
延長保証制度の設計・運営を行うテックマークジャパンは、昨年12月1日付で長谷川俊哉氏が代表取締役社長兼CEOに就任したことを受け、5月29日に事業戦略説明会を開催した。現在、修理費用の高騰やSDGs意識の上昇で、延長保証の需要が高まっている。また、昨今は延長保証に対する考えが変わり、エンドユーザーが故障に備えられるだけでなく、販売店・メーカーにとってのマーケティング観点のメリットも注目され始めている。説明会では、こうした背景を踏まえ、経営の3本柱をはじめとする新体制での事業戦略について発表すると共に、エンドユーザーおよび販売店における延長保証のメリットや各業界での成功事例を紹介した。
延長保証とは、各種製品のメーカー保証期間の終了後に一定期間、発生した自然故障・不具合の修理を無償で行うサービス。テックマークジャパンでは、1994年8月に創業以来、世界中でAIGグループのワランティビジネスにおける知識や技術、実績を培ってきた。現在では、メーカーや販売店などモノの製造・販売の事業を展開している大手企業を中心に、クライアント企業のパートナーとして、延長保証のコンサルティングからサービス設計、オペレーション全般の運用を担っている。また、大手損害保険会社と保険契約を結び、クライアントのニーズとビジネス状況に合わせて、環境変化に対応でき、かつ長期にわたって安定運用できるプログラムを提供している。

昨年12月1日に新社長に就任した長谷川氏は、「当社では、延長保証サービスを通じて、クライアント企業の競争力強化による満足度向上、およびエンドユーザーの幸福度向上を図り、その上で自社の持続可能な成長を目指している。そして、この目標に向けて、『売上の拡大』、『サービス品質向上・業務効率化』、『データの有効活用』の3つを経営の3本柱として事業を推進していく」と、新体制における同社の事業方針を発表した。「『売上の拡大』では、まず、既存クライアント企業の支援を強化する。具体的には、新たな延長保証プログラムを開発し、従来までの対象製品・対象範囲を拡大する。また、クライアント企業や販売店との連携を強化することで、延長保証の付帯率アップを図る。これに加えて、新規クライアント企業獲得のための営業活動にも注力していく。業務用製品(オフィス空調、ホテル給湯機器等)やノンメカニカル製品(めがね、家具、アパレル等)といった新たな領域に挑戦すると共に、損害保険会社・親密金融機関・AIGネットワークの活用など獲得ルートも拡大していく」と、売上拡大に向けて、既存クライアント企業の支援強化と新規クライアント企業の獲得に注力していく考えを示した。
「『サービス品質向上』については、クライアント本位の業務運営を目指し、修理受付から完了までのオペレーションの品質を高め、さらなるリードタイム短縮を図る。これに向けて、修理受付オペレーターへの定期アセスメントによる品質の可視化や、修理受付オペレーターの知識強化(製品知識・修理知識)、顧客からの声の分析強化に取り組んでいく」とのこと。「『業務効率化』では、管理プラットフォーム『Warranty Touchpoint』の有効活用や、データ分析によるリソース配分の適正化、従業員・協力会社社員のスキルアップなどによって業務効率を高め、適正な保証料設定の実現を目指す。特に『Warranty Touchpoint』は、延長保証の申込から修理までをワンストップで対応できる管理プラットフォームで、延長保証に関わるすべての関係者にとって、より快適な延長保証の利用および導入が可能になる」と、高品質のサービスを適正な保証料で提供していくのだと力説した。
「『データの有効活用』に向けては、当社が保有する30年分の製品情報、販売・修理データを分析する専門チームを設置した。この専門チームが、製品・修理データの定量分析や定性分析、カテゴリ・製品・部品単位でのデータ分析を行い、品質改善および本業支援につなげていく。例えば、メーカー保証終了後の故障頻度が高い部品を特定し、品質改善に活用する。本来交換不要な部品まで含めて交換してしまっているケースを特定し、修理コストを低減する。対策品・メンテ品や高交換率品の経過および将来予測を検証し、必要在庫推定の基礎情報として利用するなどの活用法を想定している」と、データ分析のための専門チームを発足し、本格的にデータ活用に取り組んでいくと説明した。「当社は今後、この3本柱の戦略を推進することで、今まで以上に幅広い製品に様々な付加価値を提供していく。そして、延長保証サービスにおいて、自他ともに認める業界No.1企業を目指す」と、新体制となったテックマークジャパンの今後の展望を語った。

続いて、同 営業部西日本営業課大阪第1営業チーム長の福永将氏が、延長保証サービスの市場動向や活用メリットなどについて説明した。「当社が実施した延長保証に関する意識調査結果によると、エンドユーザーの約6割が延長保証を認知しており、約5割が延長保証に加入したいと回答していた」とのこと。「また、当社が発表した2000年以降の修理データ分析レポートからは、物価や修理費用の上昇へ対応するために、延長保証のニーズが拡大していることがわかった。これに加えて、環境保全意識の高まりにともなう“修理”という地球にやさしい選択肢が延長保証のニーズを後押ししている」と、延長保証サービスのニーズが拡大している背景について分析する。
「延長保証に加入することで、エンドユーザーは、突発的で高額な修理に不安を感じることなく、長期間安心して製品を使用することができる。また、修理費用の上昇にも備えることができる。一方、販売店にとっては、延長保証を通じて購入時から長期間にわたりエンドユーザーに安心を提供できる。また、購入後もエンドユーザーとの接点を維持できると共に、長期的な修理データの収集、活用が可能となる。さらに、アフターサービスの強化による他社との差別化にもつながる」と、エンドユーザーと販売店の双方にとってメリットが大きいサービスなのだと強調。福永氏は、延長保証の成功事例として、家電業界、住宅設備業界、自動車業界の3つケースを紹介し、延長保証を活用することで得られるマーケティング効果をアピールした。
テックマークジャパン=https://www.techmark.co.jp/