2025年上半期(1-6月)の「人手不足」による倒産が過去最多となったことが、東京商工リサーチのまとめで分かった。(文:日本人材ニュース編集部

東京商工リサーチが、2025年の全国企業倒産(負債1000万円以上)のうち、「求人難」「従業員退職」「人件費高騰」を要因とする倒産を抽出・分析した結果、「人手不足」が一因となった倒産は、2013年以降で最多の172件(前年同月比17.8%増)だった。

要因の内訳は、 「求人難」68件(前年同期比17.2%増)、「従業員退職」54件(前年同期比31.7%増)、「人件費高騰」50件(前年同期比6.3%増)で、いずれも最多を更新した。

上半期(1-6月)「人手不足」関連倒産の要因

要因 2025年 2024年 2023年
求人難 68件 58件 27件
従業員退職 54件 41件 17件
人件費高騰 50件 47件 24件
合計 172件 146件 68件

2025年の春闘は賃上げ率が5.25%(連合の最終集計)で、34年ぶりの高い水準となった。また、初任給の引き上げたり、福利厚生を充実させるなど、人材獲得競争は激しさを増している。一方、黒字でもリストラを進める企業もあり、人材戦略の見直しが行われている。

東京商工リサーチは「人材確保への賃上げが避けられないなか、物価高、金利上昇などのコストアップも重なり、企業収益に影響を及ぼしている。従業員の待遇改善が実現できない企業は人手不足に陥り、背伸びした賃上げは人件費上昇が資金繰りの悪化に直結している。今後も、『人手不足』関連倒産は増勢をたどることが懸念される」とコメントしている。

2025年上半期(1-6月)の「人手不足」関連倒産調査の詳細はこちら
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1201552_1527.html

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