :ブロックチェーンやNFTに興味を持たれたのは、いつ頃だったのでしょうか?

大塚 :マウントゴックス事件の頃からビットコインの存在は知っていましたが、本格的に興味を持ったのは2016年4月です。当時、価格が3〜4万円ほどで安定しているのを見て、「ビットコインはゼロにはならない。一体何なんだ?」とサトシ・ナカモトのホワイトペーパーを読み込みました。

そこで「これはとんでもないことが起きるぞ」と。スマートフォンの次、Web2.0の次はこれだと確信し、本腰を入れることを決めました。

小林 :そこから2020年のGALLUSYS設立までには少し期間がありますね。

大塚 :はい。2017年に親会社であるギグワークスに入り、「ブロックチェーンで何かやらせてほしい」と頼み込み、社内でマイニングを始めたり、株主優待としてビットコインを配ったりしていました。

しかし、2018年に冬の時代が来て、多くの企業が撤退していきました。その中でも、私たちはブロックチェーンの可能性を信じ続け、水面下で開発を続けていました。

小林 :いわゆるステルスWeb3、みたいな感じですね。

大塚 :そうです。2019年にリリースした写真SNS「ピクティア」も、表向きはWeb2のアプリですが、実はウォレットを接続してNFTを発行・活用できる機能を搭載しているんです。

特定のNFTを持っていると毎月ポイントがもらえ、それを「額縁NFT」に交換できる。その額縁を写真につけると、いいねをもらうたびにお金が入ってくる、今でいう「Like to Earn」のような仕組みも、STEPNより早い段階で実装していたと思います。

今のコアメンバーは、そうした冬の時代を2回乗り越えてきた、「それでもブロックチェーンの可能性を信じている」という熱い想いを持った仲間たちです。

撮って、戦う — Snap to Earn「SNPIT」の仕組み

SNPIT 大塚さん2

小林 :では、SNPITがどのようなゲームなのか、改めて教えていただけますでしょうか。

大塚 :SNPITは、写真を撮ってバトルに参加し、勝利するとポイントやトークンを獲得できるゲームです。

ユーザーが撮った写真をバトルに出すと、他のユーザーとマッチングされ、どちらの写真が良いか投票で決まります。10票先取した方が勝ち、というシンプルなルールです。

小林 :誰でも無料で始められるのですか?

大塚 :はい。無料のユーザーには最初にゲーム内で使えるカメラが配られます。そのカメラで撮った写真でも「カジュアルバトル」に参加でき、勝利すればポイ活のようにポイントを稼ぐことができます。

1勝すれば3円相当のポイントがもらえ、さらに勝ち越した数に応じてもボーナスがあります。1枚の写真で10戦できるので、10連勝すれば280円ほど稼ぐことも可能です。

小林 :本格的にプレイしたい場合は、NFTのカメラが必要になるという感じですか?

大塚 :より多くのポイントが稼げる「メインバトル」で勝つためには、画質の良い写真が撮れるNFTカメラを持つ方が有利になります。無料カメラには育てられるレベルに限界がありますからね。

また、STEPNのように、カメラの保有台数によって1日に撮影できる写真の枚数が変わるので、複数台持っている方が成長スピードは圧倒的に速くなります。

「ポンジスキーム」に陥らない、持続可能なエコシステムとは

SNPIT 大塚さん NFT Medfia 小林さん2

小林 :いわゆる「X to Earn」のゲームは、新規ユーザーの資金が既存ユーザーに流れるだけで持続しない、「ポンジスキーム」のようだと批判されることもありました。SNPITでは、その点についてどのような工夫をされていますか?

大塚 :私たちは、ユーザーのお金をユーザーに回すのではなく、「外部からどうお金を獲得してくるか」を徹底的に意識しています。その大きな柱が広告モデルです。

SNPITはユーザーの滞在時間が非常に長く、SNSに近い作りなので、広告を導入しやすいんです。実際に、『進撃の巨人』など有名アニメとのコラボガチャを引くために広告を見てもらう、といった形で活用しています。

小林 :YouTubeのように、広告収入をユーザーに還元していくイメージですね。

大塚 :その通りです。ただ、Web3の思想として、私たちは一部のトッププレイヤーが巨額を稼ぐ世界を目指しているわけではありません。私たちの最終目的は「ありのままの世界を閉じ込めた唯一無二のデータベース作り」であり、その構築に協力してくれている全てのユーザーに、幅広く還元したいという想いがあります。

そのためには、まずユーザー数を増やし、広告収益を安定させることが不可欠です。現在、月間アクティブユーザーは約8万人、1日の広告表示回数は26〜27万回に達し、広告の収益性(eCPM)もここ数ヶ月で10倍ほどに上がってきました。この夏に向けて、この広告収益を本格的にエコシステムに組み込んでいく予定です。

ユーザーと共に創る — MVP開発とゲームバランスの哲学

SNPIT 大塚さん NFT Medfia 小林さん3

小林 :ユーザーを増やす上で、Web3特有の「怪しさ」や「ややこしさ」が障壁になっていると感じることはありますか?

大塚 :はい、その二つは常に付きまといます。「怪しさ」については、大手企業とのコラボや広告展開によって、少しずつ払拭できていると感じています。

問題は「ややこしさ」の方です。MetaMaskのウォレット設定などで多くの人が離脱してしまっているのが現状で、「SNPITという美味しいアプリの話を餌に、海外の怪しいアプリを入れさせようとしているのでは?」と疑われてしまうんです。

小林 :「12個の単語は絶対なくさないでください」とか今までにない体験ですからね...。その「ややこしさ」をどう払拭していくのですか?

大塚 :まず、ゲーム性が複雑でわからないという方のために、カメラのレベル上げなどを気にせず、純粋に写真バトルだけを楽しめる「ライトモード」を近々リリースします。

このモードでは、写真を撮るだけではポイントはもらえませんが、何枚でも撮影してバトルに出すことができます。そして、カジュアルバトルと同じくらいのポイントが稼げるので、ポイ活として月数千円を稼ぐことも可能だと思います。

小林 :ユーザーのハードルがさらに下がりますね。

大塚 :はい。そして、もう一つの大きな取り組みとして、アプリ内ですべてが完結できる仕組みを構築しています。

アプリをインストールするだけでウォレットが生成され、Raribleなどで取引されているNFTカメラを、アプリ内からクレジットカードで直接購入できる。これをなんとかこの夏中に実現しようと、今ギリギリのスケジュールで進めています。

小林 :この2、3ヶ月が勝負ということですね。SNSなどを見ていると、勝ち負けの判定についてもよく話題になっているように感じます。

大塚 :そうなんですよ。判定に関しては、「この構図が強い」といったご意見をいただくことも多いです。ただ、特定の強いものをルールで排除するのは、先々を考えると危険だと考えています。

例えば富士山の写真を禁止にしても、必ず「次の富士山」が現れます。それを海外ユーザーまで含めてルール化していくと、キリがなくなってしまうはずです。

そこで私たちは、投票の最適化にAIを導入することを検討しています。何かを禁止するのではなく、AIによって、よく見られるありふれた構図の写真が、自然と評価されにくくなる(弱体化する)ような仕組みを目指しています。

小林 :なるほど、排他的に禁止するのではないのですね。

大塚 :はい。AIで判定するにしても完璧ではなく、「これは富士山じゃないのに除外された」「これは富士山なのに除外されなかった」といった混乱が起きる可能性が高いです。そうなると、あらゆるものがストップしかねません。

小林 :どこまでいっても「ユーザーがどう面白く遊べるか」を考えていらっしゃるのが、お話を伺っていてすごいなと感じます。

大塚 :私たちはユーザーさんの声に支えられているので、改善案は積極的に取り入れています。ただ、意思決定においては、その変更が「可逆的か、不可逆的か」を非常に重視しています。

可逆的なものは高速で試しますが、先ほどの富士山の件のように、一度やってしまうと元に戻すのが難しい不可逆的な変更は、ゲームバランスを大きく崩す可能性があるため、非常に慎重に判断しています。

小林 :その慎重な判断がありつつも、新しい要素をどんどん追加されていると。先ほどのライトモードの話も、そうした背景があるのですね。

大塚 :おっしゃる通りです。ゲームは面白さを追求すると、どうしても複雑になっていく宿命があります。アニメでパワーインフレが起きたり、新しいキャラクターがどんどん出てくるのと同じですね。

既存のユーザーさんからすれば、新しい要素がないとマンネリ化してしまいます。でも、私自身も昔はよくゲームをやっていましたが、たまに昔のゲームを起動すると、アップデートが多すぎて何が何だか分からなくなり、嫌になってしまうんですよ(笑)。

ゲームがその状態になっていくのは仕方ない部分もありますが、そんな時でももっとライトに遊べる場所があればいい。写真バトルだけを楽しめる場所として、ライトモードを開発しているんです。

次回予告

前編では、SNPITが目指す持続可能なエコシステムや、大塚さんの異色の経歴、そしてユーザーと共にプロダクトを成長させる開発哲学について伺いました。

後編では、SNPITが最終的に目指す壮大な構想「ワールドリポジトリー」を中心に、AIが台頭する時代における「本物の写真」の価値や、大手旅行会社H.I.S.との共創が生み出す新たな旅行体験について、さらに深く掘り下げていきます。どうぞご期待ください。

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